台湾主導の研究チーム、新型コロナ治療の鍵となる抗体を発見
2020/04/09 11:51 中央通信社
(台北中央社)台湾主導の共同研究チームが、新型コロナウイルスに対抗するために
人体の免疫システムによって作り出された25株のヒト化モノクローナル抗体を発見した。
最速30分で感染の有無を判別できる迅速検査キットの開発につながるほか、このうちの
1株には人体へのウイルス侵入を抑制できる可能性があり、新たな予防、治療手段となる
ことが期待される。
モノクローナル抗体は、単一のB細胞(免疫細胞)から作り出される抗体で、体内の異物を
特定して攻撃できる性質を持つ。長庚大学、長庚医院、中央研究院、国防部予防医学研究
所、英オックスフォード大学からなる研究チームが2カ月半かけて、世界各地から台湾に
戻った感染者から採取した検体から22種の新型コロナウイルスを分離し、全ゲノム情報を
入手した。
研究に携わった林口長庚医院児童感染科の黄冠穎医師によれば、25株の抗体は、患者3人
から発見されたもので、このうちの13株はスパイク(S)タンパク質と呼ばれる独自の
機能を持つウイルスのタンパク質を攻撃することが確認された。
さらにこの中の1株は、細胞表面の受容体ACE2と結合することが明らかになったという。
長庚大学新興ウイルス感染研究センターの施信如教授は、ウイルスはACE2と結合しな
ければ細胞に侵入できず、抗体がウイルスと争って勝てばウイルスの侵入を防げる
可能性があると説明。人体で作られた抗体は動物由来のものより安全だと強調し、
今後、有効性が確認できれば治療や予防にも活用できると期待を示した。