中国で潜在的に致命的な新型フィロウイルス発見 エボラウイルスと同類
シンガポール国立大学は、中国雲南省に生息するルーセットオオコウモリ(Rousettus)
に潜在的に致命的とされる新型フィロウイルスを発見した。このウイルスはエボラウイルスと
同類のメングラウイルスに属す。英総合学術誌『ネイチャー』が報じた。
これまではフィロウイルスに起因するのはエボラウイルス(Ebolavirus)と
マールブルグウイルス(Marburgvirus)、クエバビル(Cuevaviru)の
3つのウイルスとされてきた。はじめの2つはエボラ熱とマールブルグ熱を発症させ、
血液疑固障害を引き起こす致命的なもので、3つ目はルーセットオオコウモリから感染する
ルロビウ熱(Lloviu cuevavirus)だ。
新型ウイルスは研究の結果、他のフィロウイルスと32〜54%類似していることが明らかに
なっている。
報告では、新しいフィロウイルスは人間にとって危険で、潜在的に致命的となりうることが
強調されている。
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危険な新型エボラウイルス コウモリが媒体に
学術世界で明らかになっているエボラ・ウイルスは5種類。そのうち4種類が人間に感染する
恐れがある。今回、発見された「ボンバリ」という名称の新型ウイルスは、コウモリをはじめと
する500種類以上の動物のサンプルから明らかになったもの。
研究で2種類のコウモリの体内にエボラウイルスのサブタイプが発見された。こうした種類の
コウモリは人家の軒先に巣を作ることも稀ではない。エボラウイルスの膜にある糖タンパク質が
人体への感染を引き起こすのだが、糖タンパク質自体が人体にとって危険なのかどうかは、
研究では明らかにされていない。
一方でコウモリを殺すことも危ない。死体からは大量のウイルスが拡散してしまうから。
エボラ出血熱は2014年から2015年にかけてアフリカ諸国で猛威を振るい、
当時、これによる死者の数は1万1千人を超えた。エボラ出血熱は撲滅されてはおらず、
局所的な蔓延(コンゴ民主共和国)が確認されている。