香港区議選、民主派が圧勝 初の過半数、親中派惨敗 デモへ強硬対応に「ノー」
選挙結果に喜びの声を上げる香港市民
香港区議会(地方議会、18区で直接投票枠452議席)選挙は25日未明も開票作業が続いた。
香港メディアによると民主派が圧勝し、1997年の中国への香港返還後で初めて過半数を獲得した。
親中派は惨敗し、抗議デモに強硬姿勢で臨む香港政府と中国の習近平指導部に、民意が明確に
「ノー」を突きつけた。
香港メディアによると、中間集計で民主派が253議席獲得したのに対し親中派は27議席に
とどまった。選挙前の議席数は親中派が約7割で民主派が約3割だった。6月に抗議活動が本格化
して以降、初の香港全域での選挙。投票率は前回を20ポイント以上上回り、返還後最高の
71・2%となった。投票者数も前回の約147万人から倍増の約294万人となった。
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、デモ隊が掲げた「五大要求」のうち、「逃亡犯条例」
改正案の撤回には応じたものの、警察の「暴力」を追及する独立調査委員会の設置など残りの
要求には応じていない。さらに、10月には緊急条例を発動して立法会(議会)の手続きを経ずに
「覆面禁止法」を制定するなど強硬姿勢を貫いてきた。
政府支持(親中)派と民主派の得票の違い
海外メディア「抗議活動への支持が示された」
NHKニュースより抜粋
香港の区議会議員選挙で、政府に批判的な立場の民主派が圧勝したことについて、海外メディアは、
「政府への抗議活動に対する支持が示された」などと大きく伝え、香港政府への批判がさらに高まると
いう見方を示しています。
このうちロイター通信は、「政治的な危機の中、香港の民主派が地滑り的な勝利」という見出しで、
選挙結果や内容を詳しく伝えるとともに、「過去数十年間の最悪の政治的な危機の中で、林鄭月娥
行政長官への批判がさらに強まる可能性がある」として、香港政府への批判がさらに高まるという
見方を示しました。
また、アメリカのブルームバーグは、香港政府への抗議活動で警察との衝突が激しくなっている状況を
踏まえ、「権力を乱用する警察への独立した調査を求める抗議活動の目標への支持が示された」として、
選挙によって抗議活動に対する市民の支持の広まりが示されたと伝えました。
このほか、イギリスの公共放送BBCは、今回の選挙について「追い詰められた林鄭月娥行政長官
への支持を試すものだ」としたうえで、「区議会は、バスやゴミ処理の問題など地方の課題に対応
するものだが、行政長官の選択にも影響を与えられる」として、今回の選挙が今後の香港政府の
かじ取りにも影響を与えると指摘しました。
香港区議選 民主派圧勝 市民からは政府に要求受け入れ求める声
2019年11月25日 12時29分 NHKニュース
24日投票が行われた香港の区議会議員選挙で、政府に批判的な立場の民主派が圧勝したことについて、
香港の街では、政府は市民の声を受け止め、警察の対応を検証する「独立調査委員会の設置」など
5つの要求をすべて受け入れるべきだという声が多く聞かれました。
このうち、50代の会社員の女性は「今回は市民の意見が反映され、投票率も高くなってうれしい。
政府が市民の要求を受け入れるまで訴えていきたい」と話していました。
また、20歳の大学3年生の男性は「結果を見てうれしくなり、とても興奮した。市民がいちばん
望んでいるのは警察の対応を検証する独立調査委員会の設置であり、今回の結果を通して政府に
圧力をかけていきたい。今回の選挙は抗議活動の一部であり、まだ抗議は終わっていない」と
話していました。
さらに、30代の女性は「今回の結果は多くの若者たちの犠牲によって得たものだ。しかし、政府は
どんな結果が出ても市民の要求は受け入れないだろう」と話していました。
また、20代の女性は「政府が要求を受け入れないなら抗議にもっと力をいれるべきだ。この数日間は
安定しているが、それは表面上のことであり、安定が続くかどうかわからない」と話していました。
一方で、60代の女性は「若者が何度も投票所に並んでお年寄りが投票を諦めたという話を友人から
聞いた。今回の選挙は不公平であり、中立性に疑問がある」と話していました。
また、50代の男性は、「親中派の議員の事務所は放火された。破壊活動をしたデモ隊が区議会議員に
当選すると香港はもっと混乱するだろう。来年の立法会の議員選挙に向けてもっと混乱すると思うので
移民を考えている」と話していました。
「何が起ころうと香港は中国の一部」 区議選結果に中国王毅外相
2019年11月25日 15:40 発信地:東京 AFP
【11月25日 AFP】香港区議会(地方議会)選挙で民主派の圧勝が報じられるなか、
中国の王毅(Wang Yi)外相は25日、「何が起ころうとも」香港は中国の一部だと述べた。
24日投票の区議会選は、過去最高の投票率を記録。民主主義の拡大を訴える候補が当選者の
圧倒的多数を占めている。親中派の香港政府に対し、民主派デモの要求を支持する民意を明確に
突き付ける選挙結果だ。
王外相は都内で安倍晋三(Shinzo Abe)首相と会談後、
「まだ最終結果は出ていない。最終結果を待とう。だが、何が起ころうとも香港は中国の一部であり
、中国の特別行政区だということははっきりしている」と記者団にコメント。
「香港を混乱させる試みも、香港の繁栄と安定を損なうたくらみも、全て成功することはない」と語った。