米海軍、南シナ海の哨戒活動を強化へ
今後数カ月で「航行の自由作戦」を2〜3回実施する計画
【ワシントン】米国防総省は南シナ海での海軍の哨戒活動に関し、初めて計画的な日程を組んでいる。
中国による南シナ海の領有権主張に一貫して対抗する姿勢を見せる試みとなるが、緊張をはらむ米中関係が一段と複雑化しそうだ。
米太平洋軍は今後数カ月で「航行の自由作戦」を2〜3回実施する計画を策定した。複数の米当局者が明らかにした。
中国が南シナ海ほぼ全域の島嶼(とうしょ)とその周囲の海洋の主権を主張していることに対し、米国は断固として立ち向かう構えを
強めている。
こうした計画策定は、同海域におけるオバマ前政権時代の軍事活動から大きな転換となる。前政権時代には、いつ、どのように、
どこで哨戒活動を実施するのか当局者が決断に悩むことがあった。一部の米当局者によると、内部で議論が白熱するといった
政治的要因で哨戒活動が中止されたり延期されたりした。
「航行の自由作戦」を計画的な日程で実施するという考え方は、こうした臨時の取り組みとは対照的で、哨戒活動をより定期的な
ものにする。米当局者は、哨戒活動の計画的な実施について、米国が活動する度に不安定化を招く挑発へ発展する、との
中国政府の主張を抑えられる可能性があるとみている。
米側の計画について中国当局は今のところ、コメント要請には応えていない。中国政府は、米国の哨戒活動により同水域の
航行が軍事化されると非難している。米議会調査部によると、トランプ大統領の就任以降これまでに哨戒活動は3回行われた。
オバマ政権下では4回実施された。
米当局者は新計画について、哨戒活動をこれまでより一層予定に沿って実施する方法だとしながらも、変更もあり得ると説明した。
トランプ政権は、米側の出方を決める裁量の余地を軍司令官に与えることを重視しており、新たな計画もこうした軍事作戦アプローチと
一致する。
米当局者は軍事作戦の実施前の情報公開を禁止する規定に従い、哨戒活動の実施予定時期や場所を明らかにすることは控えた。
米国は、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発プログラムを中止させるため、中国政府から一段の協力を引き出そうとしているが、
哨戒活動強化は中国への軍事的圧力を高めた格好だ。
トランプ政権は、北朝鮮の兵器開発に加え、米国とその領土や同盟国を脅やかすのを止めさせようとしているが、
「中国は北朝鮮に圧力をかけることができるが、まだあらゆる手段を尽くしていない」と抗議している。