レギンスパンツで搭乗は不適切? ユナイテッド航空の「塩対応」が大炎上
<アメリカではレギンスでの登校を禁止する中学もあるほど、しばしば注目される少女の「レギンス着用問題」。ユナイテッド航空がレギンスの女の子の搭乗を拒否したことから、ネット上での論争に発展>
ユナイテッド航空がレギンスパンツを履いた少女の搭乗を拒否したことが「性差別」だとして、ネット上で批判が高まっている。
米紙ニューヨーク・タイムズによれば26日、デンバー国際空港でミネアポリス行きのユナイテッド航空215便の搭乗手続きが進む中、2人の少女が、着用していたレギンスが「不適切」として係員に搭乗を許可されず、空港に置いて行かれた。
ここに偶然居合わせたのは、女優で銃規制を訴える活動家のシャノン・ワッツ。ワッツは、自身のツイッタ―で「スポーツウェアを着た女性は乗せないの?」と、ユナイテッド航空に向けて投稿。3万4000人(3月27日現在)を超えるフォロワーを擁するワッツのツイートは瞬く間に拡散された。
炎上に気付いたユナイテッド航空はワッツとツイッタ―上でやり取りを開始。ユナイテッド航空側は当初「適切な服装でない乗客に対して搭乗を拒否する権利はあってしかるべき」と、自社の判断を強弁するコメントをし、これが火種となって状況はさらに悪化。「性差別」とする怒りのコメントの反撃を受けた。
ユナイテッド航空側は、今回の措置が「従業員特典の利用者に定められた規定に基づいた判断で、通常の利用者に適用することはない」と説明。その後、少女たちの搭乗券が「ユナイテッド・パス」と呼ばれる、航空職員やその扶養家族に支給される優待チケットで、これに一定の服装規定があると釈明した。ツイッタ―上では、「従業員はこの規定を認知している」として、弁護する声もあった。
不適切の定義はなかった
確かにユナイテッド航空は、ユナイテッド・パスの利用規定で服装について明記しているが、「不適切な服装」という表現になっている。レギンスが「不適切」に該当するかどうかの記載はなく、この件ではユナイテッド航空職員がレギンスを「不適切な服装」と判断したことになる。
(5、裸足または不適切な服装)
実はレギンス問題は今に始まったことではない。アメリカでは「体のラインが目立ちすぎる」という理由から、10代の少女のレギンス着用がしばしば論争を起こしていた。ABCニュースによれば、2013年にカリフォルニア州のある中学校で「男子生徒の気が散る」という理由で、女子生徒にレギンス禁止令が出たことで本格的に問題視され始めた。
しかし今回、デンバー空港で置き去りにされたのは10歳の女の子。遊ぶことが仕事と言っても過言でない育ち盛りの子どもにとって、動きやすいレギンスは少なくとも不適切ではない。
ユナイテッド航空が「不適切な服装」を具体的に明記せずとも、レギンス着用者全員を不適切と判断するのであればまだ納得できるが、そうではないらしい。有名ブロガーのチャールズ・クライマーによれば、レギンスやヨガパンツを履いた男性は、子供でも大人でも搭乗できたという。
加速する炎上にユナイテッドはこう出た
多くの有名人がコメントを寄せるなか、特に怒り心頭の様子だったのが女優のパトリシア・アークエット。2015年に『6才のボクが、大人になるまで。』でアカデミー助演女優賞に輝いた彼女は、同賞の受賞スピーチで男女の賃金格差是正を訴えたことで知られる。「搭乗客のうち少なくとも半分を不愉快にさせてるって理解してる?」と辛辣なツイートをした。
毒舌なことで知られるコメディエンヌで女優のサラ・シルバーマンは、搭乗予定のユナイテッド航空の便を他の航空会社に変更すると宣言。
事態の終息を図りたいユナイテッド航空は27日、自社HPにお知らせを掲載。「レギンス大歓迎!」と呼びかけた。
「惜しいわユナイテッド... 残念」
チュニックとか大き目のセーターにレギンスはちょっとエロイと感じていました。
レギンスの素材にもよりますが、トップは良いのにボトムが下着だけ?に見えます。
小さな女の子は可愛いと思いますが、大人はどうよ?って思います。
なぜレギンスはこれほど議論になるのか
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2017年03月28日 BBC
米ユナイテッド航空がレギンス姿の女の子を搭乗させなかったとして、ソーシャルメディア上で批判された。女の子たちは従業員の招待
客だったため、同社の服飾規定を守る必要があったという。
しかし、レギンスやヨガ・パンツが米国で騒ぎになったのは、これが初めてではない。
ぴっちりしたレギンスやヨガ・パンツは、着やすい楽なファッションとしてこのところとても人気だが、その一方で、かなり激しい議論が繰
り広げられてきた。
大好きだという賛成派にとっては、単にジーンズよりも快適なおしゃれ着、ジーンズの代わりに過ぎない。
反対派にとっては、体の線がはっきり出るため、色々見えすぎる、目のやり場に困る、場合によってはわいせつだということになる。
昨年10月には、米東部ロードアイランド州の男性が地元紙に、20歳以上の女性は着用を止めるべきだと投稿した。
「ミニスカートと同じで、子供や、若さという自然の恵みを享受している若い女性がはくヨガ・パンツは、とても可愛らしく見えることがあ
る。しかし成熟した大人の女性が公衆の面前ではくと、なにか異様で不穏な感じがするものだ」とアラン・ソレンティーノさんは書いた。
この投書を機に「ヨガ・パンツ」デモが組織され、あらゆる年齢の何百人という女性が、レギンス姿で同州バリントンの町内を行進した。
デモの発起人のひとり、ジェイミー・ビーさんはBBCに、参加者が怒っていたのはヨガ・パンツそのものについてではないと説明した。
「私を含めて大勢にとって、原則論の問題でした。どうして他人に、自分の服装についてどうのこうの言われないとならないんですか」
問題の投書をしたソレンティーノさんは、脅しも受けたと言う。後に、自分の当初は風刺のつもりだったと話している。
しかし世界各地で女性たちは、ブルキニから平らな靴に至るまで、自分が着たいものを着てはいけないという規制に対抗している。
ユナイテッド航空は後に、通常の乗客は女の子たちと異なり、レギンスをはいていても大丈夫だと説明した。
しかし特別パスで搭乗する従業員やその家族については、複数の規定と併せて「ぴったりしたライクラやスパンデックスのトップ、パン
ツ、ドレス」を禁止している。
客室乗務員で作家のヘザー・プールさんはツイッターで、航空会社の従業員が無料で搭乗する際は会社を代表すると見られるため、
服飾規定に従うことになっているのはよくあることだと書いた。
「男性にも服飾規定があります。問題はカジュアルすぎるかどうか。ビーチサンダルや短パンもはきません」
「お尻を隠して」
米国では、レギンス禁止の校則が何度か議論されてきた。
オハイオ州レイクウッドの学校区は昨年、服装に関する決まりが時代遅れで性差別的だという苦情を受けて、規則を改定した。
レギンスやヨガ・パンツなどぴっちりしたズボンは、禁止から一転して許可されるようになったが、「上着がお尻を隠すこと」が条件だっ
た。
ほかにもこの地区では、フードつきのスウェットも生徒が頭にフードをかぶらないことを前提に、着用が認められた。またスカートの丈
も、「膝からわずかに上、もしくはその下」をミニスカートの限度としていたのを、「ももの中央、もしくはその下」まで短くしても良いことに
なった。
マサチューセッツ州のケープコッド工業高校の生徒たちは2015年、スカートやワンピースやシャツを上に着ない限りヨガ・パンツなどの
着用は禁止という服装規定に抗議した。
ロバート・サンボーン校長は、この決まりはいずれ社会に出る時のために生徒たちを訓練するのが目的だと説明した。
「就職しやすくなる技術訓練も、本校の教育理念の一環だ。企業が採用したい社会人にふさわしい服装というものがある」とサンボーン
校長は当時、地元紙ボストン・グローブに話していた。
高校は生徒たちに抗議にも方針を変えることなく、校則はそのままだ。
「薄すぎる」
2013年には、ヨガウェアの専門小売ルルレモンが、ヨガ・パンツの一部が薄すぎるとの指摘を受けて販売を中止した。
創業者のチップ・ウィルソン氏は後に、自社のズボンが似合わない体型の女性もいると発言し、火に油を注いだ。