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韓国最高裁で「元徴用工」勝訴濃厚 日本企業に“慰謝料2兆円”請求の最悪シナリオ

2018-10-29 09:32:15 | 旧朝鮮半島出身労働者(応募工)問題(元徴用問題)

韓国最高裁で「元徴用工」勝訴濃厚 日本企業に“慰謝料2兆円”請求の最悪シナリオ

2018年10月29日  デイリー新潮

韓国も当初は原告敗訴の判決

 韓国における元徴用工の裁判で、韓国の最高裁にあたる大法院が10月30日に判決を言い渡す。

日本側には厳しい判決が予測されており、日韓関係の悪化が懸念されている。

 ***

 元徴用工が新日本製鉄(現・新日鉄住金)を相手取って起こした民事訴訟の場合、原点は

1997年に遡る。時系列を表にしてみた。

 

戦前、韓国は日本の植民地だった。第2次世界大戦の戦局が悪化してきた1944年、日本は

「日本国籍を有していた朝鮮人」にも労務動員を行う。海を渡らせ、日本国内の炭鉱や製鉄所、

工場などに勤務させた。

 

 元徴用工の訴訟とは基本的に、勤務先の環境が劣悪だったことに対する慰謝料や、未払い賃金の

請求、日本企業の謝罪などを求めたものだ。日韓関係に詳しくない方は、従軍慰安婦問題との

違いに混乱されるかもしれない。現代朝鮮研究家で麗澤大学客員教授の西岡力氏(62)に解説を

依頼した。


「慰安婦問題でも93年に訴訟が起こされましたが、日本政府と元慰安婦に明確な雇用関係は

ありませんでした。その上で日本政府の法的責任を求めるという主張でしたが、徴用工の場合は

旧新日鉄や三菱重工業が原告を雇用していたことは事実です。この違いは大きいでしょう。

ただ、今回の原告の中には44年より前に勤務している男性もいます。本来の戦時動員に

該当するのかは議論があります」


 違法な強制労働を認めた判決はあっても、日本の司法は元徴用工の「個人請求権」を

認めることはなかった。日本と韓国は65年、日韓請求権協定を結び、徴用工などの個人請求権を

“解決”したからだ。


 1951年9月にサンフランシスコ平和条約が結ばれ、日韓は翌10月から日韓基本条約を

締結するため協議を開始する。当初は難航するが、61年の軍事クーデターで朴正熙

(1917〜1979)が大統領に就任すると交渉は加速する。ご存知の方も多いだろうが、朴槿恵・

元大統領(66)の父親だ。


「条約の交渉過程では、軍人や軍属、そして徴用工の未払い給与など、日本が有する債務の

問題についても話し合いが行われました。日本は個人補償を申し出たのですが、韓国側は政府への

一括支給を主張して譲りませんでした。こうして日韓請求権協定が結ばれ、日本は韓国に

無償資金3億ドル、有償資金2億ドルを支払うことで解決に至りました。韓国の国家予算の

2年分という巨費で、日本の外貨準備高も18億ドルしかなく、10年の年賦にしてもらっています」(同・西岡氏)

 

 この巨額資金を朴正熙大統領は国内インフラの整備事業に投資し、「漢江(ハンガン)の奇跡」と

呼ばれる経済成長を実現したのは有名な話だ。


「さらに2005年、日韓交渉の外交文書が公開された際、当時の盧武鉉大統領(1946〜2009)が

委員会を設置し、改めて日韓請求権協定について議論をさせています。

そして『65年の請求権協定で、日本から得た無償3億ドルの経済協力金に、徴用工の補償資金は

含まれている』との見解を発表しています」(同・西岡氏)


 つまり、徴用工に個人請求権は存在しないということを、韓国政府は2回も確認していることに

なる。にもかかわらず、大法院は日本側に厳しい判決を下すことは、もはや折り込み済みに

なっている。何しろ表の通り、「判決を不当に引き延ばした」として最高裁の次長が逮捕されて

しまったのだ。


「05年の委員会には文在寅大統領が政府高官として関与していました。10月30日に韓国の

大法院が下す判決は、自国の大統領も参加して積み上げた議論さえ否定する、とんでもない

内容かもしれません」(同・西岡氏)

 

日本側は毅然とした態度で応じるべき

 大法院が賠償判決を確定させると、今後の懸念点は2つ。

1つは訴訟の増加だ。慰安婦本人や遺族が氏名を明らかにして訴訟に踏み切る精神的ハードルは

極めて高い。だが、元徴用工や遺族に、そうした逡巡があるはずもない。事実、最高裁の差し戻し

判決が出てから、日本企業を相手取った訴訟は増加している。

 韓国政府は「強制労働の戦犯企業」299社を発表しており、そこには日本のトップクラスの

企業名がずらりと並ぶ。主張する対象被害者は22万人。もし本人や遺族が集団提訴を行い、

1人1000万円(1億ウォン)の賠償が認められると、単純計算で2.2兆円に達してしまう。


 懸念の2つ目は、最高裁の判決を受け、原告側が日本企業の韓国における資産の差し押さえに

踏み切ることだろう。


 現在、上告審は3件あり、原告は計32人。高裁では9件の訴訟で約100人の原告が三菱重工など

4社を訴え、地裁では3件、約800人の原告が約90社を提訴している。請求金額は合計で

236.6億ウォン、日本円で約24億円となる。これを順次、差し押さえの対象とされると、

企業側の動揺は相当なものがあるだろう。


「ただし、決して韓国世論も一枚岩ではありません。差し押さえリスクを嫌忌し、日本企業が

韓国から撤退するリスクも高まっているからです。これを不安視する韓国の経済界は韓国政府に

冷静な対応を求めています。日本企業が撤退すれば、困るのは韓国です。日本ではありません」

(同・西岡氏)


 文在寅政権には対日強硬派が多い。日韓関係が悪化すれば、その分、南北関係が進展すると

判断する政府高官もいるという。だが、日韓関係の悪化は避けたいと憂慮する政府関係者が

ゼロというわけではない。


「日本側は慌てず騒がず、毅然たる態度で臨むべきです。韓国側の揺さぶりに苦しむ企業が

出ないよう、きめ細かなサポートが求められています。もし韓国で差し押さえの訴訟が

起こされれば、政府が支援して反訴するような対抗策が必要です。日韓条約には調停の

条項もあります。調停を要求しても抜本的な解決は無理でしょうが、貴重な時間を稼げます。

その間に国際社会にアピールし、いかに韓国の主張が間違っているかを理解してもらうのです」

(同・西岡氏)


 実は日本政府内にも韓国政府と韓国企業、そして日本政府と日本企業の4者で財団を設立し、

慰謝料などを元徴用工に支払うという案が検討されているという。西岡氏は「愚の骨頂です」と

手厳しい。

 

「安倍政権の前から、実務者レベルでは検討されてきた案だと聞きましたが、安易な妥協が最悪の

結果をもたらすことを、私たちは目の当たりにしてきました」


 法治主義は近代国家の大原則。韓国の司法も世論も、もっと冷静になることが求められている

はずなのだが、果たして聞く耳を持ってくれるだろうか?


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