正恩氏親族・側近の相次ぐ死 増え続ける恐怖政治の犠牲者
2017/02/14 22:33 聯合ニュース
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の恐怖政治による犠牲者が増え続けている。
親族も例外ではない。金委員長の叔父で北朝鮮ナンバー2だった張成沢(チャン・ソンテク)氏が2013年12月に処刑されたのに続
き、異母兄の正男(ジョンナム)氏(45)も殺害されたとされる。
韓国政府筋は14日、正男氏が13日にマレーシアで殺害されたと伝えた。
1971年生まれの正男氏は故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男。一時は金総書記の後継者として有力視されていたが2001
年に偽造パスポートで日本に入国しようとして摘発された。その後は後継者争いから外れ、マカオや中国などで生活していた。
金正恩体制発足後、正男氏が北朝鮮の権力世襲を批判してきたため、金委員長が自身の権力を脅かす存在だった正男氏を暗殺し
たのではないかとの見方が出ている。
金委員長は11年の金正恩体制発足後、恐怖政治を通じ自身の「唯一支配体制」の妨げとなる人物を容赦なく粛清してきた。
最初の標的は金総書記の死後、軍部のトップに浮上した李英鎬(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長(当時)だった。金委員長は12年7
月、自身の権力基盤を構築する過程で非協力的な態度を見せたとの理由で李氏を突然解任した。
李氏を含め、金総書記の葬儀で霊きゅう車に付き添っていた金正覚(キム・ジョンガク)氏、金永春(キム・ヨンチュン)氏、禹東則(ウ・
ドンチュク)氏の軍幹部4人は金正恩体制下で粛清されたか一線から退いた。
13年12月には張成沢氏を処刑した。世界に衝撃を与えた張氏の処刑は、ナンバー2の存在を許さない金委員長の唯一指導体制の構築が目的だった。
15年4月には当時の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(韓国の国防部長官に相当)が裁判も行われないまま機関銃で公開
処刑され、同5月には、金委員長が進める山林緑化政策に不満を示したとの理由で崔英健(チェ・ヨンゴン)副首相が処刑された。
昨年7月には副首相だった金勇進(キム・ヨンジン)氏が最高人民会議(国会に相当)で「座る姿勢が悪かった」と指摘され、国家安全
保衛部(秘密警察、現国家保衛省)の調べを受けた後、処刑された。
先月は、金元弘(キム・ウォンホン)国家保衛相が朝鮮労働党組織指導部の調査を受け、大将から少将に降格された後、解任され
た。
韓国の関係当局の推計によると、金正恩体制で処刑された幹部は12年に3人、13年に約30人、14年に約40人、15年には約60
人なるなど急増している。
もう一人の兄・金正哲氏 監視されながら北朝鮮で生活
2017/02/15 10:03 聯合ニュース
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、
金正男(キム・ジョンナム)氏(45)が13日にマレーシアの空港で殺害されたと伝えられ、正恩氏のもう一人の兄、金正哲(キム・ジョン
チョル)氏の現状に関心が集まる。韓国政府の当局者は15日、「正哲は現在、北に住んでいると聞いている」と明らかにした。徹底した
監視の下で暮らしているようだ。
金総書記の3人の息子のうち、正男氏は金総書記の2番目の夫人で映画女優だった成恵琳(ソン・ヘリム)氏との間に、次男の正哲
氏と三男の正恩氏は3番目の夫人で在日朝鮮人だった高英姫(コ・ヨンヒ)氏との間に生まれた。
正哲氏の現在に暮らしについて、韓国に亡命した元北朝鮮権力機関の高官は、「監禁生活というほどではなく、外を出歩ける」と話
す。
ただ、「警護の名目で国家保衛省(秘密警察)の要員が常に付き添い、正哲の一挙手一投足を正恩に報告する」という。
正哲氏は2015年にエリック・クラプトンの公演を見にロンドンを訪れている。この時に正哲氏に同行したのが、当時英国の北朝鮮大
使館に勤務し、昨夏韓国に亡命したテ・ヨンホ前公使だ。テ氏は先月8日に聯合ニュースのインタビューに、「正哲が(正恩氏の)兄で
も、(北朝鮮で)何らかの役割や地位、聖域を持つということはあり得ない」と話していた。
同じ母から生まれた妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が党宣伝扇動部副部長を務めるのとは異なり、正哲氏は金正恩体制下で何の役
割も与えられず、監視とけん制を受けているといえる。
2017/02/15 10:21 KST 聯合ニュース
金正男氏 息子 ハンソル氏
【マカオ聯合ニュース】北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄
である正男(ジョンナム)氏(45)が13日にマレーシアで毒殺されたと伝えられ、息子のハンソル氏ら家族の行方に関心が集まってい
る。正男氏の殺害が意図的なものだったとすれば、その家族にも被害が及びかねないためだ。
聯合ニュースの取材陣は殺害が伝わるとすぐさまマカオに向かい、正男氏の2人目の妻とされる女性と娘が住んでいたマカオ・タイパ
島の超高層マンションを訪ねたが、行方をつかめなかった。このマンションは娘が通うインターナショナルスクールに近い。ロビーで会っ
た警備員は、正男氏の妻やハンソル氏の名前をほとんど聞いたことがないと話した。
現地の韓国人の中には、2~3年前から正男氏の妻と娘の姿が全く見えず、マカオを去ったのではないかと話す人もいた。一方で、
家族がボディーガードや知人の家に滞在しているとの見方もある。
ハンソル氏は2011年に東欧ボスニア・ヘルツェゴビナのインターナショナルスクールに入学した。フランス名門校のパリ政治学院で
学んだ後、マカオへ戻ったとされている。
正男氏が07年ごろからボディーガードと共に住んでいたとされたマカオ・コロアン島の4階建て住宅も、ドアが固く閉ざされていた。郵
便ポストにはロン某氏宛てに届いた昨年7月の公共料金の通知書などが残されており、住人がいなくなって久しいように見えた。横の
建物のチャイムを鳴らして正男氏について知っているかどうか尋ねたが、「全然知らない」という答えしか返ってこなかった。