『tokotoko』

Fortune comes in at the merry gate.

『谷川俊太郎/女に』

2012-06-06 | 
今日は、愛の深みと切なさを感じる、
谷川俊太郎さんの『女に』を再読しています



こぶし

なんだったの?
ちいさなちいさなこぶしの中に
固く握りしめていたものは
決してなくすまいとしていたものは
それをあなたは投げつける
まっすぐ私に向かって いまも



会う




私は少しずつあなたに会っていった
あなたの手に触れる前に
魂に触れた



ここ

どっかに行こうと私が言う
どこ行こうかとあなたが言う
ここもいいなと私が言う
ここでもいいねとあなたが言う
言ってるうちに日が暮れて
ここがどこかになっていく



未来




もう何も欲しいとは思わないのに
まだあなたが欲しい



前にも書いた気がするけれど、
東京に出て来て、ものすごくびっくりしたことといえば、
中央線のとある駅の入り口で、
谷川さんとすれ違ったことだった。


教科書のひと、生きてる

すごく失礼なことだけど、
もう、すっごい人だから、生きてるなんて思ってなかった。

だから、すっごくビックリして、すっごく嬉しかった

ちなみに、その駅の改札では、
『渡る世間は鬼ばかり』のピン子さんのだんなさまの、
角野卓造さんともすれ違った。

びっくりした~普通の服着てた
ごめんなさい



『女に』は、一時期生活を共にされた佐野洋子さんが、
絵を描かれています。

一昨年、癌で亡くなった佐野さん、遺作は『死ぬ気まんまん』
ほんとうに、すごい人です。

お母さんとの関係を書いた『シズコさん』を読んだ時も思ったことだけれど、

「あきた、死ぬの、待つのもあきた」という佐野さんの、
まっすぐにのばされたその手や言葉は、

そのまっすぐにのびようとする気持ちを杖にしないと立てないくらいに、
実は繊細だったからなのではないかと思います。

まっすぐに、ある時は暴力的に、投げられる言葉。

子供のようにそのままの感情をぶつけてくるひとは、
本当は、人一倍寂しがり屋の女の子のまま生きているのではないかと、思います。

 

谷川さんの詩集は大好きだけれど、
この数年は『質問箱』の本を大事にしています



ここでの、谷川さんの回答がツボで、
元気がなくなると、開くようにしています




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