昨日はこんな本を読んでみました。
フランスで子育てをする著者の体験を綴った本です。
本の内容の前にボクの自論を先に書かせていただきます。
二年ほど前に,増田寛也さんが座長を務める「日本創成会議」の人口減少問題分科会が,人口減少に伴って多くの自治体が消滅する恐れがあるという発表をしました。
これは衝撃的な発表でした。
ひとりの女性が生涯に二人以上の子供を産まなければ現在の人口を維持していくことが出来ません。(一人の女性が生涯に産む子供の平均数を「合計特殊出生率」と言います)
現状はどうかといえば,一人の女性が産んだ子供の数が2.0人を切ったのはなんと1975年。
42年も前のことです。
しかし当時は絶対数として死ぬ人の数よりも生まれる子の数が多かったために人口自体は増え続けていました。
そのため国は少子化を深刻な問題としてとらえていなかったのです。
そして,1970年後半から1980年前半にかけて第3次ベビーブームが必ずやってくると疑わなかったのです。
ところがその予想が外れ,2008年をピークに人口が減り出してから国は慌てました。
ところが打つ手がない。
そして,2014年には合計特殊出生率が1.42人まで下がりました。
国は育児休業等の小手先だけの政策を打ってきましたがそれも焼け石に水。
このままでは30年後には1億人を切ることがわかってきました。
これは避けることのできない現実です。
人口が減れば税収も減って自治体が存続できなくなる。
当然の成り行きですよね。
政府は50年後には合計特殊出生率を1.8人にまで引き上げて1億人の人口を維持すると言っていますが,そのための政策が今一つはっきりしません。
「保育園落ちた。日本死ね」。に右往左往して待機児童ばかりがクローズアップされているのが現状です。
待機児童をなくすことは具体策のひとつであって,本来国が考えるべきことはもっと根本的なことではないか。
その具体策のひとつを書いたのがこの本です。
だから,このタイトルは少し大げさです。
この本の表紙の裏にはこのようなことが記載されていました。
「少子化に悩む先進国から、子育て大国へ。大転換のカギは、手厚い支援策の根幹を貫く新発想だった。「2週間で男を父親にする」「子供はお腹を痛めて産まなくていい」「保育園に連絡帳は要らない」「3歳からは全員、学校に行く」――。パリ郊外で二児を育てる著者が、現地の実情と生の声を徹底レポート。日本の保育の意外な手厚さ、行き過ぎにも気づかされる、これからの育児と少子化問題を考えるうえで必読の書。」
育児についてならわかるけど,「少子化問題を考えるうえで必読」とは言い過ぎでしょう。
そんな表面的な部分だけで少子化問題を語ってほしくない。
少子化問題ははとても奥が深いのです。
少子化問題を考えるなら,まずは適正な日本の人口についての議論があるべきだし,少子化問題イコール待機児童動という間違いに気づくべきです。
ということで,期待外れの本でした。
フランスの子育てに興味がある人は読んでみてください。
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