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ヒルネボウ

笑ってもいいかなあ? 笑うしかないとも。
本ブログは、一部の人にとって、愉快な表現が含まれています。

モロシになりそう。 ~タニエ

2025-04-10 01:34:24 | エッセイ

   モロシになりそう。

   ~タニエ

田中邦衛の名前が思い出せなかった。その名前が浮びそうになると、北林谷栄の名前が横から出て被さる。

北林谷栄の名前をわざと気にしてみたら、タニエの音が強くなり、タ・ニエになり、タ○○・○ニエを経由して、田中邦衛になった。

私は彼が嫌いだった。なぜなら、子供の頃、彼に似ていると言って、からかわれたからだ。「やあい、青大将」と呼ばれた。若大将シリーズを一本も見たことがなかったので、何の反応もできなかった。ついでに加山雄三も嫌いになった。いや、嫌いということにした。「なぜ、『若大将』を見ないのか」と聞かれても、答えられなかったからだ。予告編を一度だけ見て、「加山は大根だ」と触れて回った。

未だに加山雄三の映画を見たことがない。

大坂志郎に似ていると言われたこともある。

思い出せなかったのではなく、思い出したくなかったのに、部分的に思い出せるようになったのかもしれない。思い出したくなかった理由は、他にも考えられるが、それはさておき、思い出す勇気が出たのかもしれない。いや、守備力が減退したのかもしれない。

まあ、いいや。どうせ、死ぬんだ、遅かれ早かれ。

ここまで書いて、転寝をして、目が覚めると、『青島要塞爆撃命令』を思い出した。あれに加山が出ていたんじゃなかったか。あれなら、見た。共演は、あの、ええっと、目つきの悪い……。違うかな。はあ。あの顔、思い出したくない。

(終)


モロシになりそう。 ~涼子ちゃん

2025-04-09 00:52:44 | エッセイ

   モロシになりそう。

   ~涼子ちゃん

夢に広末涼子が出ていた。夢だったと思う。そうだとしても、どんな夢だか、忘れた。

彼女の名前が思い出せなかった。〈広○涼子〉と浮かぶが、広沢? 違うよな。

二日ほどして、突然、思い出した。やれやれ。

そのまた二日後が今日で、テレビを点けたら、〈自称・広末涼子〉というテロップが出ていた。〈自称〉って何だよ。顔写真は彼女のようだ。本名じゃなかったのか。〈自称・女優〉の間違いかな。

『ロンバケ』に彼女が出ていた。奥沢涼子という女学生がいたが、その役をやっていたのは、広末涼子ではない。りょうでもない。こんがらがる。

広末+奥沢→広沢か。

「先輩……来るの、すごく早かったね」

ド、ド、ド、シドシラソ、ミラ~

(終)


モロシになりそう。~狭い

2025-04-05 23:56:27 | エッセイ

   モロシになりそう。

   ~狭い

随分前から、〈狭〉という漢字が思い出せないでいた。

狭い場所が嫌いだからか。「三畳一間の小さな下宿」という歌なんか、嫌いだ。映画の『穴』や『大脱走』を見るのは苦しい。『ショーシャンクの空に』となると、もう、喘ぐほどなのだ。『クーリエ』なら、三畳より広そうだから、囚人に同情する余裕はある。

しかし、思い出せない理由は、閉所恐怖ではなさそうだ。

いや、違った。思い出せないのではない。思い出しはするのだ。ところが、納得できない。〈狭〉と〈狡〉と〈挟〉が頭の中でごっちゃになる。そのことに気づいて、ごっちゃになるわけを考えてみた。すると、すぐに思いついた。

〈せまい〉という意味と獣偏が合わないからだろう。

旁に問題はない。〈挟〉や〈峡〉や〈鋏〉という字を知っているからだ。旧字では、〈大〉の両側に〈人〉がある。「手をひろげて立つ人の両わきを左右から手ではさむさまにかたどり、はさむの意味を表す      」(『新漢語林』「夾」)という。〈頬〉は、〈頁〉つまり頭などを挟むんダッチューノ。

〈狭〉は「陜の俗字」(『新漢語林』「狭」)だってさ。

なあんだ。

でも、なぜ、阜偏が獣偏になったのだろう。里が犬になったのは、なぜだろう。草書のせいか。まあ、いいや。

とにかく、よく知らないで覚えていたことは、時が経つにつれて、どんどん、不確かになっていく。

私は誰? ここはどこ? 

私のような誰かが、帰る家を忘れて、うろうろしている。数年前から、そんな夢をよく見るようになった。私or誰かの部屋は狭いようだ。そこに帰りたくないんだけど帰る所はそこしかないというようなことか。

獣の私が安穏に暮らせる里はない。なかった。

思い出した。

小学生の頃、しばしば、出窓の下の棺桶ほどの空間に入り込み、戸を閉めて、ちょっとだけ開いて光を入れ、しばらく、じっとして、苦しみながら安らいでいた。

以前、その出窓の上あたりに、天井から黄色の物体がぶら下がっていた。それは、生まれるべきではなかった誰かの胴体のようだった。

その黄色は、夜明けの太陽に照らされた天窓の磨りガラスの色だったのかもしれない。だったら、徹夜をしたのだろう。

(終)

 


モロシになりそう。 ~元妻

2025-03-23 00:39:22 | エッセイ

   モロシになりそう。

   ~元妻

夢の中の広い部屋に、明石家さんまがいた。彼と私の間には、小さなテーブルのようなものがある。彼は、私の左にいる男と面会している。話題は、別れた妻のことらしい。二人は、黙りこくっている。左にいるのは吉本隆明か。さんまの元妻と吉本が結婚したらしい。さんまは吉本に彼女の近況を尋ねているらしい。だが、おかしい。吉本の妻は、女優ではない。いや、元女優だったか。知らない。

夢から覚めて、考えた。なぜ、吉本なのか。彼が友人の元妻と結婚したことと関係があるのか。あるのかもしれない。吉本新喜劇と関係があるのか。ないな。

彼女が誰なのか、勿論、ちゃんと知っている。近頃、テレビ・ドラマの再放送があって、それに出てくる。

私は、彼女のことがあまり好きではない。『男女七人秋物語』のラストがわざとらしくて、がっかりしたせいかもしれない。当然、彼女のせいではない。理由は他にもありそうだ。ドラマのラストが、後に、私生活のラストに似てしまったからかもしれない。彼女のせいではない。さんまが狡かったのだ。

彼女を初めて見たのは、映画だった。題名は忘れた。脇役だったが、あまりにも達者なので、その印象が強すぎて、映画の内容を忘れてしまった。ところが、やがて演技が過剰になり、悪達者で、鼻に付くようになった。

有名人なんだから、調べれば、名前ぐらい、すぐに知れる。だが、わざと調べなかった。〈ネットで検索をすると記憶力が鈍る〉という記事を読んだことがあるからだ。何事であれ、忘れたことを調べないようにしている。

さんまの元妻の名前が思い出せないまま、一週間が経過した。

ところが、夢を見て思い出した。

広い和室に、黒い和服を着た男たちが横一例に並んで座っている。動かない。目覚めてから、ヤクザ映画で観た襲名披露の様子に似ていることに気づいた。名前の関連で出て来たイメージだろう。

私は、彼らの向かい側にいる。私の前にも男たちが座っていそうだが、そうした姿は見えない。私の左に誰かいる。大竹まことらしい。

目覚めつつ、思った。彼女の名前は〈大竹〉かな? でも、違和感がある。彼女は、大柄ではないからだ。また、私が〈大竹まこと〉のことを〈大たわけ〉と呼んでいるからでもある。彼女は〈たわけ〉ではない。

〈大竹〉かもしれないが、下の名が思い出せない。

昼過ぎになって、突然、〈しのぶ〉という名前が浮かんだ。しかし、まだ、納得がいかない。彼女に平仮名の名前は似合わない。では、〈忍〉か。違う。〈中山忍〉ではない。〈中山美穂〉のように可愛らしくもない。

〈大竹しのぶ〉で合ってるのかな? 

自信がない。

「京都にいるときゃ忍と呼ばれたの」(『昔の名前で出ています』)は、関係ないか。

間違っていないとしたら、納得するための何かが足りないのだろう。何が足りないのか? 

中山美穂に死んでほしくなかったからか。

でも、私はミポリンのファンじゃない

「忍」という名の男優がいる。あいつ、大嫌い。

(終)

 


モロシになりそう。 ~おとき

2025-03-21 19:36:45 | エッセイ

   モロシになりそう。

   ~おとき

数日前から、誕生会の歌が頭の中で鳴っている。「ハッピー・バ-ス・デー、ディア・おとき」というのだ。

「おとき」って、誰? 

今日、映像が浮かんだ。テレビ・ドラマの『七人の孫』の一場面らしい。幼い頃に見たので、間違っているかもしれない。「おとき」というのは、七人の孫がいる老人の家の女中だ。樹木希林が演じていたと思う。当時の芸名は違った。思い出せない。

「おときは、近頃、機嫌が悪い」ということで、一家のみんなが心配している。不機嫌な理由を彼女に尋ねても、答えない。誰かが見当をつけて調べたら、数日後が彼女の誕生日だとわかった。一家の誰もがそのことに気づかないので、彼女は拗ねているらしい。自分から言うのは照れ臭い。

人々は彼女の誕生会を開くことにする。ただし、本人には内緒だ。サプライズ! 本当のことを言わない彼女に対する仕返しの意図もあったのだろう。

当日、本人には知らせないまま、食卓に御馳走が並ぶ。並べるのは、本人だ。さあ、いただきましょう。いつもとは違って、彼女は同席させられる。訝しみながら着席すると、みんなが「ハッピー・バ-ス・デー、ディア・おとき」と歌うのだった。

だが、どうして、こんな歌を思い出したのだろう。

祖父を演じていたのは、森繁久弥だ。物語の主人公は孫たちだ。若い彼らの悩みなどを、祖父が聞いて、知恵を貸す。

あるとき、彼は少女に向かって語った。

「私の若い頃は、女は色気を見せてはいけなかったのだよ。オッパイなんかも晒を巻いて胸を平べったくしたもんさ」

この説教を聞かされて素直に頷いていたのは、いしだあゆみだった。二重瞼にする前だ。

彼女が死んだから思い出したのか。

〈いしだあゆみの誕生会ではない〉→〈いしだあゆみの葬式だ〉ということかな。

これを書き終えて3時間後、偶然、TVに樹木希林の昔の姿が映った。当時の芸名も記されていた。

(終)