サブタイトルに「灘高→東大合格率ナンバーワン」、
帯には「かつて大阪に、入塾試験や審査を一切おこなわず、灘高、
東大合格者をつぎつぎと出す、日本一有名な学習塾があった……。」
と書かれています。
これだけ見ると、特別できる人向けの話なのか、常人では成し得ない
ような難行苦行をする話なのか、それとも受験攻略へのテクニックが
書かれたものかと思われるかもしれませんが、それは全く違います。
受験勉強を通じて強く生きる力を身につけるということを考え抜き、
実践から裏打ちされた話を紹介した本と言えるでしょう。
「受験の神様が残した20の法則」として、受験の考え方や取り組みが
掲載させていますが、そのうち2つを以下に紹介します。
『読み書きで「感動・感激」「塾考」する力を養え』
ものを書こうとすると、自分を見つめ直し自分の頭で考えることに
つながるということ。それにより、自分の感じたことや思いや考えを
発展してくことにつながるとあります。また、人が書いたものを書き
写すことにより、文中で使われる言葉への感覚が研ぎ澄まされると。
確かにそう思います。読むことは情報を入手できればいいのですが、
書くことは作り上げなければなりませんから、書く内容を吟味して、
書くための表現も吟味することになりますね。
『弁解はするな、させるな』
一切弁解しないという習性が身につくと、どんなことに対しても常に
慎重に対処していく習慣が身につき、真正面からじっくりと考えを
進められるようになるにちがいないということ。入江先生は「あること
がらの事情説明を求められたときには、けっして第三者の名を出すな。
徹頭徹尾、自分の責任において答えよ」とよくおっしゃったそうです。
何事にも弁解しないというのは難しいかもしれませんが、生きる上で
大切な幹となる部分については弁解なしでいきたいものです。
入江塾の閉塾から30年が経過していますが、受け身ではなく自分で
考えること、小手先ではなく自分自身と向き合うことなどは、今も
変わらず大切なことに違いありません。便利な世の中になっても、
情報化社会になっても、やはり人間の部分が一番大事ですね。