韓日五輪分散開催と民族感情
2016/10/20 09:31 朝鮮日報
当初、日本は今年の夏季五輪開催を希望していた。11年前、2016年開催の五輪に日本がどの都市を候補地として立てるかを決め
る国内候補地選定委員会に行った。東京と福岡の対決だった。当時の東京側の司令塔は「極右の妄言人」で有名な石原慎太郎東京
都知事だった。東京は1964年にも五輪を開催している。日本が戦争の廃虚から経済大国へと駆け上がっている最中のことだった。
「栄光をもう一度」。石原氏が主張した五輪精神はどこまでも過去志向だった。
巨大都市に対抗するライバル候補地は破格の提案をした。福岡は「五輪招致が実現したら一部種目を韓国の姉妹都市である釜山で
開く」と言った。福岡を応援しに出た演説人6人のうち2人が韓国人だった。コスト削減だけが目的ではなかった。「分散開催を通じて北
東アジア共同繁栄の精神を実現する」と言った。玄界灘を北東アジアの「内海」にするという演説人の言葉は今も胸に残っている。あの
時、福岡が東京に勝っていたらどうなっていただろうか。
国内候補地に決まった東京だが、国際オリンピック委員会(IOC)総会では3位に敗れた。それでも石原氏は欲望を捨てず、数年後、
東京五輪2020年開催に再挑戦した。そのころちょうど政権を執った安倍晋三首相は物心両面で支援した。安倍氏もやはり石原氏と
同じような夢を見たのかもしれない。日本の過去に執着している点で、2人はよく似ている。2020年東京五輪招致の経緯だけを見る
と、五輪精神とはかけ離れている感がある。五輪精神とは国力のアピールではなく、国際平和と共存だというならば、なおのことそう
だ。
国際オリンピック委員会(IOC)が2020年東京五輪のボート・カヌー競技を韓国忠清北道忠州市の弾琴湖で開催することを検討して
いるという。5000億ウォン(約500億円)のボート会場を新たに作るくらいなら、隣国の施設を利用しろということだ。金のことで頭が痛
い東京では、5年前の東日本巨大地震で被災者が使用した避難所を五輪の宿泊施設として再利用するという案まで話し合われてい
る。反応は冷たい。ある放送局が東京で緊急アンケート調査を行ったところ、95%が反対したという。破産しても「独占開催」にこだわり
たいということだ。
2年前の自画像を見ているようだ。韓国も平昌五輪の一部種目について日本開催案を蹴ったではないか。当時、韓国国内にも分散
開催に共感する声があった。しかし、地域の利害関係、国の自尊心、「よりによってどうして日本なのか」という民族感情を上回ることは
できなかった。あの時、大きな度量をもって同意していれば、今ごろどうなっていただろうか。今の日本のムードも大きく変わっていたの
ではないだろうか。韓日間の冬季の協力が夏季の協力へと続き、五輪の歴史を変えていたかもしれない。豪華な「うたげ」が両国国民
に大きな荷物を残すのではないかと心配して言っているのだ。
心配しなくて結構ですよ。将来の五輪の為にも予算の膨張は止めなくてはいけませんが、日本だけで解決できる問題。
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