4大会ぶり3度目の優勝、おめでとう!
E-1サッカー選手権(前身:東アジアサッカーカップ)は2年おきに開催される東アジアの最強国を決める大会。今回は2019/12/10(火)~2019/12/18(水) 韓国で開催された。
【結果】韓国と中国に圧勝できず東京五輪メダル獲得に赤信号点灯。案の定、その後の大会、2020年3月のSheBelievesカップでは3戦全敗。これまでの最悪。とにかくここ数年の課題が全く解消されていない。幸い、東京五輪が1年延期となったので課題解消に全力投球してほしい。
はじめに
残念ながら北朝鮮は参加しないことになった。しかし10月強豪国カナダに大勝したなでしこジャパンが、韓国戦・中国戦で同様のパーフォーマンスを発揮できるか? なでしこジャパンが個々の成長とチームの実力を証明する絶好の機会である。
主な注目点としては、
- 韓国・中国に圧勝するか?
- 東京五輪代表候補は固定されたか?
それでは予想メンバー・試合結果(後日)をお伝えしましょう。
実力を証明するには韓国・中国に圧勝すること
韓国は2019年9月FIFA女子ワールドランキングで20位、中国は16位。なでしこジャパンは2018年4月のアジアカップと同年8月のアジア大会で勝利したものの韓国・中国に圧勝したわけではない。
現体制になってからの成績は、
- 韓国とは前回のE-1選手権から3回対戦:2勝1分得点5失点3
- 中国とは前回のE-1選手権から3回対戦:3勝得点5失点1
トップ10のカナダ(FIFA女子ランキング7位)に4-0で大勝したがその実力は本物か? この真剣勝負の舞台で証明するだろう。
なぜ圧勝すべきなのか?
東京五輪でメダルを獲得するには、
- E組のトップ10の2チーム(スウェーデン、イングランド、カナダ、ブラジルにうち2チームが予想される)に引き分け以上
- これまでの五輪データを見ればベスト8に進めるのはトップ10チーム
- 準々決勝を含めてトップ10チームに2~3勝しないとメダルには届かない
そのためには課題の守備力と決定力不足が改善されていることが必要条件。改善されているならば、これまでの韓国・中国との直接対決の内容を間違いなく上回る。それができらば東京五輪ベスト4は間違いない。なお、東京五輪組み合わせ予想についてはこちらをどうぞ!
期待値としては、
- 無失点
- 2得点以上
このハードルがクリアーできれば、なでしこジャパンは東京五輪でUSAと決勝で戦う可能性も十分ある。因みに、韓国は10月の米国遠征でUSAと対戦し1分1敗(2-0負と1-1分)。中国はブラジル遠征でカナダに4-0で大勝したブラジル相手に引き分け(0-0PK勝)。仮想トップ10チームとして申し分ない両チームである。なお、強豪国の最新試合情報はこちら!
東京五輪代表候補は固定されたか?
代表メンバーの内17名は固定された!?
10月24日に南アフリカ戦招集メンバーの発表があったが、
- 25名中9名が2019年度代表プレー実績 0分~15分未満
- この9名を外すと16名はいつものメンバー
- この16名に南アフリカ戦をケガで欠場したDF鮫島彩とGK平尾知佳を加えるとぴったり18名
この18名がE-1サッカー選手権に招集されることは間違いない。もっと言えば、この18名の内 GK1名を除いた17名が五輪メンバーになるだろう。18名のメンバーは固定されてもいいが、スタメンを入れ替えて臨んでほしい。
スタメン変更は東京五輪においてキーポイント
東京五輪では準決勝までの5試合を18名でしかも中2の日程で戦う。同じスタメンで戦い抜けるとは思えない。先発が変わっても同じレベルのパーフォーマンスを発揮できてこそベスト4へたどり着ける。E-1サッカー選手権はスタメン変更の良いチャンス。
なでしこジャパン予想メンバー
先ほど触れたが18名は鉄板メンバー。ただ、熊谷紗希の招集は無理だろう。
鉄板メンバー以外で召集される(例えば、浦和レッズ・レディース高橋はな選手や日テレ・ベレーザの土光光真代)選手が台湾戦で先発起用されるかは注目点である。もし先発起用されるなら東京五輪代表候補と考えていい。鉄板18名のプロフィールについては南アフリカ戦のメンバーをご覧ください。
鉄板メンバー以外の選手プロフィールは発表の後に付け加えましょう。
招集メンバーは赤字
鉄板メンバー18名
- 池田咲紀子(浦和レッズレディース)
- 山下杏也加(日テレ・ベレーザ)
- 平尾知佳(アルビレックス新潟レディース)
- 熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)
- 鮫島 彩(INAC神戸レオネッサ)
- 三宅史織(INAC神戸レオネッサ)
- 清水梨紗(日テレ・ベレーザ)
- 宮川麻都(日テレ・ベレーザ)
- 南 萌華(浦和レッズレディース)
- 中島依美(INAC神戸レオネッサ)
- 籾木結花(日テレ・ベレーザ)
- 長谷川唯(日テレ・ベレーザ)
- 杉田妃和(INAC神戸レオネッサ)
- 三浦成美(日テレ・ベレーザ)
- 遠藤 純(日テレ・ベレーザ)
- 菅澤優衣香(浦和レッズレディース)コンディション不良で辞退
- 岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)
- 小林里歌子(日テレ・ベレーザ)
鉄板メンバーを除く招集メンバー
- 土光真代 日テレ・ベレーザ
- 松原有沙 ノジマステラ神奈川相模原
- 清家貴子 浦和レッズレディース
- 栗島朱里 浦和レッズレディース
- 田中美南 日テレ・ベレーザ
- 植木理子 日テレ・ベレーザ ケガで辞退
- 池尻茉由 水原都市公社女子SC
- 林穂之香 C大阪 堺
- 上野夏実 愛媛
E-1サッカー選手権成績表
結果
- 12月11日(水)日本 vs 台湾
- 12月14日(土)中国 vs 日本
- 12月17日(火)韓国 vs 日本
成績表
チーム名 | 勝点 | 勝 分敗 | 得点 | 失点 | 得失点 |
中国 | 4 | 1 1 1 | 1 | 3 | -2 |
日本 | 9 | 3 0 0 | 13 | 0 | 13 |
台湾 | 0 | 0 0 3 | 0 | 13 | -13 |
韓国 | 4 | 1 1 1 | 3 | 1 | 2 |
マッチレポート
中国戦 3-0勝
得点:岩渕 3
フォーメーション:4-2-3-1
先発メンバー
- GK 山下杏也
- DF 清水梨紗、南萌華、宮川麻都、松原有沙
- MF 杉田妃和、籾木結花、長谷川唯、三浦成美
- FW 岩渕真奈、池尻茉由
試合経過
- 前半:やや押し気味に試合をすすめ前半9分横パスを受けた岩渕のシュートで先制。その後は一進一退の攻防が展開されたが終了間際に長谷川の縦パスを受けた岩渕が2点目ゲット。2点とも岩渕の技術の高さが光った得点。少ない得点チャンスで2点ゲットしたのは称賛に値する。
- 後半:なでしこはパスミスが散見されるも早い判断で連係しながら終始押し気味に進めるなか、交替で入ったばかりの小林からのクロスをキーパーがはじき、そのこぼれ球を岩渕が押し込み3点目をゲット。その後もなでしこのペースで進み安定した守備を見せたなでしこジャパンが中国を完封。
寸評
- 非常に良いパーフォーマンスを見せてくれた。時折激しい当たりをみせた中国であったが、「中国に元気がない」と感じるほど、なでしこの素早い判断、パスワークが光った試合であった。中国は思うようにプレスを掛けられず完敗。韓国戦でもこのパーフォーマンスを発揮できればなでしこジャパンの実力は本物、かなりレベルアップしたと考えて間違いない。
台湾戦 9-0勝
韓国戦
岩渕、長谷川、土光 ケガで離脱
得点:籾木(PK)
フォーメーション:4 - 4 - 2
先発メンバー
- GK 18 山下杏也加
- DF 4 三宅史織
- DF 5 南萌華
- DF 16 宮川麻都
- MF 6 杉田妃和
- MF 7 中島依美(Cap)
- MF 10 籾木結花
- MF 17 三浦成美
- DF 19 遠藤純
- FW 12 池尻茉由
- FW 15 田中美南
試合経過
- 前半:やや優勢に試合を進めていたが、パス回しでチャンスを作りだそうという意図は理解できるがDFを崩す、ミドルシュートを狙う、などの試みが少なく、韓国が脅威を感じるほどの攻撃ができなかた。0-0で終了。韓国の攻撃はそれ程でないのでミスをしない限り失点することはないだろう。後半は韓国を圧倒するような攻撃を示してほしい。それができれば世界レベルだ。
- 後半:前半と同じ様になでしこジャパンがやや押し気味に試合するがビッグチャンスは作れず。一方、韓国はDFの裏を狙うも日本のDF陣が跳ね返す。終盤になると中2日の日本の動きが中1日の韓国の動きを上回りやや一方的に攻撃。そうした中、PA付近の中島からのパスを受けた籾木選手のシュートが相手DFのハンドを誘いPKを獲得。これを籾木選手が決めようやく一点。アディッショナルタイムに入るが韓国を無失点で抑えて試合終了。
寸評
- 優勝おめでとう!今大会無失点であったこと、結果を残したこと、これらは評価に値する。しかし、スピードや多彩な攻撃などが見られず満足するレベルの試合内容ではなかった。世界の強豪と比較した場合、これで強豪に勝てるのか?東京五輪でメダルを獲得するにはTop10のチームを4回倒さなければならない。グループステージで2試合、そして準々決勝で1試合。準決勝or3位決定戦で1試合。これは簡単なことではない。技術的に不足している訳ではないが、何か物足りない感じがする。岩渕・長谷川・籾木など攻撃の中心選手はいるが、攻撃の起点・スイッチを入れられるリーダー格の選手がいないのがそう感じさせるのかも知れない。
テレビ放映
- 12月11日 午後15:50~ フジテレビ
- 12月14日 午後15:30~ フジテレビ
- 12月17日 午後19:00~ フジテレビ
まとめ
E-1サッカー選手権(前身:東アジアサッカーカップ)はなでしこジャパンにとって個々の成長とチームの実力を証明する絶好の機会である。その証明の為、強豪カナダに大勝した時と同じようなパーフォーマンスの発揮を期待したい。
これが最大の見どころであるが、もう一つの見どころはスタメンである。おそらく東京五輪代表として間違いないと言ってよい鉄板メンバーが招集され、鉄板メンバーで試合に臨むだろう。それは非常に良いとしてスタメンの変更を東京五輪向けに試してほしい。
東京五輪ではGKの招集は2名だろう。そうなれば少なくても1名の枠が空き、いづれ鉄板メンバーに加わることになる。その意味で台湾戦には鉄板メンバー以外のスタメン起用を期待する。また、台湾戦で起用されるGKが第二のGKとして東京五輪に招集されるだろう。