達谷窟の近くに(近くといっても、山道を車で15分くらい走るかな)ちょっと風変わりな喫茶店がある。『風聞園』というその喫茶店は、斉藤オーナー夫妻が夕御飯のおかず代くらい儲かれば・・・・・という気持ちから始めた店である。喫茶料800円(だったかな?)を支払うと、紅茶か珈琲を選び、後はお任せの手作りお菓子か楽しめるという嗜好である。過ごし方のおすすめは、ただただ、時間を忘れボーっとすること・・・・・・。 庭の石に腰を下ろして日向ぼっこすること・・・・・・。そして、風を聞くこと、感じること。 ストレスを抱えた現代人には、うってつけの憩いの場になっています。ちょっと風変わりな喫茶店と、オーナー夫妻に出会うと、やみつきになるかも知れません。さて、この『風聞園』2~3年前から、ギャラリーとしても知られています。藍染だったり、漆だったり展示されているのは様々です・・・・・先日は益子から陶芸家の方が来ていて、個展を開いていたとか。見に行った人の言うには、益子焼にしては繊細で、これはと思って手にしようと思ったら・・・・・..だそうです。そして今は、南米コロンビア在住の画家竹久野生(タケヒサノブ)さんの、絵画展が開かれています。ちなみに のぶさんは今、我が達谷西光寺の御供所に逗留しています。風聞園のお問合せは℡0191-25-2596又は達谷西光寺℡0191-46-4931まで この記事の続編は近いうちに
毘沙門様に奉納される踊りといえば、神楽と相場が決まっている筈なのだが、、5月10日は違う趣向であった。世界的な前衛舞踊家である田中泯氏による奉納舞踊会が、執り行われたのである。その舞は場踊りと称し、場所で踊るのではなく場所を踊るという即興的かつ独創的なものである。田中氏は早朝に到着して、御神域にある弐之鳥居付近で、早速午前十時からおよそ二時間近く舞ったという。
当日は日曜日でいい天気だったのに午後から雲が立ち込め、奉納舞踊会の始まる夕刻近くにはポツリポツリと雨が降り始めたが、毘沙門堂での御勤が済んだ午後五時には幸い雨は上がった。しかしあたりは薄暗いのである。
その昼と夜の狭間の神と人の時間が混交する大魔時に、奉納舞踊会が始まったのである。狛犬様の階段を登った崖の下で、着物姿に下駄履きの田中氏がゆっくりと舞う。ありていに言えば普段見慣れた神楽とは違うから、なにがなんだかよく解らないのであるが、皆真剣な眼差しなのである。
田中氏は様々なポーズを執っては、舞う。それはスローモーションで行なう体操の床運動のごとくで、ものすごい筋力を要するものに違いないと感心してみていたら、俄かに動きが激しくなり、田中氏は毘沙門堂の階段を登って堂内に消えたのである。皆が急いで後を追う。
毘沙門堂の外陣では緩急を織り交ぜ、静止して、そしてゆったりと、さらに激しく舞うのを繰り返すから、怪我をしやしないかと心配したのだが、やがて立ち上がり、延年の舞いさながらにゆるりと舞納めて、御宝前に頭を静かに垂れて奉納舞踊会は終わったのである。
観客は、僅かに四十人余りだが、万雷の拍手が止まない。あんなに案内を配ったのに、田植えの最盛期だから、近所の人は冷たいものでほとんど来ないのだが、遠くは福島からはるばるいらしたご婦人もふくめ、熱狂的なファンばかりである。
その晩は田中氏とスタッフを囲んで直会となったが、御神酒が入るに従って舞踏をめぐる芸術論議が喧しくなったので、私は十時に御供所を後にしたのであるが、愉快な一日ではないか。神秘的な舞には毘沙門様も、さぞ御満足の事であろうと察せられるのである。
フラッシュ禁止だったので・・・ピンボケ