英王室離脱のハリー王子「他に選択肢がなかった」「深く悲しんでいる」
2020/01/20 BBC
ハリー英王子「こうなってしまいとても悲しい」 イベントでスピーチ
イギリス王室のサセックス公爵ハリー王子は19日、王族としての公務からの引退は「大きな賭け」
だが、「他に選択肢がなかった」と語った。
支援する慈善団体のイベントに出席したハリー王子は、公務引退を発表してから初めて公の場で演説。
その中で、自分と妻メガン妃はイギリスや王室から「離れていくわけではない」ことをはっきり
させたいと話した。
「イギリスは私の故郷で、愛する場所。それは絶対に変わらない」
ハリー王子はこの日、アフリカ・レソトの王族と共同創設したHIV感染児童の支援団体
「サンタバリー」の寄付イベントに出席。開会の演説で、「この数週間で皆さんが何を聞いたり
読んだりしたか、想像するしかできませんが、それだけに本当のことを私自身から聞いていただきたい。」
お話できる限りのことを。王子や公爵としてではなくハリーとして。過去35年間、皆さんの多くが
その成長を見守ってくださった、同じ人間として」と述べた。
ハリー王子は、「私の祖母、(イギリス軍の)総司令官をこの上なく尊敬している」と述べた上で、
「私たちの希望は、公的資金を受け取らずに女王やイギリス連邦、イギリス軍に仕え続けること
だったが、残念ながらそれは不可能だった」と説明した。
「自分がどういう人間で、何を大事に思っているかは変わらないので、(王室との取り決めを)
受け入れることにした」
「何年もの大変な思い」
また2018年に結婚した際、自分たち夫妻は「ワクワクしていた、希望もあった、そして(イギリスに)
仕えようと思っていた」と話し、「なので、こうなってしまったのは非常に悲しい」と述べた。
「妻と自分のために決めた公務引退という選択は、軽いものではなかった」
「何年も大変な思いをした後に、何カ月も話し合った。自分が常に正しかったわけでないのは、
自覚している。しかしこれについては、本当に他の選択肢がなかった」
ハリー王子の演説は、サセックス公爵夫妻の公式インスタグラムにも投稿された。
サセックス公爵夫妻と息子のアーチーちゃんは、クリスマスをカナダで過ごした
公爵夫妻は今月8日、「主要王族としての公務から距離を置く」意向を発表。経済的に王室から
独立した形で、イギリスと北米を行き来しながら、王室の一員として「進歩的な新しい役割」を
果たしたいと表明した。
これを受けて、エリザベス女王をはじめ主な王室関係者が対応を協議。
英王室は18日、ハリー王子とメガン妃が今年春から公務から退き、「HRH, His/Her Royal Highness
(殿下)」の敬称を使うのをやめ、公務に就くのと引き換えに受けていた公的資金を受け取らない
ことになると発表した。夫妻はエリザベス女王の正式な代理を務めることもなくなるという。
さらに、ハリー王子とメガン妃がイギリスでの居宅として持ち続けるロンドン近郊の「フロッグモア
・コテージ」について、改修費として公的資金から拠出された240万ポンド(約3億4000万円)を
返済する方針だと明らかにした。
メガン妃は現在、息子のアーチーちゃんと共にカナダに滞在している。
(英語記事 No other option but to step back, says Harry)
「女王の鉄拳」、英社会に衝撃=ハリー王子夫妻離脱
夫妻は8日の声明で、王室の中心的メンバーとしての活動から身を引く意向を示したが、
「女王に対する義務を守り続ける」とも強調。王室の一員として「半公半民」の立場で活動したい
考えをにじませていた。
しかし、18日の女王の裁定で、夫妻が王族の称号「ロイヤルハイネス」(殿下・妃殿下)を
使用せず、公式に女王の代理もできないことが決まった。
英メディアはこれについて、欧州連合(EU)強硬離脱とメーガン妃を掛けた「ハード・メグジット
(強硬な王室離脱)」という造語で伝えた。
大衆紙サンは「女王は王室や王子の地位を与えないと極めて明確にした。
彼らはハリーとメーガンになる」とする専門家の話を紹介。ガーディアン紙は、米動画配信大手
ネットフリックスが夫妻の起用に関心を示していると報じた。
一方、メーガン妃と関係が良くないとされる父親のトーマス・マークルさんは英メディアの
インタビューで、「世界で最も長く続く王室の一つを彼ら(夫妻)は壊そうとした。陳腐化しようとした」
と娘の決断を批判した。