真摯さを定義することは難しい。
しかし真摯さの欠如は、マネジメントの地位にあることを不適とするほどに重要である。
人の強みよりも弱みに目がいく者をマネジメントの地位につけてはならない。
人のできることに目の向かない者は組織の精神を損なう。
マネジメントに携わる者は現実家でなければならない。
評論家であってはならない。
何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心をもつ者をマネジメントの地位につけてはならない。
誰が正しいかを気にすると、部下は無難な道をとる。
おかした間違いを正すよりも隠そうとする。
真摯さよりも頭のよさを重視する者をマネジメントの地位につけてはならない。
有能な部下に脅威を感じる者もマネジメントの地位につけてはならない。
そして、自らの仕事に高い基準を設定しない者をマネジメントの地位につけてはならない。
:「マネジメント 課題・責任・実践」
「マネジメントの地位」という表現は、「マネジメントに対する影響力が強い役職」と読み替えた方がよい。
「成果に与える影響力が強い役職」「リーダー的地位」と同意である。
組織を創り運営する目的は、社会に対してより大きな貢献をすることであって、自らの欲望を満たすためではない。
気を付けなければならないことは、組織には2・6・2の法則が存在するということである。
「マネジメントに携わる者は現実家でなければならない」
ここに、ドラッカーが組織をつくらなかった理由があるような気がする。