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韓国:戦時作戦統制権の早期移管、本格検討着手

2017-06-28 00:11:03 | 韓国

戦時作戦統制権の早期移管、本格検討着手

 韓国国防部(省に相当)がこのほど、大統領府(青瓦台)に戦時作戦統制権を文在寅(ムン・ジェイン)大統領の

任期内に韓国側に移管する問題と竜山基地移転に伴う韓米連合軍司令部の移転問題などに関する報告を行ったこと

が分かった。文大統領は任期内の戦時作戦統制権移管を公約に掲げており、政府がそれを履行するための作業に着

手した格好だ。戦時作戦統制権移管問題は近く安全保障分野の懸案に浮上する見通しだ。


 政府消息筋は26日、「国防部は最近、戦時作戦統制権の早期移管、竜山基地移転など複数の国防上の懸案につい

て、青瓦台に報告した」と語った。


 戦時作戦統制権の移管は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に本格的に推進され、いったんは2012年の移管で合意し

た。その後、李明博(イ・ミョンバク)政権時代に15年12月に延期され、朴槿恵(パク・クンヘ)政権では事実上無期延期

となった。14年に韓米両国は北朝鮮の核・ミサイルの脅威など韓半島(朝鮮半島)をめぐる不安定要素解消、韓国軍の

準備能力確保などいくつかの条件が満たされた後、戦時作戦統制権を韓国軍に移管するという「条件に基づく移管」に

合意した。当時軍当局は、移管時期が北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応した「キルチェーン」と韓国型ミサイル防衛シ

ステム(KAMD)などの整備が完了する2020年代半ばになると説明したが、正確な時期は示さなかった。文大統領が

公約通りに任期末の22年までに戦時作戦統制権を韓国軍に移管するならば、当初構想よりも3年程度時期が前倒しさ

れることになる。


 韓国軍当局は14年に明らかにした前提条件がある程度満たされなければ、早期移管はできないとの立場だった。そ

れを前倒しするには、北朝鮮の核兵器とミサイルの脅威に対応した偵察衛星、無人偵察機などの監視偵察能力、弾

道・巡航ミサイルなどの攻撃能力の強化計画を当初よりも急ぐ必要がある。それに伴い、国防費の増額が必要になる。

保守陣営の一部は戦時作戦統制権を早期移管すれば、韓米連合軍司令部の解体に伴う安全保障の空白、韓米同盟

の危機を招きかねないとして反発しており、調整は難航も予想される。


 国防部長官に内定している宋永武(ソン・ヨンム)氏もメディアのインタビューなどを通じ、戦時作戦統制権移管が

現政権の国防改革の中心課題であることを繰り返し強調した。一部にはトランプ米大統領が「米国優先」を強調する中、

韓国が戦時作戦統制権の移管問題を取り上げれば、米国側が積極的に受け入れる可能性が高いとの見方もある。米

国にとっては大幅な費用負担減となるからだ。


 戦時作戦統制権が早期移管される場合、韓米連合軍司令部の竜山基地残留問題も関心事だ。韓米両国は戦時作戦

統制権の移管まで同司令部を竜山基地に残留させることで合意している。戦時作戦統制権を現在のように韓米が共同

で行使する場合、同司令部も存在する以外にないからだ。こうした中、一部メディアは大統領府が同司令部を竜山から

早期に移転する案を国防部に指示したと報じた。しかし、大統領府は記者団に事実関係を否定した。大統領府関係者

は「竜山基地移転に関する(国防部の)報告はあったが、任鍾晳(イム・ジョンソク)大統領秘書室長は韓米連合軍司令

部の残留を(再)検討するよう指示してはいない」と語った。しかし、戦時作戦統制権を単独で行使する場合、同司令部

の役割に関する再検討も避けられない。結局は任期内に移管が推進されれば、同司令部の再配置問題も同時に扱わ

れることになる。


 韓米両国は当初、竜山基地の平沢(京畿道)移転に合意した際、韓米連合軍司令部も平沢に移転することを決めた。

しかし、韓米同盟の象徴である同司令部まで平沢に移転されると、安全保障上の空白が生じかねないとの指摘を受

け、同司令部の最小限の人員を竜山基地に残すことで14年に合意した。現在韓米間では残留規模をめぐる協議が進

んでいるが、同司令部の本部(ホワイトハウス)、作戦センター、一部支援施設が残留する見通しになっている。戦時作

戦統制権が韓国軍に移管された場合、同司令部は事実上解体されるため、竜山基地に残留する必要がなくなり、竜山

基地の返還面積がその分増えることになる。大統領府と国防部は公式には「これまでのところ、既存の計画に変更はな

い」と説明している。