■動物の愛護及び管理に関する法律
(略して動物愛護法または動物愛護管理法と呼ばれている)
法律の条文のサイト(環境省)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO105.html
札幌市が円山動物園に対して行った立ち入り検査と改善勧告は言うまでもなく「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下動物愛護法と書くことにする)に基づいて実施された。その根拠となる法律は↓第二十三条と第二十四条である。
第二十三条 都道府県知事は、第一種動物取扱業者が第二十一条第一項又は第二項の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その取り扱う動物の管理の方法等を
改善すべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、第一種動物取扱業者が第二十一条の四若しくは第二十二条第三項の規定を遵守していないと認めるとき、又は犬猫等販売業者が第二十二条の五の規定を遵守していないと認めるときは、その者に対し、
期限を定めて、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 都道府県知事は、前二項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
第二十四条 都道府県知事は、第十条から第十九条まで及び第二十一条から前条までの規定の施行に必要な限度において、第一種動物取扱業者に対し、飼養施設の状況、その取り扱う動物の管理の方法その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該第一種動物取扱業者の事業所その他関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を
検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
違反していると示された動物愛護法は第二十一条である。↓
第21条 第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省令で定める基準を遵守しなければならない。
しかし、全条文を調べてみると違反が疑われる個所がいくつかあったので掲載することにした。
第二条
動物が命あるものであることにかんがみ、
何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
2 何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、
必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。
第四十条
動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
第四十一条の二
獣医師は、その業務を行うに当たり、みだりに殺されたと思われる動物の死体又はみだりに傷つけられ、若しくは虐待を受けたと思われる動物を発見したときは、都道府県知事その他の関係機関に通報するよう努めなければならない。
以下は検査によって適合しないと指摘された関係法令の基準に加えて、疑わしいと思う基準を追加してみた。
■法第21 条第1項で規定する基準 ⇒ 施行規則第8条第1項第12 号で規定する細目 ⇒ 第一種取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目
(平成18 年1月20 日環境省告示第20 号、最終改正平成26 年5月30 日環境省告示第70 号)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/h25_nt_h180120_20.pdf
第5条第1号ニ
異種又は複数の動物の飼養又は保管をする場合には、ケージ等
の構造若しくは配置又は同一のケージ等内に入れる動物の組み
合わせを考慮し、過度な動物間の闘争等が発生することを避ける
こと。
第5条第1号ヲ
展示業者及び訓練業者にあっては、動物に演芸をさせ、又は訓
練をする等の場合には、動物の生理、生態、習性等に配慮し、演
芸、訓練等が過酷なものとならないようにすること。
第5条第2号ニ
動物が疾病にかかり、又は傷害を負った場合には、速やかに必
要な処置を行うとともに、必要に応じて獣医師による診療を受け
させること。
■展示動物の飼養及び保管に関する基準(平成16 年4月30 日環境省告示第33 号、最終改正:平成25 年8月30 日環境省告示第83 号)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_h25_83.pdf
第3 共通基準 1 (1) オ
異種又は複数の展示動物を同一施設内で飼養及び保管する場
合には、展示動物の組合せを考慮した収容を行うこと。
第3 共通基準 1 (1) イ
動物の疾病及び負傷の予防等日常の健康管理に努めるととも
に、疾病にかかり、若しくは負傷し、又は死亡した動物に対して
は、その原因究明を含めて、獣医師による適切な措置が講じられ
るようにすること。また、みだりに、疾病にかかり、又は負傷し
た動物の適切な保護を行わないことは、動物の虐待となるおそれ
があることを十分認識すること。
第3 共通基準 1 (1) キ
疾病にかかり、若しくは負傷した動物、妊娠中の若しくは幼齢
の動物を育成中の動物又は高齢の動物については、隔離し、又は
治療する等の必要な措置を講ずるとともに、適切な給餌及び給水
を行い、並びに休息を与えること。
第4 個別基準 1 (1) ア
障害を持つ動物又は治療中の動物を展示する場合は、観覧者に
対して展示に至った経緯等に関する十分な説明を行うとともに、
残酷な印象を与えないように配慮すること。
ここまでは改善勧告で指摘されていたが、大事なことが続々と出てきた。
1 基本的な考え方
管理者及び飼養保管者は、動物が命あるものであることにかんがみ、
展示動物の生
態、習性及び生理並びに飼養及び保管の環境に配慮しつつ、愛情と責任をもって適正
に飼養及び保管するとともに、展示動物にとって豊かな飼養及び保管の環境の構築に
努めること。また、展示動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害の防止及び
周辺の生活環境の保全に努めるとともに、
動物に関する正しい知識と動物愛護の精神
の普及啓発に努めること。
4 終生飼養等
管理者は、希少な野生動物等の保護増殖を行う場合を除き、展示動物
がその命を終
えるまで適切に飼養(以下「終生飼養」という。)されるよう努めること。
・・・
なお、展示動物を処分しなければならない
ときは、動物が命あるものであることにかんがみ、できるだけ生存の機会を与えるよ
うに努めること。また、やむを得ず殺処分しなければならないときであっても、でき
る限り、苦痛(恐怖及びストレスを含む。以下同じ。)を与えない適切な方法を採る
とともに、獣医師等によって行われるように努めること。
第4 個別基準
1 動物園等における展示
(1)オ動物園動物又は触れ合い動物を展
示施設において繁殖させる場合には、その繁
殖が支障なく行われるように、適切な出産及び営巣の場所の確保等必要な条件を
整えること。
■動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針
平成18年環境省告示第140号
最終改正:平成25年環境省告示第80号
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/guideline_h25.pdf
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
(動物の愛護)
動物の愛護の基本は、人においてその命が大切なように、
動物の命についてもその尊
厳を守るということにある。動物の愛護とは、動物をみだりに殺し、傷つけ又は苦しめ
ることのないよう取り扱うことや、その習性を考慮して適正に取り扱うようにすること
のみにとどまるものではない。人と動物とは生命的に連続した存在であるとする科学的
な知見や生きとし生けるものを大切にする心を踏まえ、動物の命に対して感謝及び畏敬
の念を抱くとともに、この気持ちを命あるものである動物の取扱いに反映させることが
欠かせないものである。
こうやって法に照らして考えてみると、動物に対する基本的な愛情や感謝の気持ちが欠落した結果の所業だと思える。顕著なのが9時5時体制。5時に獣医はウッチーから離れ、9時に飼育員に亡骸を発見されるってびっくりだ。お役所じゃないのだからと思う。もちろん、全ての職員たちがそうではないだろう。なまじ愛情があるだけに手をかけたりすることがかえって辛くなるような環境に一部の飼育員たちが置かれている可能性もある。そうだとすると人も動物も楽しくもなく幸せでもない。人員を増やすだけでは変えられないように思えるのだが…。
●改善勧告書↓
http://www.city.sapporo.jp/inuneko/main/documents/kaizenkankoku.pdf
●法律の条文は慣れないと非常に読みづらいが、動物愛護違法についてわかりやすく書いてある環境省のページがある。↓
動物の愛護と適切な管理/人と動物の共生をめざして
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/outline.html
この事件で植え付けられた動物園というものに対する大きな不信感はちょっとやそっとではぬぐうことはできない。円山での過去の事件を調べてみたらぞっとするとんでもない事故というか怠慢事件?があった。
2015年5月3日、コツメカワウソのずんだ(生後9カ月)がプール内の濾過取水口に右後肢を吸い込まれ溺れて死亡した。それまで、危ないから直すようにとの来園者からの指摘を放置していた担当飼育員。(まさか同じ飼育員だったとか?)誰が見ても危険なことがわかるのに、結果は恐れていた通りになった。
追記:やはり同じS飼育員だった。好奇心旺盛で遊び好きなカワウソの習性を知っててのことだすれば、もはや常習的に事故に見せかけて間引いているのかもしれない。
簡単に外れてしまう濾過槽のガードなので、そのガードを外してしまうコツメカワウソ
濾過槽に顔を突っ込んだりして遊んでいる。 この2か月後に溺死。↓
https://www.youtube.com/watch?t=82&v=mgkHqQdcdMw
マレーグマと同じアジアゾーンの熱帯雨林館だし、子どもが4匹増えたし…。これも残念だけど、どうしても放置したことが信じられない。未必の故意で(死んでもいいや)による間引きが疑われても仕方がないことじゃないの?あまりに疑わしくて、本当に恐ろしいと思った。
ウッチー死亡直後の不審な様子が書いてある記事↓
http://www.mytokachi.jp/hottkyoku4/entry/3070
動物愛護法の違反者には下記のような罰則規定がある。
■動物愛護法
第四十四条
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、
二年以下の懲役又は
二百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健
康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負
傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、
百万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
これを見てもわかるように、日本は動物の愛護や福祉に関しては後進国で、罰則は驚くほど軽い。法律は量的にも内容的にもしっかりしてきたようなのに、行政によるチェックや処分が甘いままなのが現状だ。
なぜ、たくさんの人たちが署名をして、ウッチーを無残な死に追いやった関係者たちをゆるせないからと、厳正な捜査と処罰を求めているのか考えてみてほしい。おそらく、心から反省をしない関係者たちへの怒りと、甘い社会的な処分を下すだけでは何も変わらないと考えているからだと思う。動物園というものが動物への待遇を変えて行くにはまず、先進国並みの正当な裁きの前例が何よりも必要ではないかと考えている。そうでなければ、ウッチーは死んでも死にきれないだろう!
厳正な捜査と
正当な処罰を
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