FIFA女子ワールドカップ2019フランス大会の決勝トーナメント全組み合わせの決定は21日。一方、なでしこジャパンのグループリーグ通過順位はイングランド戦の試合結果で20日の深夜に決定。結局2位通過。
決勝トーナメント(Knockout Stage) 1回戦の見どころは沢山あるのでこの記事を参考にしながら試合観戦を楽しんで下さいね!
個人的には、
- なでしこジャパンがベスト8になるか?
- FIFAワールドランキングTop10チームが順当にベスト8になるか?。現時点ではトップ10以外から1チームがベスト8と予想
- 同じアジアの仲間のGSで唯一Top10以外のチーム(イタリア)に負けたオーストラリアはランク6位の実力を発揮してベスト8確実?
- 同じアジアの仲間の中国がPK戦に持ち込んでベスト8に名乗り出る?
- 日本、オーストラリア、中国が揃ってベスト8になるか?
凄いことが起こるかもしれないね! 尚、ベスト8の予想は決勝Tの組み合せが決定する21日まで更新。組み合わせ修正後は結果だけ追記。
決勝Tへ進めるチームは残り2席(20日時点)
予想通りFIFA女子ワールドランキングTop10のチームは全て決勝トーナメント進出。そしてTop20以内では7チーム中4チームが決勝T進出決定。予想的中は16チーム中14チームだが、お隣の韓国は間違いなく決勝Tへ進めると分析(+確信)していたが予想外れとなってしまった。
決勝Tへの残りは2席。可能性の高いところに限定すれば、スコットランド、ニュージーランド、ナイジェリア、チリ。ナイジェリア(3試合終了で勝点3)を除いていずれも勝点0、最終戦で勝利すればこの中の2チームが決勝Tへ進むだろう。
結果的には、チリの勝利(対タイ)が3点差以上でなかったためカメルーンが決勝Tへ進出。ナイジェリアは幸運にも決勝T。なお、スコットランドは73分までアルゼンチンに3-0でリードしていたにもかかわらず終わってみれば3-3の引き分けで決勝Tへ進めなかった。
勝点3&得失点マイナスでも決勝Tへ進めるの?
今回のグループステージ抽選方法の変更(大陸間のバランスよりもランキング重視)で勝点3&得失点差マイナスでも上記の4チームの内2チームが決勝Tへ進めるようだ。
結果:ナイジェリアとカメルーンが勝点3、得失点-2で決勝T
ただ、問題点がある、既にグループ3位で決勝T進出を決めている中国とブラジルがどっちの3位枠に割当てられるかで運命が左右される(誰がどう決めるのか謎、情報があれば教えてほしい)。
決勝トーナメント1回戦の組み合わせ
決勝トーナメント1回戦の組み合わせについての予想は下記の表の通りであるが、決定次第更新します。なお、過去3回のW杯(2007,2011,2015)を調べたが、直前のFIFAランキングTop10以外のチームから1~2チームがベスト8になっている。
今大会ではランキング15位のイタリアがベスト8に進出するだろう。実力のある13位のスペインにとっては最悪の組み合わせとなった。
マ ッ チNo. | 組 | チーム |
| チーム | 組 |
37 | A組2位 | ノルウェー | 対 | オーストラリア | C組2位 |
39 | D組1位 | イングランド | 対 | カメルーン | BEF3位 |
40 | A組1位 | フランス | 対 | ブラジル | CDE3位 |
41 | B組2位 | スペイン | 対 | アメリカ | F組1位 |
43 | C組1位 | イタリア | 対 | 中国 | ABF3位 |
44 | E組1位 | オランダ | 対 | 日本 | D組2位 |
38 | B組1位 | ドイツ | 対 | ナイジェリア | ACD3位 |
42 | F組2位 | スウェーデン | 対 | カナダ | E組2位 |
決勝トーナメント1回戦の勝敗予想
それでは勝敗予想を1試合ごとに考察していきましょう。
これまでの3試合でVARが最も活躍。ゴール数は8。その内VAR判定が2。それ以外にVAR判定で得点が取り消された幻のゴールが2。幻のゴールを含めると10ゴールの内なんと40%にVARが関与。さらにPK宣告がVAR判定で取消1件。
( )内の数字は出場国の最新FIFA女子ワールドランキング
ノルウェー(12) 対 オーストラリア(6)
W杯前
- ノルウェーの本当の実力が見えない。2019年度に入ってランク19位のニュージーランドに負ける一方で中国やスコットランドに勝利
- オーストラリアは2018年度に下位チームに取りこぼすこともあったが2019年度はきっちり勝利しているが、6/2 W杯Warm-upマッチでオランダに0-3で負けたのが気になる
W杯
- ノルウェーは運よく勝ち上がった。PK2点で韓国に勝ったがシュート数で圧倒された。グループA3位のナイジェリアに対しても3-0ほどの実力差はなかった。守備はいいが攻撃力はそれ程でもない。
- 格下のイタリアに負けて守備の不安定さを露呈したオーストラリアだが、攻撃力は評判通り。GS終了時点でW杯得点ランキングトップタイの世界No.1ストライカー、サマンサ・カー(永里優季の相方)を擁するので守備さえ安定すれば勝利間違いなし。
- オーストラリア勝利の確率90%
結果:ノルウェー 1 -1 オーストラリア PK 4-1 ノルウェー勝利VAR活躍
オーストラリアの楽勝と予想したがノルウェーの実力を過小評価していた。昨年11月のなでしことの親善試合において1-4で負けた時のメンバーの7名がこの試合でも先発。ほとんどプレスもかけないノルウェーに対してなでしこが思うように攻撃できたのでその時は「たいしたことない」印象を持った。
必ずしもオーストラリアの下位チームによく取りこぼす甘さが出たとは言えないが、前半の好機に得点できず逆にノルウェーに先制点を許したオーストラリアは前半PA内のハンドの判定がVARで取り消され、延長戦で一発レッドカードをもらい精神的に自滅。
オーストラリアの守備の甘さも目立ったが、ノルウェーの諦めない精神が実を結んだ。ただ、後で分かったことだが、かわいそうにオーストラリアは最悪の状態でW杯に臨んでいた。2月に監督解任があり戦術変更等でチームの士気は低下していた。この件については別記事で詳しく書いてW杯終了後に紹介します。
イングランド(3) 対 カメルーン(46)
W杯前
- イングランドは2019年度スペインに苦戦
- さらに、6/1 ニュージーランドにまさかの0-1
- イングランドに不安定な面はあるが実力差は大きい
W杯
- イングランドはシュート数の多い割に得点が少ない。ただ、得点すれば勝てるという結果をこのワールドカップでも示している。安定したパーフォーマンを発揮できるかが大きなポイント
- オランダから1点取ったカメルーンがイングランドからも1点取れるか? 最も興味深い点である
- イングランド勝利の確率90%
結果:イングランド 3 -0 カメルーンVAR大活躍
1点目はカメルーンDFのトラップが大きくなりそれをGKがキャッチ。ファールを取られ間接フリーキックで得点(スペースがない中よく決めたね)。2点目はVARでオフサイドの判定が覆りゴール。
カメルーンもゴールしたが今度はVARの判定でオフサイドとなり得点ならず。点差ほどの実力差は感じられなかった(シュート数:イングランド 7-8 カメルーン)が、ホワイトの4試合4ゴールの決定力が勝負を分けた。
フランス(3) 対 ブラジル(10)
W杯前
- フランスは強豪国との対戦で2019年度わずか1敗。安定度抜群。1敗は圧倒したにもかかわらず敗れた3月のドイツ戦
- ブラジルは最近の試合では全敗。ただ、若干落ち気味であるが得点こそ少ないものの攻撃力はすごい。守備力はいまいち
W杯
- ブラジルは自信を取り戻してきたようだが、これまでと同じで強豪国には勝てなかった(対オーストラリア)
- フランスがこれまでの3試合と同様にプレーすればブラジルは先制したとしても勝てないだろう
- フランス勝利の確率90%
結果:フランス 2 - 1 ブラジルVAR大活躍
前半24分フランスがヘッディングで先制したと思われたが、VAR判定でキーパーチャージを取られノーゴール。逆にブラジルは一旦オフサイド判定されたがVARで判定が覆り同点。1-1の同点となり延長へもつれ込むが地力で勝るフランスがやっと延長後半で競り勝つ。
スペイン(13) 対 アメリカ(1)
W杯前
- アメリカは2019年度に入ってから失点が増えたが攻撃力はすさまじい。国内のシーズンが始まれば守備も安定してくるだろう
- スペインは2019年度の強化試合でブラジルに勝利。さらに負けはしたがイングランドと互角以上に戦うなど、非常に実力がある。
- 2019年1月の交際親善試合では1-0でアメリカ勝利
W杯
- スペインは中国を圧倒するなど凄まじい攻撃力。ただ、決定力に欠ける。ドイツ戦でもボール支配率では64%でドイツを圧倒
- アメリカはスウェーデン戦で安定したパーフォーマンス発揮
- アメリカ勝利の確率80%
結果:アメリカ 2 - 1 スペインVAR活躍
アメリカは前半と後半にPA内でファールを受け、共にラピノーが決めて2得点。特に2点目のファールはスペインにとって厳しい判定だったがVAR確認で判定通り。
一方、スペインはアメリカにPKで1点献上直後の前半9分に相手GKからDFへのパスをカット。ゴール。アメリカにとってはシュート本数も枠内シュートも普段より極端に少なく、それぞれ10本と2本、かなり厳しい試合だったが、むしろスペインの健闘を讃えるべきである。
イタリア(15) 対 中国(16)
W杯前
- 中国の実力は年々アップしているが2019年度の強化試合ではオランダにPK負けした以外、良い結果が出ていない
- イタリアの実力度は計りにくい。というのも強豪国との対戦が最近ないからだ。また、Top10以外のチームに対して圧倒する力を持っている訳でもないが安定した結果を残している。
W杯
- イタリアはオーストラリア戦にはシュート数・ボール支配率で圧倒されながらも勝利した。守りは固そう
- 中国のGKはすごい。強豪国対して失点が少ない理由が分かった
- イタリアはせいぜい1点もぎ取るのが精いっぱいではないか?
- ただ、中国もイタリアから得点するのは厳しい
- 拮抗した試合になるが中国が先制するか、PKになれば中国の勝利が見えてくる
- イタリア勝利の確率 55%
結果:イタリア 2 - 0 中国
少ないチャンスを生かしたイタリア。中国の19本のシュート、6本の枠内シュートに対してイタリアは、それぞれ17本と5本。グループステージでも14本の枠内シュートで7得点しているイタリアは決定力の差で中国を下した。
オランダ(8) 対 日本(7)
W杯前
- オランダの調子がおかしい。2019年度に入ってスペインやランク28位のポーランドに負けている。強豪国との対戦がないので実力は未知数
- なでしこジャパンは強豪国に対しては引き分けが精一杯でブラジル戦以外勝てていない。しかし、オランダとの実力差はそれ程ないと思う
- なでしこが粘り強い守備で前半を無失点で切り抜ければベスト8の確率がかなり高くなる
- なお、2018年3月にアルガルベカップで対戦したが2-6で負けた。なでしこの主力メンバーが大きく変わっているので参考にはならない
W杯
- オランダはカナダ戦に勝利したが、実力的には五分五分。ただ攻撃力はカナダより上なのが気になる
- 日本はプレッシャーを受けると苦戦(アルゼンチン戦)するが、スペースがあればダイナミックにプレーできる(スコットランド戦やイングランド戦の後半)。オランダのプレスが弱くなれば日本勝利の可能性が高くなる
- スコットランド戦でPKを取られても仕方ない場面があったが、運が良かった
- 実力的には紙一重なので運+PK狙いで予想を覆してほしい
鮫島選手も語る「前半失点しないこと」(追記)
この記事で鮫島選手が次のように語っている。(日刊スポーツ史からの引用)
岩渕と同じく3度目のW杯となるDF鮫島は「いろんなプレッシャーがかかる試合になる。前半を無失点で後半勝負に持っていけたらいいなと思う。クロス対応など、ペナルティーエリア内の攻防でどちらが勝つか」
オランダ勝率の確率は60%と予想したが、この記事を読んでオランダ、日本、共に50%と変更します。鮫島選手の気持がチームメートと共有されることで選手一丸となって前半無失点で乗り切るだろう。
結果:オランダ 2 - 1 日本
前半17分コーナーキックからの失点で先制点を与えてしまったが、岩淵からのパスを受けた長谷川が前半終了前にゴール。1-1で迎えた後半は攻勢に転じたがたびたびの決定機を決めきれず終盤へ。
オランダはわずかなチャンスにPA内でハンドを得てPKを決め2-1と勝ち越しそのまま終了。内容では互角、後半は互角以上だったのに課題の前半失点と決定力不足が勝負を決めた。
試合終了後笑っている若い選手が写っているのを見て、負けても仕方ないと感じた。「オランダ戦の展望とスタメン予想・期待」で記述したが、4試合を通して「ワールドカップへのこだわり」に一部の若手と中堅・ベテラン選手の間に相当の距離感があったように思う。この点が最大の敗因かも知れない。
ドイツ(2) 対 ナイジェリア(38)
W杯前
- ドイツは世代交代中。されどワールドランキング2位
- 実力的には世界2位の評価に疑問だが、少なくても4~6位のレベル
- 2019年度に入りフランスに勝ったが内容的には負けに等しかった。しかし、攻撃力は日本戦で見せたようにかなり高い
W杯
- ドイツの守備は固い。スペインにボール支配率で圧倒されても(36%:64%)得点を許さなかった。攻撃力もかなり高い
- ナイジェリアは幸運にも韓国の不調で決勝T進出。しかし、守備はよさそうだ
- ドイツが3点取れるかどうかでドイツの実力が測れるが、無理はしないだろう
- ドイツ勝利の確率90%
結果:ドイツ 3 - 0 ナイジェリア ドイツ勝利
ナイジェリアはランキング2位のドイツに対して得点チャンスも作りよく頑張ったが、前半の2失点(内1失点はアンラッキーなPK)と後半のパスミスが響き予想通りの結果となった。
スウェーデン(9) 対 カナダ(5)
W杯前
- カナダは2019年度に安定した結果を残していてイングランドにも勝利しているが、攻撃力に不安がある
- スウェーデンは2019年度に入ってランク49位の南アフリカに引き分け。そしてランク30位のポルトガルに負けるなど下位チームに取りこぼしている
W杯
- スウェーデンはアメリカ戦で敗れたものの実力通りの結果
- カナダはオランダに内容で勝っているものの得点に結び付けられない
- 実力伯仲で拮抗した試合展開になるだろう
- カナダ勝利の確率60%
結果:スェーデン 1 - 0 カナダ
後半の55分攻めているカナダは不用意なパスミスをカットされ速攻から1点献上。さらにVARの判定でPKを得るがスェーデンのGKのビッグセーブで得点ならず。
ペースを握れるカナダだが、いつもの得点力不足が結果となって現われた。分かっていることだが、パスミスやPA内でのファールはこうした拮抗したゲームでは致命傷となる。
FIFA2019女子W杯:ベスト8進出国予想まとめ
勝負の世界では「絶対はあり得ない」ので多少の予想違いはあるかもしれないが、順当にいけば下記の8カ国がベスト8進出と予想するのが妥当。
予想が外れるとしたら、期待を込めてカナダの代わりにスウェーデン、オランダの代わりに日本。そしてイタリアの代わりに中国。
結果
- オーストラリア(ノルウェーに敗れ敗退)
- イングランド(決定)
- フランス(決定)
- アメリカ(決定)
- イタリア(決定)
- オランダ(決定)
- ドイツ(決定)
- カナダ(スェーデンに敗れ敗退)
ベスト8組み合わせ予想
最初の2戦に最強豪国4チームが集まっている感じ。ドイツはラッキー。
決定
- オーストラリア or ノルウェー 対 イングランド
- フランス 対 アメリカ
- イタリア 対 オランダ
- ドイツ 対 カナダ or スウェーデン
まとめ
以前はアメリカ女子代表チームのグループF組における戦略(準々決勝でフランスと当るのを避ける)が最も気になりアメリカのグループステージ2位通過を前提でベスト8を予想していたが、今回はこれまでの予想にグループステージの成績を加味して予想。アメリカは淑女的な決断(タイ戦で手を抜かず圧勝)で実力通り1位通過。
順当に勝ち進めばベスト8進出国は、
- オーストラリア
- イングランド
- フランス
- アメリカ
- オランダ
- ドイツ
- カナダ
なお、予想が外れるとしたら、期待を込めてカナダの代わりにスウェーデン、オランダの代わりに日本。そしてイタリアの代わりに中国。
いかがでしたか? 皆さんのFIFA女子W杯2019ベスト8に向けての試合を観戦する上で参考になれば幸いです。