バッグ正面についている、モチーフのくるみバックルの修理依頼です。
実物を見てみないと、直せるかどうかわかりませんでしたので、現物を送っていただきました。
バックルは簡単にはずれました。
これなら修理できそうです。
デザインによっては、バックルをはずすのにかなり解体しなければならないような場合も多いので、そういった際にはお引き受けできません。
これは、普段ご依頼があっても、バッグの修理はあまりお引き受けすることができない理由になりますが、
バッグの修理は、破損個所にたどり着くまでにかなり解体しないと作業できない部分が多く、修理や革の交換よりも、解体と組み立てに時間が掛かります。
失敗もできませんし、針穴もすべて開いている穴を追いかけて縫製しなければなりません。
できないことは無いですが、新品のバッグを作るよりもはるかに難易度が高く、時間も掛かります。
知っている工房のバッグ修理を見ても、1個直すのに職人さんが数日掛かりきりです。
そのため手間賃もその日数分掛かりますから、バッグ修理の相場が数万になるのは致し方ないとしても、私自身、何より、一つの修理にそれだけの時間を費やすことができません。
土日祝日、年末年始も割と休まず作業しているので、一つの修理に数日も時間を使ってしまったら、他のお客様の仕事ができなくなりますし、解体したままで作業中断する訳にも行きませんから、飛込、緊急の作業依頼も受けられなくなります。
こういった理由で、あまりお引き受けはしないないのですが、今回はお客様もネジ式で簡単にはずれそうとおっしゃっていたので、お送りいただきました。
修理ですが、シルバーの革を探したとしても、色合い、艶感が同じようなシルバーの革を探すのはほとんど不可能だと判断しました。
新しくシルバーの革を使えば、そこだけ違和感が出てしまいます。
現状、使い込まれてバックルはほぼ箔が剥がれ、黒くなっています。
お客様からも黒革で良いとのご判断をいただきまして、黒革のできるだけ表情の似たシボ感のある革で修理することになりました。
ピン先も破れていたので、ピンの革巻きも直しました。
色は黒でも、革の質感が非常に似たものを使っているので、結構違和感なく仕上がったと思います。
お客様も満足されていました。
あまりブログに作業価格は記載しないのですが、今回は特殊な修理でしたので参考修理代を記載します。
この修理で4000円(消費税、送料別)でいただいています。
同じケースがあまりあるとは思いませんので、参考価格です。
バッグの修理はあまり引き受けていないのですが、くるみバックルの修理となると、一般のバッグ修理屋さんでも中々できる所が少ないだろうとお引き受けしました。
それはバッグ修理屋さんからくるみバックルだけの修理依頼というのが、時々来るからです。
くるみバックルの修理でしたら、お引き受けできるかもしれませんが、付随するバッグの解体、組み立てに関しては、稼働の関係でお断りする場合もあります。
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