夏のように暑かった昨日、夜になっても室内は二十五度を超える熱帯夜。
肩を出して寝てちょうどいい。そのせいか目が覚めると5時近く。今時の
日の出は5時半を少し回る頃だから、未だ充分間に合う。
昨夜寝る前に読み始めた「月夜の森の梟」は新聞の土曜版に五十回連載
されたエッセイが本になったもの。図書館に予約したのは刊行から半年も
経っていたので、順番は六十八番目、五ヶ月も待った待望の本である。
と言っても、連載をチラチラと読んでいたから内容はわかっている。
小池真理子が、肺がん末期の同業の作家である夫を看取っていく日々の
話である。今日は「連載を終えて」の冒頭を紹介しよう。
遠からず逝くことはわかっていた。来るべき時が来た、と自分に言い
聞かせ、夫を見送った。その後の、やらねばならないこともなんとか
終えた。
だが、そこから始まった時間は、私の想像を遥かに超えていた。
感情の嵐との闘いが、たちまち常態化していった。思ってもみなかった
疫病が蔓延し、私は毎日、家に引きこもったまま、ただ茫然としていた。
小池真理子は1952年生まれ、今月で古希を迎える。
一
昨日は流山橋の袂で日の出を迎えた