香港市民の声「聞き入れる」 選挙結果受け長官が表明
【11月26日 AFP】香港の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は25日、区議会議員
選挙の結果を受け、有権者の意見を「謙虚に聞き入れる」と表明した。同選挙では民主派が圧勝し、
ここ数か月にわたり騒乱を巻き起こしている抗議デモが市民から幅広い支持を集めていることが
示されていた。
今回の選挙では、高度の自治が認められている香港での中国支配緩和を目指す民主派候補らが、
18区で計452ある議席のうち圧倒的多数を獲得。区議会はこれまで、親中派のエスタブリッシュ
メント(既成勢力)が多くの議席を固持してきており、選挙結果は香港に衝撃を与えた。
地元メディアによると、民主派は議席数を263から388に大幅に増やした一方、親中派は59議席に
とどまり、独立系候補は5議席となった。
抗議デモ開始後で初の投票となった今回の選挙の結果は、林鄭氏と中国にとって屈辱的な惨敗となった。
林鄭氏はこれまで、政治改革の要求をかたくなに拒否し、サイレントマジョリティー
(声なき多数派)は自身の政権を支持し抗議デモに反対しているとの見解を繰り返し示唆してきた。
林鄭氏は香港政府の発表した声明で、「政府は必ず市民の意見を謙虚に聞き入れ、真剣に検討する」
と表明。一方で、今後取る可能性のある対応についての詳細は明らかにしなかった。
そして翌日の会見では
香港、抗議市民の要求拒否。行政長官、会見で表明
2019/11/26 12:56 (JST) 共同通信
【香港共同】香港の林鄭月娥行政長官は26日、定例記者会見で、民主派が圧勝した区議会
(地方議会)選挙に絡み、抗議活動で市民が掲げる「五大要求」について「一部は既に応じた」
と述べ、普通選挙の導入などは拒否する方針を表明した。対応が注目されていたが、改めて拒否を
明確にした。政府への不満が親中派の惨敗につながったとの認識も示した。
会見で林鄭氏は「暴力で問題は解決できない」と語り、デモ隊の過激な抗議活動をけん制した。
警官隊とデモ隊の激しい攻防があった香港理工大に籠城している学生らについては
「すぐには逮捕しない」と述べた。強硬姿勢を軟化させた可能性もある。
NHKが林鄭月娥氏の名を「蛾」に誤植、香港人に大ウケ
林鄭月「蛾」!!NHKナイス。でもこれで北京からお叱り受けてない??w
— 上念 司 (@smith796000) November 25, 2019
NHKが林鄭月娥氏の名を「蛾」に誤表記 香港デモ支持派に大ウケ #ldnews https://t.co/ZAAWjwwRg5
政府への抗議活動で緊張が高まる香港では、香港理工大に立てこもった学生らと警察の間で
激しい衝突が続いた。その緊迫のなかで学生たちを支持する香港市民の間で“喝采”を浴びた
日本メディアがあった。NHK『ニュースウオッチ9』が、香港の抗議デモについて報じた映像だ。
同番組は11月11日、香港の林鄭月娥(りんていげつが)・行政長官が、激化する反政府デモに
ついて「香港を破壊しようとする暴徒たちに厳しく言いたい。あなたたちが政治的な要求を手に
入れることは絶対にできない」と厳しい表情で語った会見を放送した。
中国側の主張を報じた内容にもかかわらず、デモ支持派が注目した理由は「字幕」にあった。
長官の名前が「林鄭月蛾」と誤表記されていたのだ。それも画面下部と右側の字幕の2か所で、
かつて“鉄の女”と呼ばれた香港政府トップの行政長官を、「蛾」呼ばわりしてしまったのである。
番組終盤で桑子真帆アナが謝罪したが、日本ではさほど話題にならなかったこの失態が、
香港で意外な反響を呼んでいた。香港で日本語教師をしている香港人男性(40代)が言う。
「香港人の間では『女(偏)』を『虫』にしてしまった誤字が大ウケしているんです。ネットには
NHKの画像を使って、林鄭氏を蛾のように加工して、殺虫剤を噴きかけているようなコラージュ画像が
出回っています。そもそも香港の抗議者たちが求めていた五大要求の一つが林鄭氏の辞任でした。
林鄭氏が市民から反感を買っているなかだったので“日本の国営放送がよくやってくれた”と話題です」
香港での反響についてNHKは、「原因は字幕を入力する際のミスで、こうしたミスが起きないよう
再発防止に努めてまいります」(広報局)とのこと。
国内の報道では“政権寄り”と揶揄されるNHKだが、香港では反政府側の信頼を得たようだ。