米大統領、ロシア巡るフリン氏の説明不完全と以前から把握=報道官
[ワシントン 14日 ロイター] - 13日に辞任したフリン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)とロシアとの接触を巡り、トランプ大統領はフリン氏がホワイトハウスに不完全な説明をしたことを数週間前から把握していたが、その時点では辞任要求は見送った。スパイサー大統領報道官が14日、明らかにした。
報道官によると、トランプ大統領は1月下旬、フリン氏が駐米ロシア大使との会話についてペンス副大統領に全ての事実を報告していないとの説明を受けた。
報道官は13日のフリン氏の辞任について、トランプ氏の求めに応じたものだと説明した。
その上で、フリン氏とロシア大使の会話に違法性はないとの米政権の見方を強調し、法的問題というよりも大統領の側近に対する信頼の問題だと述べた。
報道官によると、米司法省は1月26日、ホワイトハウスの法律顧問にフリン氏の説明に矛盾があることを指摘し、法律顧問は直ちにトランプ大統領に報告した。大統領は違法性があるか精査するよう指示し、問題はないとの判断が直ちに示されたため、大統領はその報告を信じた。
一部の共和党有力議員も含め、議員からはフリン氏の行為だけでなく、ホワイトハウスとロシアの関係について包括的な調査を行うべきだとの声が上がっている。
民主党議員はフリン氏の調査を強く求め、同氏とロシアの関係についてトランプ氏がどこまで知っていたか明らかにする必要があると主張している。
共和党内でもコーカー、コーニン両上院議員が情報委員会による調査を求めているが、ライアン下院議長はこの問題を巡る発言を控え、トランプ政権に説明を委ねる立場を示した。
ホワイトハウスとロシアの関係を巡る調査は、司法省か議会の協力がなければ実現は困難とみられる。
フリン氏辞任、日米経済対話の準備作業に影響も
[東京 15日 ロイター] - トランプ米大統領に近いとされていたフリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が辞任し、日本国内にも波紋が広がっている。先の日米首脳会談で新設が決まった日米経済対話の米側の人選作業に影響が出かねないとの懸念もある。
安倍晋三政権はフリン氏辞任で「実務的には影響はない」(菅義偉官房長官、14日会見)と冷静な反応を示している。
ただ、昨年の米大統領選の期間中に来日し、日本政府要人とも会っていたフリン氏は、安倍政権にとって重要な「窓口」だった。
そのフリン氏の辞任によって、日本側は新たなパイプ作りを迫られるが、後任の人事も明らかになっておらず、当面は様子見となりそうだ。
また、対ロシア政策の方向性も含め、新たな体制固めを強いられたトランプ政権は、日米経済対話の枠組み設定などで、これまで予想されていた以上に時間がかかりそうだ。
4月と想定されているペンス米副大統領の来日までには、同対話に参加する日本側の人選も固まるとみられているが「米側の人選が遅れると、日本側の人選もなかなか進まない」(政府関係者)という。
麻生太郎副総理兼財務相は15日の衆院財務金融委で、ペンス副大統領の来日時に開催される日米経済対話の初回では、「米側スタッフが不足」しているため、「詰めた話が出る感じはしない」と述べている。