ハリス米副大統領がトランプ前米大統領をリードしているとの世論調査結果が、米連邦準備理事会(FRB)による9月利下げの市場織り込みを増大させ、ドル売り・円買いを仕掛ける海外勢の追い風になっているようだ。円高は日経平均の下落につながり、24日午後の東京市場で日経平均は一時、前日比400円を超える下落を演じ、3万9000円割れが視野に入ったとの声も出始めている。
<44%対42%でハリス氏リードの世論調査>
7月22-23日に実施されたロイター/イプソスの世論調査によると、ハリス氏は44%対42%でトランプ氏をリードした。7月1-2日の同調査では、トランプ氏がハリス氏を1%ポイントリード。15─16日の調査で44%と並ばれたトランプ氏は、今回の調査で逆転された。
また、無所属で出馬した弁護士のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を加えた場合の支持率調査では、ハリス氏がトランプ氏を42%対38%でリードした。
「確トラ」とまで表現されたトランプ氏優位の選挙情勢は、足元で大きく変動しようとしている。この波紋は、早速マーケットに波及した。
<欧州勢が円買い・日本株売り>
24日の東京市場は、午前から日経平均が売りに押されていたものの、その要因は前日の米株安と155円台というやや円高方向の外為市場の取引だった。
ところが、午後に入って欧州勢が参加してくると、様相が異なってきた。ドル売り・円買い注文が優勢になり、ドル/円は154円台に下落。つれて日経平均も3万9100円台まで水準を切り下げた。
一部の欧州勢が注目したのは、ハリス氏優勢の世論調査だった。トランプ氏は11月の米大統領選前の米利下げに反対する意向を示していたが、ハリス氏優勢なら9月利下げの可能性が高まるとの読みが、ドル売りを仕掛ける側にあったようだ。
<注目される膨らんだ円売りポジション>
ハリス氏が11月に当選すれば、米利下げの流れがさらに強まり、これは「ドル安・円高の材料になる」との見方が他の参加者のドル売り・円買いを誘発するのではないかという声も出ている。
円高が進めば、日経平均も売りが優勢にならざるを得ず、すでにチャート的にも5日線と25日線を割り込んでいる中では「円高は日本株売り」の声が影響力を持ちやすくなる地合いとなっている。
ハリス氏優勢の世論調査がさらに出てくるならば、24日のNY市場でドル安・円高がさらに進むことも予想される。円売りの先物ポジションが膨らんでいる中、ドル/円をめぐる値動きは、にわかに緊張感を強めてきた。