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<新型肺炎・武漢肺炎>無症状の感染者からも発症者並みのウイルスを検出

2020-03-03 03:05:27 | 医療・疾病・疫病・パンデミック・新型コロナウイルス

新型コロナ、無症状の感染者からも発症者並みのウイルスを検出

SARSとは異なるウイルス排出パターンが感染拡大の一因に?

2020/2/28  yahoo news       大西淳子=医学ジャーナリスト

https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/022800660/

新型コロナウイルス感染症がSARSよりも爆発的に広がっているのは、ウイルスの排出パターンの違いのせい?(写真提供:国立感染症研究所)

 

 中国・広東省で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染したものの、症状が出な

かった(発症しなかった)患者の鼻とのどから、発症者と同程度の量のウイルスが検出

されたことが、2020年2月19日付New England Journal of Medicine誌のCorrespondence欄

に報告されました(*1)。この結果は、感染しても症状がない、またはわずかな症状

しかない人からも、新型コロナウイルスの感染が広がる可能性を示唆するものです。

*1 Zou L, et al. N Engl J Med. 2020 Feb 19. doi: 10.1056/NEJMc2001737.

 

SARSが古典的な「隔離と検疫」で終息した理由は?

 2002~2003年に、世界25カ国以上で8096人が発症したSARS(重症急性呼吸器症候群)

の場合、原因となったコロナウイルス(SARS-CoV)には以下のような特徴がありました。

 

SARSコロナウイルスの特徴

患者本人の発症から数日を経てから、周囲の人に感染し始める

・発症から間もない患者の気道にはウイルスは少ない

・気道のウイルス量が最も多くなるのは、発症から10日前後

 

 SARSは、ウイルスの持つこうした特徴から、古典的な「隔離と検疫」によって終息

したと考えられています。

 

 では、今回の新型コロナウイルスの場合はどうなのでしょうか。

 中国広東省疾病管理予防センター(CDC)のLirong Zou氏は、広東州南部の珠海市で、

18人の新型コロナウイルス感染確定患者(男性9人女性9人、26歳~76歳、中央値は59歳)

の、鼻とのどから標本を採取しました。具体的には、鼻の奥から採取する鼻スワブと、

のどの奥から採取する咽頭スワブを、患者1人当たり、それぞれ1本から最大9本まで、

計72本採取しました。

 

 18人のうち14人は発症前に武漢を訪問しており、1月7日から1月26日までの期間に

37.3度以上の発熱があったため、中国CDCが開発したPCR検査を受けて、新型コロナ

ウイルスによる肺炎と診断されました。14人中13人はCT検査でも肺炎と診断されました。

14人中3人がICUに入院しましたが、それ以外の患者は軽症から中等症にとどまりました。

 

 一方、18人中4人は、武漢訪問歴がある患者から感染した二次感染者で、うち3人は

発症しましたが、1人は、症状が現れない状態を維持していました。

 

無症状にもかかわらず、ウイルス量は発症者並み

 この無症状の男性は、1月17日に発症してICUに入院した3人のうちの1人と

発症当日に濃厚接触していたため、監視下に置かれていました。追跡期間中に症状は

現れませんでしたが、濃厚接触から7日後、10日後、11日後のPCR検査では、鼻スワブも

咽頭スワブも陽性でした。鼻スワブのCt値(下記参照)は22から28で、咽頭スワブの

Ct値は30から32でした。濃厚接触から21日となる2月6日に、念のため胸部CT検査を

行いましたが、肺炎の所見は見られませんでした。

 

Ct 値とは

 PCRで標的とするウイルス遺伝子を倍々増幅させる過程で、ウイルス遺伝子の量が

設定された閾値に達した時点までに要した増幅回数を意味する。標本中に含まれている

ウイルス遺伝子が多ければ、少ない回数で十分に検出でき、ウイルス遺伝子が少なければ、

検出可能になるまでに要する増幅の回数が多くなる。

 このPCR検査では、Ct値が40以内でウイルス遺伝子の量が検出可能になれば陽性と

判断している。

 

 無症状だった患者を除く17人の患者の、鼻スワブのCt値の最低は19(発症から6日目)、

次いで別の患者の21(同2日目)。咽頭スワブでは19(同6日目)、次いで別の患者の25

(同7日目)でした。どちらの標本においても、重症患者のCt値の平均は、軽症から

中等症の患者より低く、重症者の方が、鼻やのどに存在するウイルス量が多かったことを

示しました。

 なお、18人に対して複数回行われたPCRの結果は一貫して陽性にはなっておらず、

いったん陰性化してから再び陽性になる例が複数見られました。

 

 無症状だった患者以外の17人の患者のPCR検査の結果をまとめて分析し、標本中に

存在するウイルス量と、発症からの日数との関係を検討したところ、

ウイルス量が多いと、症状発現後すぐにPCR陽性となること、咽頭スワブより鼻スワブの

方がより多くのウイルスを含んでいることが明らかになりました。

 

 今回の分析結果は、新型コロナウイルス感染者のウイルス排出パターンは、SARS患者

とは異なることを示唆しました。無症状の患者の鼻とのどに存在するウイルス量が、

症状のある患者と同程度であったことは、感染しても症状がない、またはわずかな

症状しかない人からも感染が広がる可能性を示唆しており、

感染拡大を防ぐためにはSARSの場合とは異なる戦略が必要だ」とZou氏らは述べて

います。

 


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