今日は曇りときどき雨。今日は7時過ぎに起床した。カーテンを開けて窓の外を見ると、上空には厚い雲が広がっていて日射しが無く、窓の外には寒々しい光景が広がっていた。雨は降っていなかったが、窓の外の風景が湿っぽく見える。北よりの風が吹いて、木々の枝が揺れているのが見えた。
今日は所用で藤沢に行くことにしている。家を出ると、風が身を切るように冷たく感じられた。乗換駅の町田駅に到着すると、既に細い雨が降り出していた。日中は雨時々止む。上空には厚い雲が広がっていて、傘を差しても差さなくてもいいくらいの弱くて冷たい雨がパラパラと降っていた。
正午の気温は7℃で湿度が高く、冷たい北よりの風が吹いている。シャキシャキのシャーベットのような風が吹き付けていて、凍えるように寒い。吐く息が白く、風が身を切るように冷たかった。
藤沢に着くと小田急江ノ島線に乗り換えて本鵠沼駅で下車した。実家に行く前にお昼を食べることにして駅前にあるとんかつ屋「さいとう」に入る。この店はずいぶんと前からあるのは知っていたが、実は店に入るのははじめてだ。店の自動扉は壊れているので、手で扉を開けて店内に入った。
店内は入口から見て左手にカウンターがあり、その前にカウンター席が5席直線上に配されている。右手には2人がけのテーブル席が2卓配されており、その奥は小上がりとなっていて、座敷席になっている。座敷には3卓の座卓が設けられていた。
靴を脱いで小上がりに上がると、座卓の1つに腰を下ろす。卓上には小さなトレーが置かれていて、その上に紙ナプキンと楊枝立て、ミル付き胡椒が置かれている。店主がお冷やとメニューを運んできた。お冷やを飲みながらメニューを開く。
メニューの中に「カキフライ定食(10月より~3月まで)」と書いてあるのに気付いた。そういえば今年は牡蠣を食べていない。これはもう食べるしかない。そこで、この「カキフライ定食」をライス大盛で注文することにした。
注文を終えると、お冷やを飲みながら店内を見渡す。昭和を感じさせる年季の入った店内はどことなく懐かしさを覚える。カウンター卓の上にはシュガーポットや醤油が置かれているのが目に入った。
注文してから料理が出てくるまでに30分くらいはかかっただろうか。店主1人で店を切り盛りしているので仕方ない。しかし、今日は時間に余裕がある上、このゆったりとした時間の流れは心地よい。ちょっとウトウトとしながら料理が出来るのを待った。
しばらくして料理が一式運ばれてきた。目の前には箸が置かれ、カキフライの載った大きな皿と蓋付きの丼、味噌汁、お新香、中濃ソースの入った容器が並べられた。
さっそく丼の蓋を取ると、味噌汁を飲む。味噌汁はワカメと豆腐の味噌汁で、刻みネギが浮かべられた具沢山の味噌汁である。
ワカメのふんわりとした食感に豆腐のツルンとした食感の組み合わせが美味しい。汁を吸った刻みネギがジューシーで、シャキシャキとした食感がアクセントになっている。旨味の中に淡い甘みが感じられて美味しかった。
味噌汁を半分ほども飲んでしまうと、さっそくカキフライを食べることにした。カキフライは特大の大きさで、大きな皿に5個載せられている。カキフライの脇には千切りキャベツが山盛りに盛られていて、スライスしたキュウリが3枚とトマトのカットが1切れ添えられている。千切りキャベツにはフレンチドレッシングがかけられている。
カキフライにはタルタルソースとレモンのカットが1切れ添えられていた。
カットレモンをカキフライの上から搾った。通常は千切りキャベツから箸を付けるのだが、今回はカキフライを1つ先に賞味することにした。
丼に盛られたご飯は米粒から湯気が立っていて、美味しそうである。
ご飯の上にカキフライを1つ載せて、半分に割ってみた。衣の中に詰まったカキの断面からは汁がこぼれてくる。ちなみに使用しているカキは岡山産のカキとのことである。
これにタルタルソースをたっぷりと浸けて口に運んだ。カリッとした衣の中に詰まった特大のカキはプリプリとした歯応えにミルキーな味わいが美味しい。甘くてふんわりとしていながら、食べ応えがある。1個のカキフライでご飯が進む。
タルタルソースを1個のカキフライで全部食べてしまった。2個目のカキフライはご飯の上に載せて、中濃ソースをかけて食べる。中濃ソースを衣にまとったカキフライはまた異なった味わいで美味しい。中濃ソースの旨味がカキの旨味を引き立てているような味わいである。もうどうにもご飯が止まらない。
ここで我に返って、千切りキャベツを片付けることにした。フレンチドレッシングのかかった千切りキャベツはザクザクとした食感で、歯応えがあって美味しい。フレンチドレッシングの酸味がキャベツの甘みと合わさって、サッパリとした味わいである。
トマトとキュウリを食べてしまうと、残りのカキフライに箸を付ける。カキフライにかぶりつきながらご飯をかき込む。気が付くとあっと言う間にカキフライが皿の上から消えていた。
残りのご飯はお新香で食べることにした。お新香は白いタクアンが3切れほど小皿に載せられている。
厚めにカットされたタクアンは甘くて、ジューシーな味わいで美味しい。シャキシャキとした食感で、ご飯も進む。最後の1切れでご飯を片付けると、お椀に残った味噌汁を飲み干した。
食後にコーヒーをもらうことにした。コーヒーを追加で注文する。コーヒーはホットである。
見ていると、ネルドリップでコーヒーを淹れてくれている。
やがてカップに注がれたコーヒーが運ばれてきた。コーヒーカップの載ったソーサーの上にはスプーンとコーヒーフレッシュが添えられている。コーヒーにはシュガーポットが添えられた。
まずはコーヒーをブラックのまま飲む。
ふんわりとした飲み口のコーヒーは優しい苦みが感じられた。
途中でミルクを入れてコーヒーを飲む。口の中がサッパリとした気分である。
コーヒーを飲み干すと、帰り支度をして靴を履いた。代金を現金で払うと店を出た。
店の外に出ると、雨がパラパラと降っている。傘を差すか差さないか迷うほどの弱い雨である。結局、傘を差さずに実家に向かった。
実家にいた後は、藤沢に出て所用を済ませる。午後になって雨は止んだ。雲の合間から青空も垣間見えているが、強い北よりの風が吹いていて、湿った空気が氷のように冷たい。吐く息が白く、手がかじかむような寒さである。
夕方になって、帰宅の途につく。日野に着く頃には既に日は沈んでいて、空は暗くなっている。傘を差すか迷うような弱い雨がパラパラと降っていた。