新型コロナウィルスはいつの日か終息するだろう。その
後に待つ経済復興はきっと厳しいものとなる。
そんな世界の中、日本をリードできるのは一体誰だろう
と思う時、「大平正芳」の本を勧められた。
60年安保、沖縄返還、日中国交回復など激動の後、日本の
保守党である自民党は「三角大福」と言われる派閥争いと、
ロッキード、グラマン事件などで揺れた。
「三角大福」の一番最後に首相になった大平正芳は、その
体躯や言動から「鈍牛」と呼ばれた。香川県の豪農でも貧農
でもない、いわば中流の農家の出である。
首相になった大平正芳は、施政方針演説でこう述べた。
「急速な経済の成長がもたらした都市化や近代合理主義に
基づく物質文明が限界にきている。(中略)いわば経済
中心の時代から文化重視の時代に入ったのである。
我々が、今日目指している新しい社会は不信と対立を
克服し、理解と信頼を培いつつ、家庭や地域、国家や地域
社会のすべてのレベルにわたって、真の生きがいが追及
される社会であります。
各人の創造力が生かされ、勤労が正当に報われる一方、
法秩序が尊重され、自ら守るべき責任と節度、他者に対す
る理解と思いやりが行き届いた社会であります。」
「黒い頭のネズミたち」のドロドロとした派閥争いの中、
大蔵官僚出身の政治家とは思えない、言葉は悪いが「青臭い
青年」のような爽やかな演説である。
大平正芳は政治家の中で一、二と言われる読書家であった。
「発言や演説の記事録から『アー、ウー』を抜けば、筋の
通った文章になっている。よどみなく喋るが、後で議事録を
起こすと文意不明の政治家が多い中で珍しい」。
政敵であった不破哲三(共産党書記長)がこう褒めたこと
は、この本を読み始め頃、ここに書いた。
この演説の内容を実現すべく、大平首相は即座に九つの
研究会を立ち上げた。それについては次回書こう。
今日のペーパークラフトは、自分で型紙から設計した
作品の第二弾「居酒屋」である。
設定場所は信州諏訪湖畔の裏ぶれた通り。頑固な店主は
「諏訪五蔵」と呼ばれる地酒しか置かない。
カウンターの上、豆ランプを仕込んでみた。
暖簾の店名「Love&Peace」は、当時お邪魔していた
Yahoo掲示板の名である。
提灯とフックの影が「横笛を吹く和風美人のようだ」と
これを見た知人が言った。全くの偶然である。
先日2週間かけて作った「しんかい6500」の後は大空へ。
多分、今日中には完成する。