晩秋の寺社巡りシリーズも最終回。銚子市の円福寺。
香取駅での鹿島線と成田線の乗継ぎは、ダイヤ上では
わずか1分だが何とか間に合った。
逆に言えば、2時間に1本の鹿島線と1時間に1本の
成田線を、奇跡的に待ち時間なくうまく乗り継げたと
いうこと。
ともあれ鹿島神宮駅からジャスト1時間、午後4時
に銚子駅に降り立つ。利根川の河口まで歩いた7年前
の銚子駅とは見違える、木の香豊かな駅舎となった。
既に夕暮れの雰囲気の中、広い駅前通りから銚子港と
並行して走る国道356号へ出て一路東へ向かう。
国道沿いのヤマサ醤油工場、銚子電鉄線を跨ぐ広大な
敷地の北端である。
ヤマサ醤油の前身、浜口儀兵衛商店10代目店主の悟堂氏
が設立した公正会の本館。夜間中学、図書館などに使われ、
銚子の文化の殿堂であったという。大正末期の建築。
馬場町の交差点を左折すると間もなく、鮮やかな朱色の
仁王門が嫌でも目に入る。飯沼観音の円福寺である。
奈良時代、利根川河口で十一面観音像を拾い上げた
二人の漁夫が出家してこの観音様に仕え、後にここを
巡杖した弘法大師(空海)が開眼したという。
それはさておき、銚子はこの円福寺の門前町として
栄え、飯沼の観音様として市民から親しまれて来た。
昭和20年7月の戦火で本坊客殿以外の全てを焼失。
昭和の中期に再建された。大きな本堂は現代伽藍建築、
その左手に最近建立したらしい五重塔が聳える。
ガラスで仕切られた内陣、前立本尊の十一面観音には
なかなかピントが合わない。
本堂を出て楼門を眺めると、すっかり夜の帳が下りる。
戻り道は少し離れた円福寺の本坊に寄るルート。以前は
国道を挟んだこの本坊まで5千坪を越える境内だった。
銚子駅に向かって線路に近い小さな道を西へ向かう。
中央公園を過ぎるとヤマサ醤油の工場の真ん中を通る
一般道となる。昼夜操業の醤油工場はまさに不夜城。
暗い夜道を慎重に歩いて銚子駅に戻る。ここから3時間
を越える帰途となる。鉄路往復200キロ余、ウォーキング
は歩数から見て十数キロか。
早朝5時に出て夜の9時に帰宅、長い一日となった。