【社説】「非核化なしに終戦宣言なし」 韓国政府は北朝鮮に釘を刺せ
北朝鮮の対外宣伝メディア「わが民族同士」は15日「1日も早く終戦宣言を発表することは、朝鮮半島の緊張緩和と
朝米の信頼造成に向けた最優先の要素」と主張した。北朝鮮は今月6-7日に米国のポンペオ国務長官が訪朝した時から
年内の終戦宣言を求めはじめた。15日には米兵遺骨返還に向けた米朝将官級会談が開催されたが、その席でも北朝鮮は
終戦宣言について取り上げた可能性が高い。しかし米国務省は終戦宣言について「北朝鮮の非核化が実現すれば、
停戦協定に代わる平和体制の構築に専念できる」とコメントした。北朝鮮が先に非核化を実行に移せば、
終戦宣言などについての話し合いに応じるという意味だ。
米朝首脳会談で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「完全な非核化」を約束してから
1カ月以上過ぎたが、これまで北朝鮮は非核化に向け何の行動もしておらず、やったのは北朝鮮の言葉通り
「使命を終えた」核実験場を閉鎖したことだけだ。しかもそれさえ北朝鮮は専門家による検証を拒否しており、
本当に復元不可能な閉鎖が行われたのか確認もできていない。それどころか新たな交渉カードを手にするため
核やミサイル施設などを新たに拡張しているとの分析結果が韓米の情報当局から引き続き公表されている。
米国家情報局(DNI)のダン・コーツ局長は13日に行われたある討論会で「米朝首脳会談以降、北朝鮮による
(非核化の)行動に進展はあったのか」との質問に「ない」と答えた。米外交専門誌『ディプロマット』も
「北朝鮮の秘密核施設とされるカンソン工場の位置は平壌郊外の千里馬区域にあることが確認された」と報じた。
これでは北朝鮮は非核化とは完全に正反対の方向に進んでいると言わざるを得ない。
故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は10年前、終戦宣言に応じるよう米国に求めたが、これに対して当時の
ブッシュ大統領は「6・25戦争(朝鮮戦争)が終わる日が来ることを希望する。金正日(キム・ジョンイル)
が核兵器を除去すればそうなるだろう」と述べ、前後関係を明確にした経緯がある。
「韓半島(朝鮮半島)ですでに70年にわたり続く戦争状態を終わらせるには、北朝鮮が先に核兵器を放棄すべき」
というのは米国の一貫した主張だ。トランプ大統領も11月の中間選挙前までに北朝鮮との交渉で何らかの目に見える
進展を望んでいるが、それでも終戦宣言にだけは応じられないようだ。「6・25が終わった」と口で言うだけで
終戦が実現するわけではない。北朝鮮が核兵器を手にしている今の状態で平和が来たと祝うわけにはいかない。
韓国政府はこのような理屈と常識を北朝鮮にしっかりと伝えねばならない。