ハリー英王子とメガン妃、公務退き「殿下」の敬称返上へ 王室発表
王室はさらに、サセックス公爵夫妻の称号を持つハリー王子とメガン妃が、イギリスでの居宅として
持ち続けるロンドン近郊の「フロッグモア・コテージ」について、改修費として公的資金から拠出された
240万ポンド(約3億4000万円)を返済する方針だと明らかにした。
公爵夫妻は今月8日、「主要王族としての公務から距離を置く」意向を発表。経済的に王室から
独立した形で、イギリスと北米を行き来しながら、王室の一員として「進歩的な新しい役割」を果たしたいと
表明した。これを受けて、エリザベス女王をはじめ主な王室関係者が13日、対応を協議していた。
夫妻は昨年、英タブロイド紙を提訴したり、マスコミの過剰な注目に苦しんでいると明らかにしていた。
ハリー王子は自分の母親、故ダイアナ元妃の事故死につながったと同じ「強力な力」が自分の妻をも
犠牲にするのではと恐れていると述べ、「過去の繰り返し」を望まないと発言していた。
「激しい注目」
王室が発表したコメントの中でエリザベス女王は、「何カ月にもわたる会話や最近の協議の結果」、
「私の孫息子とその家族にとって建設的で前向きな進み方を、みんなして見つけることができたのを
嬉しく思います」と述べ、「ハリーとメガンとアーチーはいつまでも、私の家族の一員として大いに愛され続けます」
と表明した。
女王はその上で「過去2年間にわたり、激しい注目を浴び続けた結果、2人が大変な思いをしてきたのは
分かります。もっと独立した生活をしたいという2人の希望を支持します」と理解を示した。
「国内や英連邦各地、さらにそれ以外の場所で、2人が誠心誠意を尽くして働いてくれたことに感謝したいと
思います。そして、実にあっという間に家族の一員となったメガンを、とりわけ誇らしく思います」
「本日の合意によって、2人が幸せで穏やかな生活を新しく築き始められるよう、家族全員が望んでいます」と、
女王はコメントした。
王室はさらに、公爵夫妻が王族としての公務から退き、軍務からも引くことになると説明。夫妻もこれを
理解していると明らかにした。一方で、個人的に支援する慈善団体などとの関係は今後も続けるという。
バッキンガム宮殿は声明の中で、「今後は女王陛下の正式な代理を務めることはできないものの、陛下が
重視される価値観を自分たちも引き続き大事に掲げていくことを、サセックス夫妻ははっきりと表明された」と
説明した。
さらに、「王族としての公務から退くため、サセックス公爵夫妻は今後、HRHの称号は使用しない」と明らかにした。
「His Royal Highness」あるいは「Her Royal Highness」の略称「HRH」は、王子や王女など一部の王族が称号の
一部として使う。
王室は、今春以降の夫妻に対する警備がどのようなものになるのかについては、「コメントしない」とし、
「公的資金による警備の必要性を判断するための独立した手続きは、すでに十分確立されている」と述べた。
きっぱりとした区切り
BBCのジョニー・ダイモンド王室担当編集委員は、「ハリーとメガンは王族の一員であり続けるが、
実質的には王族ではなくなる」と説明。「王族としての称号も公務も、軍務も、内外の歴訪もなくなり、主に
カナダで生活し、公的資金の補助も受けない」という結論について、「これ以上きっぱり」とした区切りは
考えにくいと述べた。
一方で、BBCのニコラス・ウィッチェル王室担当編集委員は、バッキンガム宮殿の今回の声明からは、
サセックス公爵夫妻がイギリスやカナダで、税務や移民法の上でどういう扱いを受けるのかなど、
まだ不明だと指摘した。
たとえば、公爵夫人が今後、イギリス市民権の取得に必要なだけの時間をイギリスで過ごすことになるのか、
あるいはイギリス市民権を取得するつもりがまだあるのかなど、王室は明確に答えていないという。
王室に詳しいジャーナリストのペニー・ジュナー氏は、今回の取り決めは「最善の結果で、これで実際に
破局を回避できる」と評価した。
「夫妻が慈善団体の支援を続けられるのは、まったく素晴らしいと思う。2人ともこの世界をより良い
場所にしたいと、情熱を注いでいるので」とジュナー氏は歓迎する一方、「損をするのはイギリス国民だ」と指摘。
「2人はどこへ行っても、そこをキラキラと素敵にできる人たちなので、私たちはさびしくなる。けれども
明らかに2人は、つらい思いをしていた」
ハリー英王子とメガン妃、独自性を発揮してきた5つのこと
イギリス王室のサセックス公爵ハリー王子とメガン妃は8日、王室の「主要」メンバーとしての役割から
距離を置き、経済的にも独立すると発表した。
バッキンガム宮殿は夫妻の発表に「がっかりしている」と声明。王族はこの発表に「心を痛めている」という。
サセックス公爵夫妻は婚約発表からこれまでたびたび、王室の伝統に従わず、独自性を発揮してきた。
そのいくつかを紹介する。