東京五輪、今夏開催断念なら1、2年延期が現実的=組織委理事
2020 年 3 月 11 日 09:37 JST WSJ By Alastair Gale
東京五輪のマスコットが描かれた都内のバス。五輪中止は日本にとって大きな経済的打撃になるとみられている
【東京】2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会理事の高橋治之氏は、
新型コロナウイルス感染拡大の影響で今夏の五輪開催が難しくなれば、最も現実的な
選択肢は開催を1、2年延期することだとの見解を示した。
高橋氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、理事会では
まだ五輪に対するウイルスの影響は議論していないとしながらも、スケジュール変更が
他のスポーツイベントにどのような影響があるかを3月下旬の次回理事会までに検討する
見込みだとしている。
電通元専務の高橋氏は、五輪中止、あるいは観客無しでの開催による経済的損失は
あまりに大きいと述べた。一方、1年未満の延期については、米国の野球やアメフト、
欧州のサッカーなど、主要プロスポーツの日程と重なる可能性が高いとの見方を示した。
米ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャスト傘下のNBCユニバーサルは、東京五輪の
米国での放映権に11億ドル(約1100億円)を支払っている。国際オリンピック委員会
(IOC)の決算報告書によると、IOCは収入の約73%を放映権の販売で得ている。
高橋氏は「中止はできない。延期ということだと思う」と指摘。
中止すれば「IOC自身が(経営的に)おかしくなる」とし、米放送権料だけでも
「大変な金額」だと語った。来年のスポーツイベントの予定はおおむね固まっている
ため、延期の場合は2年後のほうが調整しやすいとの考えも示した。
新型ウイルス感染が世界的に広がる中、欧州の一部ブックメーカー(賭け屋)が示す
五輪の今夏開催の確率は低下している。
五輪組織委の森喜朗会長は6日、大会中止はあり得ないと表明している。