じんべえ時悠帖Ⅱ

板東三十三ヶ所巡り、結願!

 今秋三回目の旅で、残った茨城県北部の二山を参拝して、

板東三十三ヶ所巡りを結願した。

 最後の日輪寺は茨城と福島の県境に聳える八溝山の山頂

近く。三十三観音の中で最もシンドイ参拝である。写真を

整理して次回から紹介しよう。

 

 さて、二回目の旅の二日目は栃木市の出流(イズル)観音

(出流山満願寺)である。 

 前夜は宇都宮駅前で2軒の餃子を味わってから宿近くの

居酒屋に入り、お勧めは?と訊くとやはり「ギョーザ」。

独自の餃子ブランドを持つ居酒屋であった。

 翌朝、東武宇都宮線で東武日光駅から栃木駅へ移動する。

後に新選組となる壬生義士発祥の地の壬生駅や、珍しい名の

「おもちゃのまち」駅がある。

 栃木駅は予想したよりも立派な駅舎で、JR線の駅と同居

する高架駅である。

 出流観音は、栃木駅から北西へ20キロほどの山の中で、

アクセスは唯一、市のコミュティバス。停留所一つだけ

乗っても、50分ほどかかる終点の出流観音まで乗っても

運賃は一律200円。これは嬉しい。

 が、その代わり、街中の各種施設をぐるぐる回った上、

出流観音への入口を通過して隣の鹿沼市の集落まで行って

から戻るという複雑怪奇なルートである。

 街の外れのスポーツ施設に若い団体がドサッと降りると

乗客は出流観音詣りと思われる中高年男性3人だけ。

すると「坂東(巡り)ですか?」、たまたま運転席の隣りに

座った私に、年配の運転手が突然話しかけて来る。

 少し前まで無料だったこと、そのため暇な高齢者が用も

なく大勢載って困ったこと、これから向かう出流観音周辺は

石灰石の産地で、麓の栃木市は江戸時代から盛え、蔵の街と

なり県都にもなったこと、茂木外相の地盤であること(この

日は衆院選の前日)など次から次へとレクチャーが続く。

 これは大変ありがたい情報である。出流館音入口を過ぎる

と道が白っぽくなり、ダンプが次から次へと降りて来て鉱山

の風景となる。見える山すべてが石灰石の塊、この先いくら

掘り続けてもなくならないという。

 やっと終点、出流観音前に着き、数軒の「手打ちそば」

店が散在するS字の急坂を上って満願寺の山門(仁王門)

に出る。なかなか重厚な八脚二層型である。

 緩やかに上る参道を進むと、紅葉前の見事な大木が茂る。

バスの運転手が、このあたりは山深いが温暖な気候の上、

石灰岩の山は崩れることがなく湧水も豊富。大昔から人が

住んでいて離れる者はいないと言っていた。

 この樹の奥に五階建ての建物が見えてビックリ。一時は

200人が泊まった信徒会館という。この脇の石段を上ると

奥に本堂が見えて来る。

 うーん、まさに深山のお寺さんである。

 この満願寺の開祖も日光の中禅寺と同じ勝道上人で、

そのため日光の修験者はまずこの満願寺で入峰(ニュウブ)

の修行をしたという。

 楽しみにしていた奥の院の拝殿の「懸(カケ)造り」は、

一昨年の台風十九号で参道が崩れて通行止め。

 これもガイドブックから絶壁に立ち上がる懸造りの

組柱を紹介しよう。

 本堂周囲の石仏群などを見て戻ると、同じバスで来た

一人が作務衣姿の坊さんと話し込んでいる。どうやら彫物

に関するエピソード。親方が若い彫師たちに指示してから

所用で麓に下りて戻って来ると、指示とは違う出来上がり。

 絶句するが何も言わなかったという。教えよリも良かった

のか、直しが効かないためか・・・。

 到着して次のバスまでは2時間あるが、奥の院に上がれ

ないとするとこれ以上観るところはない。おにぎりの昼食

を止め、山門前の手打ちソバ屋「福寿屋」に入る。

 とにかく、上って来た車が次々に入って行くので有名店

なのだろう。細目の十割蕎麦には冷たい地酒を合わす。

 帰りのバスも当然ながら同じ3人。市役所あたりには

蔵造りの建物が多い。駅前のバスにも大きく「蔵」の字が

見える。

 この栃木市の街中、一度ゆっくりと散策したいものだ。

栃木の最南端、新越谷から東武日光線で比較的近い。

 

 

 

 

 

 

 


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コメント一覧

ykoma1949
知らないところなので・・栃木市 という名前は知っていても
降り立ったことはありませんので・・地図で小山市の隣にあり
小山は車で何度か通りましたが栃木市は知りませんでした。
出流観音・・万願寺も知る由もなく、総てが新鮮の感じます
考えたら栃木県は、宇都宮、日光、那須塩原、の三箇所しか
訪れていないことに気が付きました。改めて勉強になりました
jinbei1947
えめらるど様
この秋の観音巡りの旅で温泉に浸かったのは益子のリゾートホテルだけ。
毎晩のように?マイ温泉に入れるのは羨ましいです。
食と酒だけがせめてもの楽しみですが、もう歳なので量は知れていますよ。
eme
お祭り(新穀感謝祭)を二か所奉仕して疲れきって家路に着き、自分専用の温泉に入ってから今日の古刹を拝ませて戴きました。バスガイドならぬ運転手の話を聞き出されたのは貴方様の人徳の致すところ、清水の舞台を偲ばせる奥の院は残念でしたね。私自身が食事制限をしているせいか、オヌシの食欲とお酒の量はちょっと気がかりです。長く生きて居て欲しいです。
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