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小さき花-第4章~11

2021-10-05 13:51:58 | 小さき花

 そのとき私は黙想する事を習いたかったのですが、しかしマリアは私を充分に信心深いものと思ってか、口禱だけしか許してくれませんでした。ある日学校の童貞が「休日には家で何をしているのか」と尋ねましたので「童貞!私は度々部屋の片隅に隠れて、寝台の前に垂れ下がっている布で身体を囲って、そこで「考える」とこわごわ答えました。すると童貞は笑いながら「何を考えてるのですか」と申されましたから、私は「天主さまの事、生命の儚き事、永遠の事などを考えます……」と答えましたが、童貞はこの答を忘れなかったものと見えまして、その後私にその時の事を思い出させて「まだ昔考えていた事を思い出すか、やはり今日でもお考えていますか」と度々訊ねられました。私はこの「考える」という事は聖主は穏やかに私の心に教えてくださった真の黙想であったと今日悟っています。
 
読んでくださってありがとうございます yui



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