虐待は身体、心、性、世話の放置放棄(ネグレクト)、経済に関わるものに分類されている。経済的な虐待とは金品を搾取することなので、何も持たないウッチーには当てはまらないので除外する。
立ち入り検査の結果、危険な目に合ってるにも関わらず助けなかったこと、治療をしなかったことによるネグレクト型の虐待と判定された。初めはよく言ってくれたと喜んでいたが、法令と照らし合わせるうち、ちょっと違うのではないかと思うようになった。
関心をはらわず、放置することによって、いつの間にか死んでいたという虐待死事件は餌や水を与えず餓死というパターンが多い。ウッチーの場合はいつも通り飼育していれば死ぬことはなく、平和も健康も与えられていたのだ。より積極的な人間の関与によって第三者(若い雄熊)による虐待の状況が作り上げられ、そこに何度も放り込まれ、致命傷を負ったにもかかわらず放っておかれたことにより、無駄に命を失うことになったのだ。
実際は職員によるネグレクトだけではなく、若熊を仕向ける方法によって、身体的、心的、性的な虐待も受けている。報告書で隠ぺいされている大ケガの数々は身体的であり、何度も繰り返されて心的ダメージも大きかった。発情もなくなった90~100歳相当の小柄で力が弱く、歯もかなり抜けてしまっているおばあちゃん熊に性成熟したばかりの若い雄熊との繁殖を期待され?二頭きりにさせられたのだから、性的には暴行未遂でもあるが、同種の熊による性的な虐待を受けたとも言えるのではないかと思う。そうなると心身に関わる虐待の全てを一ヶ月に渡って受け続けたことになる。
下線部分が札幌市動物管理センターが線を引いて、文書(別紙2,3)で指摘した抵触部分であるが、赤字で示した部分も抵触しているのではないかと思う。
動物の愛護及び管理に関する法律(抄)
第四十四条2
愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、
酷使し、又はそ
の健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱
させること、
自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、
又は
負傷したものの適切な保護を行わないこと、
排せつ物の堆積した施設
又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するもの
において飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、
100万円
以下の罰金に処する。
動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(抄)
(第一種動物取扱業者の遵守基準)
- 3 -
第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(抄)
第五条 動物の管理は、次に掲げるところにより行うものとする。
一 動物の飼養又は保管は、次に掲げる方法により行うこと。
ニ
異種又は複数の動物の飼養又は保管をする場合には、ケージ等の構造
若しくは配置又は同一のケージ等内に入れる動物の組み合わせを考慮
し、過度な動物間の闘争等が発生することを避けること。
ヲ 展示業者及び訓練業者にあっては、動物に演芸をさせ、又は訓練をす
る等の場合には、動物の生理、生態、習性等に配慮し、演芸、
訓練等が
過酷なものとならないようにすること。
二 飼養施設における動物の疾病等に係る措置は、次に掲げる方法により行
うこと。
ニ
動物が疾病にかかり、又は傷害を負った場合には、速やかに必要な処
置を行うとともに、必要に応じて獣医師による診療を受けさせること。
展示動物の飼養及び保管に関する基準(環境省告示第33号)(抄)
第3 共通基準
1 動物の健康及び安全の保持
飼養及び保管の方法
管理者及び飼養保管者は、動物の飼養及び保管に当たっては、次に掲げ
る事項に留意しつつ、展示動物に必要な運動、休息及び睡眠を確保すると
ともに、
健全に成長し、かつ、本来の習性が発現できるように努めること。
イ 動物の疾病及び
負傷の予防等日常の健康管理に努めるとともに、疾
病にかかり、若しくは
負傷し、又は死亡した動物に対しては、その原
因究明を含めて、獣医師による適切な措置が講じられるようにするこ
と。また、みだりに、疾病にかかり、又は
負傷した動物の適切な保護
を行わないことは、動物の虐待となるおそれがあることを十分認識す
ること。
オ 異種又は複数の展示動物を同一施設内で飼養及び保管する場合には、
展示動物の組合せを考慮した収容を行うこと。
- 4 -
キ 疾病にかかり、若しくは負傷した動物、妊娠中の若しくは幼齢の動
物を育成中の動物又は
高齢の動物については、
隔離し、又は治療する
等の必要な措置を講ずるとともに、適切な給餌及び給水を行い、並び
に
休息を与えること。
第4 個別基準1 動物園等における展示
管理者及び飼養保管者は、動物園動物又は触れ合い動物を飼養及び保管
する動物園等における展示については、次に掲げる事項に留意するように
努めること。
展示方法
動物園動物又は触れ合い動物の展示に当たっては、次に掲げる事項に
留意しつつ、動物本来の形態、生態及び習性を観覧できるようにするこ
と。
ア 障害を持つ動物又は
治療中の動物を展示する場合は、観覧者に対し
て展示に至った経緯等に関する十分な説明を行うとともに、残酷な印
象を与えないように配慮すること。
参考文書
●立ち入り検査後発表した文書/動物管理センターの対応について(動物管理センター)2015.8.21
http://www.city.sapporo.jp/somu/koho/hodo/201508/documents/mareguma-kaizenkankoku.pdf
(動物管理センターとは一般的に保健所と言われている機関で、地域によっては呼び名が違い
動物愛護センターとか動物保護センターなどと呼ばれているものである。検査した所長は元円山動物園職員であり、頻繁に人事交流がある。)
詳しく読んでみたが、驚くべきことにこの二つの赤字部分こそ、しっかりとアンダーラインを引いて注意を促すべきものであるはずなのだが、スルーされているのだ。
ウッチーの受けた虐待は虐待全部の要素を含んだれっきとした、紛れもない「虐待」なのだ。
それも残虐な方法で時間をかけて苦しめて殺した虐待死なのである。あまりにも衝撃的な内容なので政令指定都市の公立動物園で起きたことだと公にしたくない気持ちもわからないことはないが、捜査はするべきだし、違反者は処罰されるべきだと思う。
発表された「ネグレクト・放置型虐待」は印象的には間接的で軽いものになる。同じ市の機関同士の立ち入り検査では甘いものとなることは想定内だったが、やはり厳しく追及されることはなかったということは否めない。