「キム政権を根本から揺るがす」脱北者の団体が声明
スペインにある北朝鮮大使館に男たちが押し入りコンピューターなどが奪われた事件について、
関与を認めた団体「自由朝鮮」が28日、新たに声明を発表し、韓国以外の国で活動している
脱北者でつくる組織だと明らかにしたうえで、「キム・ジョンウン(金正恩)政権を根本から
揺るがす」と宣言しました。
スペインのマドリードにある北朝鮮の大使館に先月、武装した男たちが押し入り、中にいた職員を
縛って尋問したうえ、コンピューターなどを奪って逃げた事件について、「自由朝鮮」と名乗る
団体が関与を認める声明を出しています。
「自由朝鮮」は28日、新たな声明をホームページで発表し、活動の目的などについて明らかに
しました。
このなかで「世界各国にいる同胞と結集した脱北者の組織だ。韓国に住んでいる脱北者とは
連携していない」と主張し、韓国以外の国で活動している脱北者でつくる組織だとしています。
そのうえで、「キム一族の世襲を断ち切るという信念で結集した。北朝鮮国内の同志たちとともに、
行動によってキム・ジョンウン政権を根本から揺るがす」と宣言しています。
「自由朝鮮」はこれまでの声明で、アメリカのFBI=連邦捜査局の求めに応じて情報を共有して
いるとしていて、今後、米朝関係の懸案事項に浮上する可能性もあります。
スペインの裁判所は、襲撃犯10人のうちメキシコ国籍で米国在住のアドリアン・ホン・チャン、
米国籍サム・リュー、韓国籍ウー・ラム・リーの3容疑者の名前を公表している。
韓国紙・朝鮮日報は28日、チャン容疑者が自由朝鮮のリーダー的な人物との見方を報じた。
スパイ映画さながら、「自由朝鮮」の北朝鮮大使館襲撃事件
在スペイン北朝鮮大使館侵入事件に北は謎の沈黙
先月22日(現地時間)に起きた在スペイン北朝鮮大使館侵入事件を巡り、当事者の北朝鮮は
1カ月以上も沈黙を保っている。在外公館がテロに遭った事案について、抗議や糾弾声明も
出さないのは異例だ。専門家らは「大使館を攻撃するほど組織化された反北朝鮮団体が存在する、
という事実を住民が知った場合のショックを考えている」と指摘した。
また北朝鮮の立場からすると、より厄介なのは、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の
おいで金氏一族の「嫡長子」に当たるキム・ハンソル氏が今回の事件を引き起こした「自由朝鮮」
と関係があるという点だ。「正統性」を重視する北朝鮮の政権は、金正恩委員長の代わりになり
得るキム・ハンソル氏の存在自体を認められないからだ。
各外信の報道によると、今回の大使館侵入事件は、脱北者を中心とする反北朝鮮団体
「自由朝鮮」が主導した。自由朝鮮の側も26日にこれを認めた。在外公館が反北朝鮮団体に
襲撃されるのは、北朝鮮としても初めての経験。しかも、他国の情報機関などではない民間組織に
よって公館に侵入されたことへの衝撃が大きかったのだろう-と専門家らは分析した。
韓国の情報機関、国家情報院の第1次長を務めた経験を持つ南柱洪(ナム・ジュホン)教授は
「北朝鮮が現在に至るまで沈黙しているのは、それだけ今回の件の後遺症が深刻で、今も
事態収拾の最中だということ。機密がそっくり外部に渡った点も深刻だが、今回の事件を起こした
『反北朝鮮団体』の存在を認めること自体、難しいだろう」「今回の件はハノイ会談決裂とは
違って、それとなく公表することもできない。北朝鮮の沈黙は無期限に長期化する可能性が高い」
と語った。
2017年の金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件の際に「自由朝鮮」が救出したといわれる
キム・ハンソル氏の存在も、北朝鮮としては重荷だ。今回の事件の背後に故・金日成
(キム・イルソン)主席の末裔(まつえい)、キム・ハンソル氏がいるということが北朝鮮住民に
知れた場合、金正恩委員長の正統性が脅かされかねないからだ。
北朝鮮軍出身で「世界北朝鮮研究センター」所長の安燦一(アン・チャンイル)氏は
「金正恩委員長は、嫡長子問題を心配して異母兄まで殺した。『自由朝鮮』には、その息子の
キム・ハンソル氏に加えて金委員長自身の叔母に当たる高英淑(コ・ヨンスク)氏まで関与して
いるといわれており、このような団体を攻撃はできないだろう」と指摘した。