白い大理石で造られた霊廟(れいびょう)タージ・マハールへは、途中でシャトルバスに乗り換えなけれはならない。そのバスは、いつ故障してもおかしくないような古いものである。なおかつほこりまみれであった。これ程の状態のバスは将来見かけないだろうと思い、私は、記念にそれを写真に収めた。
タージ・マハールの白の壁にはめ込められたモザイクタイルは,白いブラウスに花がらの刺繍を施したような、清らかできれいな女性のようだ。
アグラ城から望む タージ・マハールは、霞にかかって幻想的あった。
なにせ2か所とも広く、どういうわけか私の体力がなくなってきた。歩くのがやっとである。昼食のレストランでは、何も食べれず、持ち合わせの風邪薬を飲み、バスの中で横になった。汗が出る。その店のオーナーがホテルまで送ってくれた。ホテルのベットで横になったが、寒気がし震えが止まらない。かけ布団をもう一枚貸してもらった。嘔吐や下痢もした。
午後からのツアーとタージ・マハールショーは遠慮した。
何が原因なのか?いろいろ走馬灯のようによぎった。確かツアー客のなかで胃腸風邪をおして参加した人もいたためか?インドに到着した日のホテルが寒かった事か?マンゴーラッシー(マンゴーヨーグルト)?、フルーツ?、サラダ?はたまたガンジス河での沐浴体験?あるいは面白半分で体験した神のたたり?結局解らない。
次の朝までぐっすり寝た。それが効したのか体調が戻ってきた。昼食、夕食そして念のため朝食の3食をパスした。今すぐにでも大腸カメラができるような状態である。
デリーにあるフマユーン廟は、地元の人が多かった。その中でひときわきれいな人に声をかけた。快く写真を撮らせていただいた。家族連れで来ていて、その人の姉もしくは母が一緒に並んだ。私は、彼女だけでいいんだと心の中で叫んだ。もう一枚お願いと言ってカメラを構えたら、その子供まで入ってきた。
デリーの空港免税店でレトルトカレーをいくつか買った。その時は何も思わなかったが、乗り継ぎのために立ち寄った上海空港で検問に引っかかった。レトルトカレーだ。どうしてなのかとっさには解らなかった。一般的に名税店で使われている透明の密封容器での梱包はなくただの紙袋に入れただけで渡してくれたため起こった。再度、上海で入国と出国手続きをした。時間的に余裕があってほっとした。
今回の旅で、約10年間の年月を経て、旅エッセイ20回を迎えることができ大変うれしく思います。ひとえに読者の皆さんの応援があったためと感謝しています。
このシリーズは、今回をもちまして終了さていただきます。また、新しいシリーズに取り組んでいきたいと思っています。
今後とも、よろしくお願いします。