台湾で中国の干渉阻止する「反浸透法」成立、総統選迫る中

【1月1日 AFP】台湾の立法院(国会)は12月31日、中国による干渉を阻止するための「反浸透法案」
を可決し、同法は成立した。台湾総統選は、投開票まで2週間を切っている。
蔡英文(Tsai Ing-wen)総統率いる中国懐疑派の与党・民主進歩党(DPP)が同法を推進する一方、
最大野党・国民党(KMT)は猛反対していた。
新法は、国外の「敵対勢力」による選挙運動やロビー活動、政治献金、社会秩序の破壊、選挙に
関連した虚偽情報の拡散などの活動を禁止するもの。違反した者には5年以下の懲役および
33万2000ドル(約3600万円)以下の罰金が科される。
立法院前では、親中派の活動家数十人が「蔡英文を打倒せよ」「緑(DPPの象徴)のテロ」などと
書かれた旗を振って抗議した。
総統選では対中関係が争点となっており、同法は投開票が迫る中で注目の話題となっていた。
蔡氏は今回の総統選を台湾の自由と民主主義のための闘いと位置づけ、再選を目指している。
一方、KMTから出馬している対立候補の韓国瑜(Han Kuo-yu)氏は、台中関係の親密化を
目指している。
蔡氏は同法について、「中国の四方八方からの浸透への台湾社会の恐怖」に応えるものだと
主張している。
DPPの王定宇(Wang Ting-yu)議員は法案可決後、「われわれが可決した法案は、台湾の唯一の
脅威である中国が、そのシャープパワーと資金を使って台湾の民主的活動を汚染し、操作し、妨害
するのを防ぐためのものだ」と語った。
台湾・総統選、投票まで1週間 蔡氏が優勢維持
<time datetime="2020-01-05T16:34">2020.1.5 16:34 産経新聞</time>
テレビ演説に臨む韓国瑜高雄市長(右)と蔡英文総統(左)=台北(ロイター)
【台北=田中靖人】11日の総統選投票まで1週間を切った台湾では5日、最後の日曜を迎え、
各候補が支持を訴えた。再選を目指す民主進歩党の蔡英文(さい・えいぶん)総統(63)は、香港の
抗議デモをめぐる情勢悪化を受けた世論の対中警戒感を支えに、優勢を維持している。
野党、中国国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(62)は準備不足と親中派の印象が払拭できず、
逆転の機会を逸したまま選挙戦の最終盤を迎えている。
台湾では投票日の10日前となる今月1日から世論調査の公表が禁止されている。大手テレビ局
TVBSが昨年12月29日に発表した調査の支持率は、蔡氏の45%に対し、韓氏が29%で
16ポイント差となった。
韓氏が11月下旬、調査を混乱させるため、支持者に「蔡氏支持」と嘘の回答をするよう
求めてから、両陣営とも調査結果をそのままは信用していない。ただ、民進党幹部は「情勢は安定
している」とみている。
蔡氏は1月1日の新年談話で、香港を引き合いに「民主主義と専制(政治)は同時に同じ国家に
存在できない」と述べ、中国が台湾統一策とする「一国二制度」を改めて拒否。昨年12月末の
討論会でも、中国の台湾社会への「浸透」に対抗する姿勢を強調した。
一方、2016年の前回総統選で中国市場からの脱却を目指す「新南向政策」などを打ち出した
のとは異なり、今回は目玉政策がなく、再選後のフリーハンドを得たい思惑がにじむ。
対する韓氏は、3回の政見発表会で一貫して政権与党への反感をあおる手法に徹したが、
「民進党の腐敗」を捜査する最高検察庁特別偵察組(特捜部)の復活以外の政策を印象付けられ
なかった。韓氏は公約の立案を副総統候補となった張善政氏率いる顧問団に委ねており、政策論争での
見劣りは否定できない。
また、12月下旬のテレビ番組では、「台湾に脅威を与えている国」を問われた際に「中国」との
名指しを避けたため、民進党から批判された。韓氏は民進党の政治家も過去に中国側と交流しており、
自分だけが批判されるのは「不公平だ」と反論するが、中国批判に踏み込まないのも事実で、
対中論争でも防戦一方だ。