小雨がふる夕方、 天安門広場に向かう途中、路上で旅行のパンフレットを配る人を見かけた。その中には片言の日本語や英語での勧誘も受けた。そのビラには、万里の長城ツアー100元と大きく書いてあり、私は、飛び付きそうになった。しかし、電話しようにも、会話が出来ないし、安さの反面、怖さがついてくる。
前門にあるお客さんの出入りの多い中国旅行社の店を訪ねた。店員の一人が英語で対応してくれた。彼女は、「チラシの旅行社に行ったら、殺されるよ!」と大胆な事を言った。その旅行社の長城ツアーは、出発場所、時間も理解できたことで150元で契約をした。
バスの中は、満員に近い約45人で、外国人は私だけであった。ガイドさんは、市内観光から延々と説明し続けた。当然、私は、チンプンカンプンである。時折差し出される手の方に顔を向けた。
明の十三陵は、地下27m下にある皇帝の墓を見学するために、階段を下り続けた。国民性の違いなのか、それほどまでしてみたいとは思わなかった。英語ツアーで訪れた宝物殿には立ち寄らなかった。
昼食の会場は、遠方にいる人の姿が小さく見えるぐらい体育館よりも広い場所であった。人の多さに中国人口13億人のすごさを感じた。テーブルの上の食べ物はみるみるうちにそれぞれの胃袋に入っていった。ゆっくり食べる余裕はない。帰りのバスを探すのも一苦労である。
バスを降りてから、長城行きの観光滑車乗り場まで歩き、降りてから頂上までかなりの道のりがあった。私も歩くのは早い方と思っているが、それよりも皆早い。とうとう最後尾になった。途中、日本人観光客に写真を撮ってもらった。ツアー客がかぶる旅行会社のロゴ入りの真っ赤な帽子をかぶった日本人の私に、後になって、さぞ驚いたことであろう。
帰り道、バス旅行の定番である、おみやげやさんに立ち寄った。試食をしながら、100m以上出口方向に水の流れのように導かれた。たくさんのみやげ物を買う人たちもいた。バスの中に持ち込めない人は、バスのトランクルームに積み込んだ。遠方から訪れる方も多いようだ。
私は、部屋の同居人であるイギリス人のジョイシーさんとビールのつまみにしてナッツ入りのおかしを食べた。