『六祖壇経』(ろくそだんきょう)は、仏教の経典で、中国禅宗の第六祖・慧能の説法集である。禅宗における根本教典のひとつ。
新しい世界
日月はいつも天上に輝いている。しかし厚い雲に包まれると天上は明るくとも地上は暗やみとなる。
人々の般若の知恵も
これと同じようである。
人々の本性の清らかなことはまるで青空のようである。その知は月のようであり、その恵は太陽のようである。
知恵はいつも輝いているのだが、外に向いてそこにとらわれると、妄念の浮き雲が現れて本性の輝きが覆われてしまう。
やがて妄念が幾重にも厚く重なり、煩悩の根が深くくい込む。それは厚い暗雲が太陽を覆い隠すようなものである。
風が吹き払ってくれないと太陽は姿をあらわすことができない。そのときは友人をたずね妄念を払ってもらわねばならない。
間違った考えは正しい考えで払い、無自覚は自覚で、愚かさは知恵で、悪は善で、迷いは悟りで、払いのけるのである。
このようにして知恵の風が吹きつけ妄念の雲や霧を追い払ってしまうと、ふたたび世界は新しくその姿を現す。
「六祖壇経」般若第二
国宝・一二天屏風(月天)鎌倉時代 京都・東寺
見出し画
六祖截竹図(りくそせっちくず)
絵画 / 宋 / 中国 梁楷筆
南宋時代・13世紀