仏軍艦艇が佐世保入港、日米英と初の4カ国共同訓練へ
[佐世保市 29日 ロイター] - フランス海軍の艦艇が29日、長崎県の海上自衛隊佐世保基地に入港した。このあと日
本、英国、米国の部隊を乗せ、4カ国で共同訓練をしながら米領グアムへ向かう。南シナ海や朝鮮半島問題でアジア太
平洋地域の緊張が高まる中、日米だけでなく、欧州諸国もこの地域に強い関心があることを示し、4カ国で中国や北朝
鮮をけん制する狙いがある。
強襲揚陸艦「ミストラル」は2月にフランスを出港。英軍の部隊約60人とヘリコプター2機が同乗し、ベトナムなどに寄港
した後、29日朝に佐世保基地に到着した。折しも北朝鮮が弾道ミサイルを新たに発射し、東アジア情勢が緊迫化した
数時間後の入港となった。
上陸したドゥシャリジェール艦長は、佐世保市の子供たちが出迎える中、「ともに手を携えて訓練を実施することで、相互
の(部隊の)運用性を高めることを信じている」と語った。
ミストラルは5月5日に佐世保を出港する。新たに日米の水陸両用部隊と、自衛隊のヘリコプター1機が乗り込む。海上
自衛隊の輸送艦「くにさき」が途中まで同行し、日本周辺の海域で共同訓練を実施する。
さらにグアムに到着後、陸上に部隊を送り込む能力を持つミストラルを中心に、自衛隊の水陸両用部隊、米英の海兵
隊、日英のヘリコプターが共同で上陸訓練を実施する。4カ国の共同訓練は初。総勢700人が参加する。
訓練は表向き特定の対象国を念頭に置いたものではないが、4カ国とも、岩礁を埋め立てるなどする中国と、国連安保
理決議を無視して核とミサイルを開発を進める北朝鮮を警戒している。自衛隊関係者は「航行の自由や、法の支配とい
う理念を共有した国々が一緒に訓練をすることに意味がある」と話す。「船の訓練だけでなく、着上陸というのは中国へ
の強いメッセージになる」と語る。
フランスはインド洋のレユニオン島や南大平洋のニューカレドニアなどを領有し、排他的経済水域(EEZ)の8割以上を
アジア大平洋地域に持つ。ここ数年、艦隊をインド洋や太平洋に派遣するなど、アジア地域への関与を強めつつある。
英国も昨年10月に日本へ初めて戦闘機を派遣し、同地域に関心を向けている。
日米はこのほか、北朝鮮への圧力を強めるため、米海軍の空母カール・ビンソンと海上自衛隊の護衛艦が4月23日か
ら東シナ海で共同訓練を実施した。海自広報部によると、日米の艦隊は29日に対馬海峡を通過したところで訓練を終
了した。4月上旬にシンガポールから朝鮮半島近海に向けて派遣されたカール・ビンソンは、日本海に入った。