ロシアのハッカー集団、リオ金メダリストらの投薬情報をリーク
2019/09/14 BBC
世界反ドーピング機関(WADA)は13日、ロシアのハッカー集団によってリオデジャネイロ五輪の金メダリストを含む選手らの医療記録が盗まれたとして、非難する声明を出した。
リークされた医療記録には、リオ五輪の体操女子で4個の金メダルを獲得した米国のシモーン・バイルス選手や女子テニスのビーナス、セリーナ・ウイリアムズ姉妹のものが含まれるという。
「ファンシー・ベアーズ」と名乗るハッカー集団が、WADAのデータベースをハッキングしたことを認めた。
情報リークを受けて、バイルス選手は注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬を長年服用してきたと明らかにした。
ファンシー・ベアーズは、バイルス選手が「違法な精神刺激剤」を摂取していると糾弾したが、バイルス選手は「常に規則にのっとってきた」と反論した。
バイルス選手は文書で、WADAの禁止薬物リストに含まれる薬を服用するにあたって、必要な許可を得ていたと説明した。
@Simone_Biles Image caption
WADAは声明で、ハッキングは世界的な反ドーピング制度を損なおうとする行為だと非難した。
ロシア・メディアによると、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、大統領府やシークレット・サービスがハッキングに関与していたなど「ありえない」と述べた。
選手たちが治療に必要だと確認済みの薬は、「治療使用特例(TUE)」として使用が許可される。ハッカーらは、この内容を入手した。
米国体操協会は、「TUEにもとづき、バイルス選手は薬物検査規則に違反したことはない。リオ・オリンピックもこれに含まれる」と述べた。
ハッカー集団はTUEが「ドーピング免許状」になっているとしている。
「信頼を損なう」
ロシア陸上チームは、国ぐるみのドーピング疑惑のためリオ五輪への参加が許されなかった。現在開催中のパラリンピックでは、ロシア選手団全員が出場を禁じられた。
WADAのオリビエ・ニグリ事務総長は、「このような犯罪行為は、反ドーピングにおける国際社会のロシアへの信頼を取り戻す努力を大きく損なうと、はっきりさせておかなくてはならない」と語った。
米 国反ドーピング機関(USADA)のトップ、トラビス・タイガート氏は、ハッキングを「臆病で卑劣だ」と批判した。タイガート氏は、「それぞれのケース で、必要な治療薬を服用する許可の取得に関する世界的な規則を守る上で選手たちは何も間違ったことをしていない」と述べた。
米国オリンピック委員会の広報担当者、パトリック・サンダスキー氏は、リオ五輪に関する情報で、反ドーピング当局が定めた医療ガイドラインに違反するような内容は全く見つからなかった」と語った。
ニグリ氏は今月、WADAに対するロシアからのハッキング攻撃がほぼ毎日のように起きていると述べていた。
「ツァーリ・チーム(APT28)」との名前でも知られるファンシー・ベアーズは、今後も各国の五輪選手団に関する機密情報をリークすると表明している
米選手の情報漏えい、流出元は露ハッカー集団
2016年09月14日 09:45 発信地:ロサンゼルス/米国 AFP
【9月14日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は13日、ロシアのハッカー集団が同機関のデータベースに侵入し、女子テニスのウィリアムス姉妹や、体操の五輪金メダリストのシモーネ・バイルス(Simone Biles)ら選手の機密情報を盗んだことを発表した。
反ドーピング管理監督システム(ADAMS) と呼ばれるデータベースに侵入したのは、チーム・ツァーリ(Tsar Team)やAPT28、ファンシー・ベアーズ(Fancy Bears)などの名で知られるロシアのハッカー組織で、ハッカー集団はその後、ウィリアムス姉妹、バイルズ、バスケットボールのエレナ・デレ・ダン(Elena Delle Donne)の検査記録を公開した。
ベアーズは自らのウェブサイトで、米国選手は五輪で「健闘したがフェアではなかった」と主張したが、公開された文書ではどれも選手の不正を示した ものではなく、選手たちが正当な理由を示して免責を得るという、スポーツ界では一般的な手法で薬物を摂取していたことが明らかにされただけだった。
米反ドーピング機関(USADA)の会長で、元自転車選手ランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏のドーピング違反追及にも尽力したトラビス・タイガート(Travis Tygart)氏は、今回の侵入を「姑息(こそく)で卑劣」と評している。
「どの事例を取っても、選手は国際ルールにのっとって適切に行動し、許可を得た上で必要な治療を受けている。潔白の選手を巻き込む今回のようなサイバーいじめは、姑息で卑劣なものだ」
リオデジャネイロ五輪で4個の金メダルを獲得したバイルスは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を抑えるため、子供の頃から薬を処方されていることを明かし、ツイッター (Twitter)で「知ってほしいのは、私がクリーンなスポーツの信奉者だということ。これまでもルールには従ってきたし、これからもそうしていく。フェアプレーはスポーツにとって、そして私にとってすごく大切なことだから」とコメントしている。
妹セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)とともに被害に遭ったヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)は、侵入に「がっかりした」と話し、「私は競技スポーツの尊厳が最高レベルに保たれることを、誰よりも強く支持している人間の一人」と述べた。
国際オリンピック委員会(IOC)は広報を通じてコメントを発表し、今回の情報漏えいは「明らかに、クリーンな選手の評価を汚すことを狙ったもの」だと話し、薬物違反はなかったとの見解を示した。
WADAのデータベースは、8月にもハッカーの攻撃を受けており、そのときはロシアの国家ぐるみの薬物違反を告発したユリア・ステパノワ (Yulia Stepanova)のデータが盗まれていた。米国で身を隠しながら生活するステパノワは、身の危険を感じていると話している。
体操のバイルス選手は精神障害ですが、極プライベートな事を公にしなくてはならないのはちょっと酷ですね。
物事に集中出来ないのがこの障害の特徴ですが、それを乗り越えて女子体操の頂点に昇った事は信じられない事です。
その努力は私たちには想像ができないものです。
いつもお読み頂きましてありがとうございます。