見出し画像

Blog☆HiloⅡ

ヤメ銀 銀行を飛び出すバンカー 秋場 大輔 (著)


「はじめに」によれば,著者が週刊文春で連載した「ヤメ銀~銀行マンは絶滅するのか」「ヤメ銀~絶滅時代のバンカーたちへ」をベースにした新書だそうである。
連載を基に,銀行やバンカーがどんな変還を遂げたのか,バンカーの変化の軌跡が環境変化にふさわしいものだったのかを検証して再構成したので,連載とは趣が違うとも記載されています。
ボクは連載を読んでいないので,先入観なしに本書を読み進んでみました。
著者はバブル期の90年に日本経済新聞社に入社したそうですが,バブルとは縁のない生活を送っていたそうだ。
そんな人が新聞記者になって良かったのかとも思うけど,就職前には家族で香港旅行に行くような,世間知らずのお坊ちゃん育ちだったようである。
そうした著者の目から見た「ヤメ銀」たちですが,ボクが見てきた「ヤメ銀」とは少し違います。
ボクはまさにバブルの時代を生き抜いてきました。
バブルの前からですが赤坂のディスコ「ムゲン」にもよく行きました。
BMW320が六本木のカローラと言われた時代です。
当時一緒に遊んでいた,銀行に勤めていた友人は当然のように銀行を退職して,本書に登場する「ヤメ銀」と同様に事業を始めました。
しかし,そのほとんどが破綻しました。
能力がなかったと言ってしまえばそれまでですが,著者はほんのひとかけらの「ヤメ銀」しか見ていないなあという感想を持ちました。
本書に登場する松田氏。
タリーズやエッグスンを手掛けたとして持ち上げ,立地云々のことを取り上げているけど,それよりも当時超安価だったグリーンビーンズに目をつけたところが良かったのでしょう。
パンケーキの火付け役などと書いているエッグスンはワイキキのお店を日本にもってきて一時騒がれただけのお話。
ハワイにはもっと美味しいお店がたくさんあるし,ハワイ通は「エッグスンはすぐに消えるよ」と冷めた見方をしていました。
実際に日本デビューのころの人気はないし,松田氏はつぶしやのようなイメージに写りました。
「ヤメ銀」が銀行やバンカーを悪く言うシーンも不愉快に思いました。
自分を育ててくれたことに対する感謝の気持ちはないのかと。
銀行は時代によって変化していく必要があるけど,銀行にいながら銀行を改革していく,そういう人材こそ本当に必要とされるのではないか。
最近は銀行に限らず,出戻りを受け入れる企業も多いが,どちらも大切にする。それこそ日本の企業の良さではないだろうか。
ブックカバーの折り返しには,以下のように概要が記載されています。
「ヤメ銀 銀行を飛び出すバンカー 長らくエリート会社員の象徴でありながら,金利自由化~バブル崩壊~金融再編~フィンテック登場と,時代の大波に現れてきた日本のバンカーたち。目まぐるしく変化する環境に適応し,自ら変異した“ヤメ銀”たちが語る銀行でこそ学び得た教訓とは。」
最後の「銀行でこそ学び得た教訓とは」というフレーズをどのように受け取るのか。
そんな思いで読んでいただきたい一冊です。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「読書」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事