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G20首脳、貿易で妥協も気候変動問題で亀裂

2017-07-09 22:18:59 | サミット

G20首脳、貿易で妥協も気候変動問題で亀裂

2017 年 7 月 9 日 11:29 JST    THE WALL STREET JOURNAL

 【ハンブルク】20カ国・地域(G20)首脳会議は8日、保護主義と闘うと同時に公正な貿易を実現するとの首脳宣言を採択した。ドナル

ド・トランプ大統領が示す挑発的な単独主義を受けて米国と他参加国の亀裂が露呈したが、広範なコンセンサスは得られた格好だ。


 だが、グローバル化と既成勢力に反対する政治的な風潮が強まっている最近の状況を考慮し、2008年に始まったG20首脳会議で

初めて、自由貿易推進を目指すメッセージを控えた。ただ、貿易不均衡の是正を目指す防衛的措置が必要であるとの認識を示した。


 前例のない動きは他にもあった。気候変動に関する文言について、参加国全体として合意することはできず、米国と他参加国の姿勢

が分かれた。


 首脳宣言は「互いの利益になる貿易・投資枠組みの重要性」に言及したが、貿易不均衡を巡るトランプ氏その他の首脳の懸念に同

意し、「公平(な貿易)を確保すべく尽力する」としている。この文言は、中国が世界経済で足場を拡大しているとする米国や欧州の一部

参加国の懸念を反映しているようだ。


 トランプ氏の「米国第一」主義政策は世界経済の秩序と衝突しかねない。首脳会議閉幕が近づくにつれ、トランプ氏から支持を取り付

けることが関係者にとって最大のテーマとなった。


 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は「気候変動に関する交渉は意見の相違を反映していた。誰もがアメリカ合衆国に反対だった」とし、

「貿易を巡る交渉が特に難しかったのも、米国が特定の姿勢をとっていることの結果だ」と述べた。


 一方、トランプ氏は「G20首脳会議は素晴らしい成功だった。アンゲラ・メルケル首相の議長ぶりは見事だった。ありがとう!」とツ

イートした。


 欧州参加国の当局者らによると、今回の会議は、トランプ氏の姿勢が投げかける課題にもかかわらず、経済問題に関して新たな―

そして異なる―国際合意がゆっくりと再構築される可能性があることを示す。


 ひとつの兆しが、トランプ氏が米鉄鋼市場保護に向けて単独措置を検討するなか、世界の余剰生産能力の抑制を図る国際的な取り

組みが打ち出されたことだろう。G20は8日、各市場を覆す世界の余剰能力を緩和する措置について、11月までに概要をまとめること

に合意した。


 だがトランプ大統領の当選以降に貿易で浮上した深い溝は首脳宣言では埋まらない。こう警告する首脳も何人かいた。


 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2日間の首脳会議中、公正な貿易と2国間貿易赤字の回避を同一に扱っているとして、ト

ランプ氏らを批判した。関係者らによると、マクロン氏は貿易に関する協議中に自身のスマートフォンをこれ見よがしに見せ、G20参加

国で消費される多くの製品は世界の生産チェーンに依存していると述べた。トランプ氏はマクロン氏の発言中に部屋から出たという。


 マクロン氏は首脳会議閉幕の記者会見で、「この問題について存在する緊張はひとつの文書では消えないし、長いこと存在し続ける

だろう」と述べ、トランプ氏が採り入れている貿易措置は「大間違い」だとした。


 関係者によると、米国は貿易については孤立していないという。不公正貿易に対する防衛的措置の支持を促すなど一部の点につい

ては、トルコおよび欧州連合(EU)の首脳とフランスのマクロン氏がトランプ氏と同じ見解を持っている。


 だが世界の大半の首脳にとって首脳会議の成果のひとつは、世界貿易を支える国際組織にトランプ氏を呼び戻したことだ。


 G20当局者は今回の会議に先立ち、トランプ氏が環太平洋経済連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の決定

にとどまらず、世界貿易機関(WTO)などより広範な枠組みを損なう動きに出るのではないかとの懸念を口にしていた。ホワイトハウス

は改革を視野にWTOの見直しに着手している。だが今回の首脳会議で、米国は他参加国と同様、WTO傘下でのセーフガード規則に

基づいた世界貿易への取り組みをあらためて表明している。


 気候変動問題については、トランプ大統領が先にパリ協定離脱を宣言していることを受け、他のG20参加国は共通認識を模索した。

しかし、米国の方針を受け入れながら、他の19カ国がパリ協定順守を再確認する交渉を行うのは「非常に困難」(関係者)だったため、

対立点は解消されなかった。