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「戦後的建前」はもうやめよう。 九州大学大学院比較社会文化研究院・施 光恒

2012-09-20 12:30:00 | 国内
【国家を哲学する施光恒の一筆両断】
(産経新聞(九州・山口特別版)9月19日付)

「戦後的建前」はもうやめよう
九州大学大学院比較社会文化研究院・施 光恒(せ・てるひさ)


日本国憲法前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という言葉があります。
翻訳調の変な日本語ですが、要は外国は平和や公正を愛好しており、日本に悪意を持ったり不当な要求をしたりすることはないので信頼しましょうという意味です。

日本は戦後、この建前のもと外交を行ってきたわけです。

北朝鮮による拉致問題などが明らかになり、この建前は以前に比べてずいぶん崩れてきたとはいえ、いまだに「地球は一つ」「アジアとの共生」「ボーダーレス化こそ時代の流れ」-といった言葉を信奉し、周辺諸国の悪意や脅威になるべく気づかぬふりをすることこそ知的で良識的な態度だという考えが結構残っているようにみえます。

私の住む福岡市もそうです。
福岡市は来年度から中国の公務員を年間800人程度受け入れ、海水淡水化技術やごみ処理技術などの研修を施す計画を発表しましたね。
また、経済振興策の柱として推進しているのは、中国からのクルーズ船客の大量受け入れです。
福岡市はどちらも「国際貢献や国際交流だから問題ない」と言っています。

果たしてそうでしょうか。中国公務員の研修受け入れ計画について8月末までに870件もの批判が電話やメールで市役所に寄せられました。
多くが情報流出や安全保障への懸念の声です。

「親日的とは言いがたい国家に一方的に恩恵を施すべきではない」という声もあります。

中国人観光客への依存を深める福岡市の姿勢に不安を感じる市民も少なくありません。

実際、沖縄・尖閣諸島をめぐる対立をはじめ日中間の懸案は非常に増えています。
ひとたびそれが表面化すれば中国政府はさまざまな圧力をかけてくるに違いありません。

今回も中国政府は中国人ツアー客の日本への渡航制限をさっそく仕掛けてきましたね。

やはり戦後的な建前はもうやめにしたほうがよい。
「周辺諸国が日本に悪意を抱くこともある」という当たり前の事実を冷静に認識し、きちんと対策をとるべきでしょう。

この点に関し、千葉県の最近の試みは参考になると思います。
森田健作知事のリーダーシップのもとタイや台湾など親日的な国々との経済的・文化的交流を深めようとしているからです。

先日、千葉県の担当者から聞いたのですが、親日国との交流には「リスクが少ない」「交渉が円滑に進みやすい」「お互い気持ちよく学べる」-など多数のメリットがあるそうです。

しかも千葉県では、地元企業が中国に進出する際は、台湾企業との連携を推奨しています。
台湾企業は中国の事情に明るく、現地にさまざまなネットワークも持っているため、連携すれば、リスク軽減につながるというわけです。

福岡市も千葉県に学ぶべきではないでしょうか。
外国から研修を受け入れるのであれば、なるべく親日国を優先すべきです。
経済に関しても、気持ちよく付き合うことができ、リスクの少ない親日国との交流を深める方向で取り計らってみてはどうでしょうか。

少なくとも「地球は一つ」などと耳当たりのよい言葉を使いながら周辺諸国の「反日」から目をそらし、「良識」を気取るのはやめていただきたい。
戦後的建前が招いた行政のツケを支払うことになるのは一般市民なんですから。
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