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ベトナム漁師が語る、中国船による漁船襲撃の実態 南シナ海

2016-05-25 07:49:37 | 領海・領土・領空・EEZ

2016.05.23 Mon posted at 15:02 JS CNN

CNN) 中国やベトナムが領有権を争う南シナ海のパラセル(西沙)諸島で操業するベトナムの漁師たちが、中国船に襲撃される事件が相次いでいる。ベトナム当局を通じて取材に応じた漁師がCNNに自身の体験を語った。

漁業を営むレ・タンさんは、海上で何度もトラブルに遭遇してきたと話す。昨年は中国船籍の船に追跡されて息子と共に拘束され、脅迫されたといい、「相手はまず魚を、それから器材を奪った。気に入れば自分たちのものにして、気に入らなければ投げ捨てた」と振り返る。

この10年で4~5回は襲撃に遭ったといい、1度は息子が3日間にわたって拘束された。息子は暴行されたり脊椎(せきつい)をテーザー銃で撃たれたりして重傷を負い、「3カ月間自宅から出られなくなり、仕事もできなかった」とタンさんは言う。

ベトナム当局によれば、タンさんのようにパラセル諸島で操業している漁師は数百人が被害に遭っているという。

オバマ米大統領は23日にベトナムを訪問。南シナ海の領有権問題は重要な議題として浮上している。

中国は1947年の地図を根拠として、南シナ海のほぼ全海域について領有権を主張する。これに対してベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイはいずれも異議を唱える。

ベトナム東部沿岸の小さな島ライソン島にはタンさんのような漁師1000人あまりが暮らし、パラセル諸島で操業している。

地元自治体によれば、中国船に襲撃されたライソン島の漁師は2015年の1年間で200人、漁船は17隻に上るという。

中国外務省は、ベトナムの漁師に対する暴行や同海域からの排除については認識していないとした。

中国は1999年以来、持続可能性を守るという理由で夏の間は南シナ海での漁船の操業を禁止してきた。

中国外務省報道官はCNNの取材に対し、「中国には自国の領海を管理する権限がある」と強調する。

一方、ライソン島の当局者はパラセル諸島での操業を続けるよう漁師たちに促していることを明らかにした。

漁業は同島の伝統であり、家計を支えるためにも欠かせないと当局者は強調、「航海に出ることによって、この海域がベトナムのものであることを確認して

いる」と話す。

CNNが当局を通さずにライソン島の漁師に直接取材することは認められなかった。

だがベトナム政府は中国による侵害の実例として、ライソン島の漁師の話を積極的に広めている。

失った漁業器材の買い替え費用は当局が負担し、医療費にも補助が出る。

ライソン漁業組合によれば、ベトナムの一般市民も島がベトナムのものだと信じて漁師を支援するために寄付をしているという。

中国の領有権主張で周辺国が脅かされる中、米国にとってはベトナムのような国と関係を強化できる新たな機会が開ける。

オバマ大統領のアジア歴訪を前に、米国務省のダニエル・ラッセル次官補(東アジア・太平洋担当)はベトナムについて、

「海洋法および海洋における法の支配を守り、南シナ海の緊張や争いを平和的に解決するためのパートナー」と形容した。

オバマ政権は平和的な解決を支持すると繰り返し表明し、いずれの国による埋め立てや軍事化も中止するよう促してきた。

米国はさらに、米海軍艦が南シナ海を巡航する「航行の自由」作戦も展開している。

これに対して中国は強く反発。一方でベトナム外務省報道官は今年1月、「無害な領海通過の権利を尊重する」と表明した。

南シナ海を漁場とする国はみんな中国に脅かされています。

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