安倍・モディ両氏が狙う「中ロ引き離し」
2019 年 9 月 5 日 08:50 JST WSJ By Thomas Grove
【モスクワ】 ロシアと中国の接近に警戒を強めるアジア諸国は、ロシアを中国から引き離す方策を
模索している。
これはまさに、インドのナレンドラ・モディ首相と安倍晋三首相が、極東ウラジオストクで今週開催
される年次「東方経済フォーラム」で目指していることだ。同イベントは、ロシアのウラジーミル・
プーチン大統領が極東投資の機会を売り込む場で、中国の習近平国家主席は今回欠席する。
「(モディ・安倍)両氏とも、プーチン・習両氏の間に割って入ることに関心を寄せている」。
こう指摘するのは、カーネギー国際平和財団モスクワセンターのシニアフェロー、アレクサンドル・
ガブエフ氏だ。「それぞれ異なる思惑を抱えているが、モスクワを中国から引き離すことは共通の
関心事だ」
中ロは貿易拡大や新たな軍事協定の計画など、関係強化を誇示している。だが関係深化の度合いに
ついては、まだ試されたことはない。ロシア政府は2014年、欧米諸国との関係悪化を受けて東方重視の
姿勢に転換したが、その際に期待されていたほど、中国による対ロシア投資は増えていない。
近隣の主要国は、こうした中ロ関係のぜい弱さをつこうと余念がない。
モディ氏はおそらく、中国外しを狙った印ロ関係の強化に加え、カシミール問題でプーチン氏の
支援を求める公算が大きい。モディ政権はパキスタンも領有権を主張する北部ジャム・カシミール州の
自治権を剥奪(はくだつ)。中国はこれに反対を表明する一方、ロシアは批判を控えている。
モディ氏はまた、新たな核プロジェクトや武器取引、ロシア極東での投資機会にも同じように関心を
示すだろう。インド5州の当局者や投資家は、フォーラムを控え、ダイヤモンド鉱山など、投資機会を
探るため極東の現地視察を行っている。
インドとロシアの関係は過去10年、インドの対米関係改善に伴い、冷え込んでいた。だがモディ氏は
今年、ロシアから54億ドルの防空ミサイルシステム「S400」を購入することで合意。米国は強く
反発しているものの、ロシアは2023年までに売却を完了させるため、あらゆる手を尽くす用意が
あるとしている。
安倍氏にとって、プーチン氏との会談は、アジア・太平洋諸国で存在感を高めるための取り組みの
一環だ。背景には、米国がトランプ政権下で内向き志向を強める中、中国に対する防壁として米国
に従来ほど頼れない状況に置かれていることがある。
スクール・オブ・ハイアー・エコノミクス(ロシア)の東アジア専門家、バシリ・カシン氏は
「とりわけ米国の信頼性が低下する中、日本は中国の動きに備えて入念な緊急対策の策定に取り
組んでいる。そのため、ロシアも含め、幅広い関係構築に努めている」と指摘する。
ロシアにとって、アジアで中国のライバル国と近づいても、その代償はほとんどない。
カシン氏は「中ロ関係には、双方が心地いいと感じる曖昧さがある」とし、「中ロは互いに相手が
別のパートナーを必要としていることも理解している」と述べる。
安倍氏がロシアとの関係を前進させるには、北方領土問題で姿勢を後退させる必要があるかもしれない。
今週のフォーラムでは、目立った動きがあるとは想定されていないが、安倍氏は数十回にわたる
プーチン氏との会談でも表だった対立は避け、両国の関係改善を演出している。5日のウラジオストクの
会合でもこうした流れが続くとみられている。
インドが145億ドル相当の武器をロシアに発注
2019年09月05日 08:23 SPUTNIK
技術協力局のドミートリー・シュガエフ局長が明らかにした。
現在、供給と9K338 イグラ-Sのライセンス生産に関する交渉が継続している。そのほかにも両国は
ロシアの軍事設備と装備のスペア生産をインドで行うことで合意した。
ウラジーミル・プーチン大統領は、東方経済フォーラムでインドのナレンドラ・モディ首相と会談した後、
貿易投資および軍事技術分野、産業・教育・文化分野での両国文書の大規模なプログラムパッケージに
合意したことを発表した。
また、モディ首相とプーチン大統領は、国際テロリズムとの闘いや中東と北アフリカの情勢、
アフガニスタンの状況、イランの核プログラム問題をめぐる状況について議論を交わした。
4日に開幕した第5回「東方経済フォーラム」にスプートニクはジェネラル・インフォメーション・
パートナーとして参加する。
今年のフォーラムは世界65か国からおよそ8200人の参加者を数える。
毎年、最大の代表団は日本、中国、韓国。