東京五輪バブルで儲かる人 損する人モフモフ(´ω`*)
「トーキョー」9月7日(現地時間)、アルゼンチンで行われたIOC総会で、ロゲ会長(当時)が2020年の五輪開催地が東京に決まったことを発表した。
その瞬間、日本の招致委員たちは立ち上がり、喜びを爆発させた。
地球の裏側の日本列島も歓喜に沸き、経済効果は3兆円、いや6兆円だ、アベノミクス4本目の矢だ、と期待感を膨らませた。
だが、1週間経つと、五輪開催を喜ぶ温度差が巷(ちまた)では徐々に広がりつつある。
東京・新宿歌舞伎町の飲食店経営者は、「ロゲ前会長のあの声を聞いた瞬間、"心の中のデフレ"が一気に払拭された思いがしたね。五輪開催期間はわずか2週間だけど、それまでの7年間が大きい。これから皆さんには、がっちり稼いでもらって、夜はウチの店でおカネを落としていってもらいたいね」と、イケイケ派。
一方、同じ飲食業でも大阪・北新地のクラブ経営者は、「東京五輪というてもなァ……。大阪に恩恵が回って来るのは、いつも最後の最後ですからね」と懐疑的。
大阪で五輪特需は期待できないと言う。
それでは、どんな人たちが東京五輪で儲かり、逆に誰が損するのだろうか。
「まず大喜びしているのは、霞が関の官僚と永田町の政治家たちでしょう」
そう言うのは現在シンクタンクに勤める元官僚。
「"五輪関連"という題目さえ唱えれば、予算がつくからです。新国立競技場や選手村、各競技施設の建設などが見込まれていますが、このほか、老朽化した首都高速道路やトンネルの改修などもあります。予算がつけば利権も生まれ、官僚や政治家は甘い汁を吸うことができます」
経済評論家の杉村富生氏も、こう言う。
「東京五輪決定で政府は、すでに発表済みの国土強靭化(きょうじんか)計画を進める大義名分を得たことになります。つまり、全国でどんどん公共工事をやれる。これから"五輪バブル"が始まるのは間違いありません」
この"五輪バブル"の中心地は東京湾岸地区。
会場はここに集中するので、開発を行う会社は潤いそうだ。
「湾岸地区のお台場に本社があるフジテレビの上層部が、ある会議で"ウチはいま視聴率的には苦しいが、これですべて解決する"と、胸を張っていたといいます。視聴率の皮算用はともかく、フジは関連会社などで不動産業も大規模に展開し、ダイバーシティなど同地区の開発を牽引してきましたから、さもありなん、です」(民放関係者)
同地区だけでなく近郊でも建築ラッシュとなる。
建築業界からはこんな声が。
「実は、現状でも人手不足なんですよ。特に鉄筋工不足で、10人分の仕事を1人でこなさなきゃならない状況。これ以上仕事が増えたら、みんな過労死するんじゃないかと……。まあ、嬉しい悲鳴ですけどね」(下請け会社社長)
さらに、ある現場関係者は、こう胸を撫で下ろす。
「いまの景気も、続いて来年か再来年までと噂してたんです。東京五輪が決定してくれたおかげで"寿命"が延びました」
家電業界も鼻息が荒い。
49年前の東京五輪がテレビの普及を強力に後押しした"栄光"の再来を期す。
「現在のフルハイビジョンの16倍の解像度を持つ8Kテレビ。この本格放送が東京五輪の年に始まる予定です。これで一気に買い替え需要が増えるはずです」(家電メーカー関係者)
歓喜の声を上げたのは東京ばかりではない。
中央リニア新幹線のルート予定地になっている山梨県でも歓迎ムードが高まっている。
リニアは27年の開業予定だが、五輪開催の20年に前倒しして開業という話が飛び出したのだ。
甲府商工会議所では、「もし全線の開業が間に合わないとしても、東京~甲府間の試験開通は十分期待できると思います。時速500キロ以上の世界は、山梨でしか味わえませんよ」
前回の東京五輪に合わせて東海道新幹線が開通したように、リニア新幹線が20年東京五輪のシンボルになりそうだ。
東京から遠く離れた北の街でも期待が膨らんでいる。
というのも、サッカー1次リーグ(予選)が札幌ドームで行われるためだ。
札幌はかつて冬季五輪が開かれた土地。夏季と冬季、いずれも開催する都市になるのが札幌の誇りだという。
「日本に来る外国人観光客が年間2000万人といわれる時代。五輪を契機に、もっと集客力をつけられるよう知恵を出していきたいですね」(札幌観光協会)
しかし、いいことばかりではない。
まず懸念されるのは、マンションの高騰だ。
「建築業界では人手不足に加えて、建材価格の急騰が問題になっています。円高や東日本大震災の復興需要で、ずいぶん値が上がったところへ五輪が重なると、大変なことになる。特に首都圏のマンションは、30~40代の一般世帯には手が届かなくなるでしょう」(大手不動産業者)