国内14年ぶり狂犬病発症 来日者、フィリピンで感染か―愛知・豊橋
ヒトヒト感染はないが、感染したら有効な治療法はない。
2020年05月22日18時56分 時事通信
愛知県豊橋市は22日、フィリピンから来日した人の狂犬病発症を確認したと発表した。
来日前に同国で感染したとみられる。日本国内で人が狂犬病を発症したのは2006年
以来、14年ぶり。
市によると、この患者は今年2月、就労のためフィリピンから来日した。
昨年9月ごろ、同国で左足首を犬にかまれたが受診しておらず、この際に感染したと
みられる。市は本人の了解が取れていないとして、患者の国籍や年齢、性別を明らかに
していない。
患者は静岡市在住。今月11日に足首に痛みを感じ、その後体の痛みや嘔吐
(おうと)に加え、水を怖がるなどの症状が出て18日に豊橋市内の医療機関に
入院した。国立感染症研究所で検体を遺伝子検査した結果、22日に感染が確認された。
現在も重症という。
狂犬病は犬などから感染し、通常は人から人へ感染することはない。厚生労働省に
よると現在、国内では発生しておらず、国内感染は1950年代が最後。
06年には横浜市と京都市の男性2人が、フィリピンで犬にかまれて感染し、
帰国後に発症して死亡した。
狂犬病
狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に
感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、
野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに
至りました。この事例を見ても、犬の登録や予防注射が狂犬病予防にいかに重要な役割を果たすかが
理解できます。
現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、日本の周辺国を
含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されている
ことから、万一の侵入に備えた対策が重要となっています。
万一狂犬病が国内で発生した場合には、素早くしっかりと発生の拡大とまん延の防止を図ることが
非常に重要となります。そのためには、犬の飼い主一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち、
飼い犬の登録と予防注射を確実に行うことが必要であり、そうすることによって公衆衛生の向上と
公共の福祉の増進に寄与しているということを飼い主の方にはしっかりと自覚していただくことが
望まれます。