安倍晋三首相は、来年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再延期する方針を固めた。
世界経済の下振れリスクに熊本地震も加わり、予定通り増税すれ ば、政権の最重要課題であるデフレ脱却の妨げになると判断した。
首相は27日の記者会見で「税率引き上げの是非も含めて検討する」と増税見直しに初めて言 及し、
結論について「夏の参院選前に明らかにしたい」と明言した。
延期期間は2019年4月までの2年を軸に検討する。
今国会会期末の6月1日にも正式に表明する見通しだ。
首相は会見で「世界経済の成長率は昨年、リーマン・ショック以来の最低を記録した」と指摘し、
「ここで対応を誤れば世界経済が危機に陥る大きなリスクに直 面している」と表明。
こうしたリスクに対応するため、日本政府として「あらゆる政策を総動員し、
アベノミクスのエンジンをもう一度、最大限ふかしていく決 意だ」と強調した上で、消費税増税の見直しに言及した。
首相は先進7カ国(G7)として政策協調し、リーマン級の危機を未然に防ぐには、増税先 送りはやむを得ないと判断。
熊本地震の復旧・復興の本格化を前に、増税は被災地の経済を直撃しかねないとの懸念も、こうした判断を後押しした。
首相は近 く、延期に慎重な麻生太郎副総理兼財務相や公明党の山口那津男代表らとの調整に入る。
山口氏は27日、記者団に「政府・与党としても検討のプロセスを踏ん でいく。
首相の考えを承りたい」と述べ、協議に応じる考えを示した。
(2016/05/27)
消費増税、2年半再延期で調整=麻生、谷垣氏らに伝達-安倍首相
安倍晋三首相は、2017年4月に予定される消費税率10%への引き上げを 19年10月まで2年半再延期する方向で調整に入った。
政府関係者が28日、明らかにした。首相は同日夜、首相公邸で麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房 長官、自民党の谷垣禎一幹
事長と会談し、こうした考えを伝えた。
首相は当初、延期幅について2年を軸に検討していた。2年半とするのは、民進党の岡田克也代表が党首討論で提案した「2年再延
期」に乗らず、19年夏に予定される参院選への影響を避ける思惑がありそうだ。
消費税率10%への引き上げは当初、15年10月に予定されていたが、首相が延期した経緯がある。麻生、谷垣両氏や公明党の山口
那津男代表も財政規律を保つ観点から、増税再延期には慎重な立場。首相は正式表明に向け、政府・与党内の調整を急ぐ。
首相は27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)後の記者会見で、世界経済がリスクに直面しているとの認識を各国首脳と共有し
たと強調した上で、「税率 引き上げの是非も含めて検討する」と、増税見直しの考えを初めて示唆した。政府・与党内では今後、景気
下支えを目的とした16年度第2次補正予算案の検討 が本格化しそうだ。(2016/05/29-00:28) 時事通信