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ドイツ総選挙でトルコ系住民はエルドアンに従うか

2017-09-24 10:17:28 | 選挙

ドイツ総選挙でトルコ系住民はエルドアンに従うか

Will Germany's Turks Obey Erdogan?

2017年9月23日(土)12時20分     Newsweek     ベサニー・アレン・イブラヒミアン
 

国民投票の結果を速報で知り、ベルリン市内で改憲を祝うトルコ系の人々(4月) 

 

<24日の総選挙でトルコの露骨な介入で票が動けば、メルケルの移民政策に批判が集中する恐れも>

9月24日に行われるドイツの総選挙に露骨な介入を試みたトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領。その強引さには

ドイツ人もあきれるのみだ。


エルドアンは8月、アンゲラ・メルケル首相率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)と連立相手の社会民主党(SPD)、そして野党の

緑の党を「トルコの敵」と決め付け、トルコ系ドイツ人にこの3党に投票するなと呼び掛けた。


ドイツにいるトルコ系有権者は約100万人。このグループに的を絞った世論調査は最近行われていないため、エルドアンの呼び掛けが

どの程度選挙結果に影響を及ぼすかは未知数だ。


結果次第ではドイツ社会に「統合」されたはずの移民が祖国の強権指導者に従ったことになり、メルケルの移民政策にますます

批判が集中しかねない。


伝統的にトルコ系ドイツ人の圧倒的な支持をつかんできたのは中道左派のSPDだ。トルコ系の多くは、西ドイツ政府が労働力不足を

解消するため「ゲストワーカー」として移民を受け入れた60~70年代に流入した人々とその子孫。労働者の権利擁護とイスラム系

移民に寛容な政策を掲げるSPDの支持率は約70%と高い。一方、トルコのEU加盟に反対し続けてきたCDUを支持する人は、

トルコ系有権者の6%前後にすぎない。


ドイツとトルコは共にNATOの加盟国で、本来は協力関係にある。だが昨年7月に起きたトルコのクーデター未遂事件で、関与した

軍人の引き渡しをドイツが拒否したため、関係が悪化した。


さらに今年4月、トルコで大統領権限の強化などを盛り込んだ憲法改正案が国民投票に付されることになり、エルドアン率いる

公正発展党(AKP)の関連団体がドイツ国内でトルコ系向けに改憲支持キャンペーンを展開しようとした。

ドイツ政府がこれを禁止すると、怒ったエルドアンはメルケルを「ファシスト」呼ばわりし、険悪ムードは一気にエスカレートした。


文化戦争に駆り立てる

それ以上に危惧されているのは、トルコ系ドイツ人の「エルドアンびいき」だ。ドイツにいる約300万人のトルコ系住民のうち

約140万人はトルコ国籍を持ち(ドイツでは事実上二重国籍が認められている)、トルコの国民投票に参加できる。彼らの63%が

改憲支持に回った。


この結果から移民統合を悲観視する向きもある。長年ドイツで暮らしても、トルコ系住民の考え方は個人の自由や民主主義とは

なじまないというのだ。


「民主主義と自由と安全を享受してきたのに、彼らはトルコの民主主義を圧殺する票を投じた」――独ニュース週刊誌シュピーゲル

の元トルコ特派員ハスネイン・カジムはそう嘆いた。


エルドアンの選挙介入にドイツの世論と政治家は強く反発している。メルケルは「いかなる干渉も容認しない」と宣言。

ジグマル・ガブリエル外相とハイコ・マース法相は「エルドアンはドイツのトルコ系住民を扇動して、文化戦争に駆り立てようとしている」

と警告した。


だが改憲を支持した人たちがドイツの選挙でエルドアンの指示に従うとは限らない。ベルリンのフンボルト大学のセラト・カラカヤリ

教授によると、「トルコ系ドイツ人はトルコとドイツという2つの異なる文化圏とその社会規範を自分の中に抱えていて、その場に

合った規範を採用するようだ」という。


彼らが下す判断はドイツの将来を決める大きな要因になる。



トルコ報道:ドイツで明日、連邦議会選挙

ドイツで新連邦議会と、それに関連して政権を確定するために、人々は明日(2017年9月24日)選挙に向かう。

(2017年)9月23日   TRT


ドイツで、6150万人の有権者が、299の選挙区で、新議会の598人の議員を確定するために、投票を行う。

有権者は、第1回投票で自身が住む地域の議員候補に、第2回投票では自身が選んだ政党に投票する。

ドイツの16州で、およそ7万3500か所で約65万人の職員が動員される。


ドイツで42政党が競合する選挙に参加する4828人の候補の中には、トルコ系の候補92人もいる。選挙では、トルコ系の有権者

72万人が投票権を持つ。


第2次世界大戦の後に初の差別主義的イデオロギーを掲げる政党が連邦議会で代表されていることは、ドイツの世論において

深刻な懸念を招いている。


世論調査会社INSAがドイツのビルト紙に行った最新の世論調査によれば、選挙では、

キリスト教民主同盟(CDU)が34パーセント、社会民主党が21パーセント、極右の「ドイツのための選択肢」(AfD)が13パーセント、

左派政党が11パーセント、自由民主党(FDP)が9パーセント、緑の党が8パーセントの得票率となることが予想されている。


一方、首都ベルリンでトルコ人が集中的に暮らすクロイツベルク・フリードリヒスハイン地区で、緑の党から選挙の直接候補となった

ジャーナーン・バイラム氏は、同地区の人々の問題の解決策を見出すことを目的に連邦議会で政治を行いたいと述べた。


トルコ系候補のバイラム氏は、トルコ系住民が暮らす社会で発言権を持つことを望むトルコ人に、必ず選挙に行き、投票を行って

ほしいと述べた。